2014/02/01
最近、キングのところにハゲがくる。きれいなつるつるぴっかりんだ。けどこの感想を伝えると酷く不機嫌になる、彼の名前はサイタマさん。キングと彼は、暇人同士とても気があった。
サイタマさんはアポもなしに現れて、キングと仲良くゲームで遊び始めてしまう。ここのところ毎日ずっと同じサイクルだ。私はゲームなんてからっきしなので二人の後ろ姿を指をくわえて見守るのみ。楽しそうで羨ましい。 ひとりで漫画を読み漁ってみても、気になるのは紙面の美少女ハーレムより、すぐ側にある大きな背中。いいなあ、私も構ってくれないかなあと熱い視線を送り続けても、コントローラーをいじる音は止まない。くそっ、そのまま摩擦熱でも起こして火傷してしまえ。
「あ、もうこんな時間か。俺もう帰るわ」 「ジェノス氏がご飯作って待ってるもんね。うん、じゃあ気をつけて」 「おう、またな。なまえもまたな」
サイタマさんは気さくに手をふった。私はにっこり笑って立ち上がった。テレビの前でたち膝状態のキングは、今まさに、一人プレイ用のゲームソフトに差し替えているところだった。
「私も帰る」 「え?」 「私も、サイタマさんと一緒に帰る」 「あれ、珍しいねなまえ氏。今日は晩ごはん食べてかないの」 「うん食べないで帰る。そして二度と来ない」
部屋が凍りついたのは一瞬だった。まもなくして、ドッドッドッドッと音が響き出す。キングエンジンのお出ましだ。
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