PROJECT | ナノ
乙女心はリンゴ3個分
「#〜〜!!」

「お〜い!!」

「#っ!!何してんだ?」


ここはフーシャ村。
イーストブルーの偏狭にあるのどかな島にある村。


その村のとある家の前で、1人の女が洗濯物を干していた。


『あら、ルフィ、エース。それに、サボ!』


駆け寄ってきた子供たちを見て笑顔を見せた女に3人は笑顔で駆け寄る。


『サボ、もう怪我はいいの?』

「あんなのへっちゃらだ!!」

『そう、ならよかった。今日はどうしたの?』


笑顔で尋ねた女の名は#。
この村で早くに家族を無くし、ルフィと供に村長の元で暮らし、数年前に自立し村外れで独り暮らしをしている、ルフィの義理の姉である。
だが、ルフィがある日嵐の様に現れた祖父ガ−プにより山奥にいる山賊に預けられてしまってから数ヵ月後、少しだけ逞しくなったルフィが兄ちゃんだ!!と連れてきたのが、エースとサボ。

当初はエースはツンツンに冷たかったのだが、時を重ねるうちに心を開いていき、今では#にべったりである。
そして、サボは、当初からその人懐こい性格からか#に懐き、ルフィと供に#の手伝いなどをしていた。


「今日は何するんだ??」

『そうねぇ・・久しぶりに3人が来てくれたし。今日は用事は後回しにして一緒に遊ぼうか』


にっこりと笑って言った#に3人は大きく頷いた。


「じゃぁ、マキノのとこいこうぜ!!俺腹減った!!」

『その前に、今日は家に泊まるでしょ??お買い物に行きましょう?』


ルフィの提案をさらりとかわして、3人に笑いかけるとルフィの手を引いて村の商店へと足を向けた。


「あっ!!待てよ!!」

「ルフィばっか、ずりぃ!!」


歩き出して、振り返る#とルフィを追ってエースとサボが駆け出す。
#の右手にはルフィが、左手にはサボがルフィの隣では、兄ちゃんだからな譲ってやると誇らしげなエースが並んで話しながら歩く。


「なぁ!!俺ら、こないだ大虎しとめたんだぜ!!」

『そうなの?すごいじゃない!!』

「ルフィ!!お前は伸びてただけだろっ!!」

「そうだぞ、ルフィ。主に仕留めたのは俺とエースだったろ」

「でも、俺だって戦ったんだぞ!!」


3人の言い合いに#はクスクスと笑う。


「何笑ってんだ!!失敬だぞ、失敬!!」

「お前意味わかってんのかよ・・」

『あはは・・、ごめんごめん』


わいわいと話す内に商店の並ぶ一角に辿りついた4人。


『さて、皆?今日は何が食べたい?』

「「「肉!」」」

『シンプルね』


それじゃぁ、と言って4人は肉屋に入る。


「いらっしゃい!おや、ルフィ達じゃないかい!#に会いに降りてきたのかい?」

「おう!!#は危なっかしいからな!!俺らがたまに見に来てやらねぇと!!」


肉屋の女主人の言葉に元気に答えたのはルフィ。
それに同意するように頷くのはエースとサボ。


『・・・危なっかしいって・・・。ひどい』


それを聞いた女主人は笑う。


「あはは・・・、いいじゃないか!!あんたらのお陰であたし達は安心だよ!!」


『おばちゃんまでぇ〜』


不貞腐れるながらも、#は3人が食べるだろう量の肉を買う。


『うんっと・・・このお肉を・・・ん〜・・・5キロ頂戴?』


はいよっと返事をして肉を詰め始める女主人を見てから#は3人の顔を見下ろした。


『お肉は沢山買うけど・・・お野菜もちゃんと食べるのよ?じゃなきゃ、お肉禁止ね?』


笑顔で告げられた言葉に3人は不満そうに声をあげる。


「なんでだよ!!肉さえあれば、俺らはいいのに!!」


ブーブーと不満を連ねる3人を見て、#は言う。


『だめですぅ〜。育ち盛りなんだからしっかり栄養とらないとね?だめよぉ?偏った食事してたら、強くてかっこいい海賊になれないわよ?』


その言葉に3人は渋々頷くのだった。


それから、八百屋にも立ち寄り肉と供に大量の野菜と果物も買うと1度家に戻ってから、4人はマキノの経営するパーティーズバーへと向かった。


「マキノー!!来たぞー!!」

「来たぞ!!」

「こんにちは!!」


それぞれの性格を現した三者三様の挨拶にマキノと#は顔を見合わせて微笑みあう。


「いらっしゃい。今日は随分久しぶりね?」

「おう、サボが怪我してて動けなかったからな!!」

「そうなの?」

『そうなんですよー。この子無茶して、天竜人が寄航した時に船出して・・・その船壊されちゃったんですよー!!』

「あら、大変!もう平気なの?サボくん」

「うん、もうピンピンしてるぜ!!」

「なんか、顔面刺青だらけの奴が連れて来てくれたんだよ!!」


その言葉にマキノが一瞬目を見開くが、シーっと合図した#を見て笑顔を見せる。


「そうなの。親切な人に助けて貰ったのね」


にっこりと笑ったところで、3人は飯ー!!っと騒ぎ始め、マキノは慌てて調理に取り掛かるのだった。
それから、夕方近くまでマキノの店で過ごすと夕飯時が近くなり4人は店をあとにすることにした。


