キバマルの後ろ髪を引っ張ってみたら、当たり前のように怒鳴られた。痛いではないか、何をする。見事に声をハモらせて復唱すると、彼の大きな目はきょとりと丸くなった。かーわいいの。

「キバマルってちょっとワンパターンすぎない?」
「なんだと?」
「ナガレみたいに変なパターンを増やされても困るけど、もう少しくらい、違う反応が見てみたいなあ」
「ならばお主も行動を改めよ! なぜ某だけが悪になるのだ、納得いかん!」

 キバマルはキッと目をつり上げるなりそっぽを向いてしまった。合わせてふるりと揺れる後ろ髪に、自然と手が引き寄せられてしまう。けれどキバマルの言う通りだ。ここはぐっと我慢して、両手を自分の後頭部に隠してみた。後ろにいるとどうしても体がうずうずするので、背を向けて歩み出す。すこしくらい、距離をとってみようか。

「おい、どこへ行く」
「散歩?」
「一人でか」
「別に日もまだ高いし、問題ないでしょ?」
「う、うむ、まあ、その通りではあるが」

 ぐう、と唸ったところで、納得はいってないらしい。許可を待つ必要もないので、私はそのまま歩みを進めた。さくさく、さくさく。草を踏む音が後ろからついてくる。変なの。

「キバマルも散歩?」
「ぬ、う、ああ」
「そう、私はこっちに行くけど」
「……某もそちらへ行く」
「……ほんとに? 私の前歩いたら、また髪の毛引っ張っちゃうかもよ」
「ならば隣を歩けばよかろう。そうすれば、お主の視界に髪が入ることもあるまい」

 ちらり、脇目をふればキバマルの頬は鎧に負けないくらい赤かった。素直なんだが、そうでないんだか。にやけを抑えきれない私自身は、かなり素直なのだろうけど。


(131218)


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