そうして、また家に戻る頃には空はオレンジ色から紫へと変わる頃。


『ほらっ!!ご飯用意しておくから、3人ともお風呂入ってらっしゃい!!』


その声に飯〜〜〜!!っと叫びながらルフィ達は浴室へと駆け出す。
それを見送ると、#は笑いながら料理を開始するのだった。

3人が浴室に突撃して数十分後。
もうすぐ料理が出来上がるというところで、玄関から戸を叩く音が響いた。


『はぁ〜い!!』


扉を開けた先にいたのは、ここ数ヶ月結婚して欲しいと付き纏っていた男が立っていた。



「やぁ、こんばんは」

『こんばんは。何か御用ですか?』


それまでうきうきとしながら、過ごしていたのに#の気分は最低だ。


「そんなつれないことを言わないでくれ。君を好きだからこうして訪ねてくるんじゃないか」

『ですから、何度もお断りしてます。お引取り下さいますか?』


嫌悪を露にしてそう言うと無理やり話を終わりにする為に扉を閉めようとしたが、男がそれを足で止める。


『ちょっと!!?』

「本当に僕は君を愛してるんだ!!結婚してくれ!!」


#の手を無理やり掴んだ男が#に詰め寄った時。
男が奇声を上げた。


「てめぇ、何ねぇちゃんになれなれしく触ってんだよ」

声に視線を降ろすとそこにいたのは、男を睨みつけるエース、サボ、ルフィの3人がいた。


「なっにしやが・・・る・・くそがきっ・・・!!」


そう言って腕を振り上げた男と3人の間に#が入り込むと男の手は#の顔をパァンと音を立てて叩いた。



「あっ!!?す、すいません!!」

「「「#!!」」」


3人に平気よ?と声を掛けると、男を睨みつける。


『あたしの可愛い弟達に手を上げるような方と一緒になるつもりはありません。お引取り下さい』

「だ、だけど最初はその餓鬼が!!」

『この子達は、あなたからあたしを守ってくれただけです。お引取り下さい』


珍しく怒りを露にして声を荒げる#に男は悔しげに家を出て行った。


「大丈夫か??」


心配そうな眼差しで、3人が#に聞く。


『うん、平気だよ』


それに#はにっこり笑って返すと、ご飯にしようっと言って台所に立ってしまう。
顔を見合わせた3人が、小走りで#の元に駆け寄ると


「#!!今はまだ俺ら弱いかもしれねぇけど」

「俺らもっともっと修行して今より強くなっから!!」

「そうしたら、俺たちが#を守ってやるからな!!!」


3人がにっと笑って言った言葉に#は目を丸くする。


『その頃にはあたしおばちゃんかもよお?』

「そんなわけねぇ!!俺とサボと10個しか変わらないだろ!!」

『変わるってば!!エースやサボが今のあたしと同じ年になる頃にはあたしもう30歳だよ??』

「そんなに待たせねぇから平気だ!!」

「俺らはすぐ強くなるからな!!」


エースの言葉に続いてルフィも声をあげる。


「あぁ!!俺らもう随分強くなったんだ!!直ぐにもっと強くなる!!」


サボが二っと笑う。
それに#は、ふぅっと息を吐くと苦笑いを浮かべる。


『それじゃぁ、強くなったらね?』


にっこりと笑うと3人も笑い返す。


ぐぅ〜ぎゅるるるるるr


響いたのは3人の腹の虫。


『ふふふ・・、もう少しで出来上がるからコレでも食べてなさい』


そう言って手渡したのは、3つの真っ赤なリンゴ。


「おうっ!!早く作ってくれよな!!」

「これで紛らわせててやる」

「おい!ルフィ、それは俺のだ!!返せ!!」


3つのリンゴを取り合って、部屋の中で追いかけっこを始めてしまった3人にこらっと雷を落としながらもその顔には笑みが浮かんでいたのだった。


乙女心はリンゴ3個分

まだまだ小さいと思っていたのに
いつの間にか随分と逞しくなっていて
なんだか少し寂しく感じたけれど
その反面、ちょっとだけその言葉が嬉しくなった。

いつか旅立つその日まで、あたしを守ってくれるのは
この小さな小さなナイト達。



title by ポケットに拳銃



今回は初挑戦の盃兄弟でした!
サボ生存との事でしたので、ちょっと(大分)捏造盛り込んで、ちょろっとドラゴンさんが織り込まれました!
題名と乙女心は一応年齢を気にする乙女心と思っていただけたら!!

こんな感じで仕上がりました!
百合子さん、だ、大丈夫でしょうかー(゚-゚;)オロオロ(;゚-゚)
prev/next

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -