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数日後。
白ひげ海賊団は先の島へと上陸していた。
「おめぇら、付き合わせてわりぃが…#を探しに行くぞっ!!」
そう言って、普段は進んで上陸しない白ひげも#を探しに船を降りた。
だが、宿やアパート、貸家。
可能性のある場所全てを探したが#はおらず。
体勢を整える為に一旦船へと帰ってきた白ひげ達。
「#さん、どこにいるんだ…」
「エレン、何か聞いてねぇのか?」
白ひげがエレンへと訊ねる。
「此島に留まるとばかり、思っていたので…私は何も…」
「もしかしたら…エレンが話す可能性を考えて島を移ったのかもしれんな…」
ジェットの言葉でざわついていた場が一気に静まり返る。
「ちょ、待ってくれよ!!そんな事言ったら…」
悔しげに顔を歪めたサッチが口を開くとマルコも一歩前に出て白ひげへと告げた。
「万が一を考えて、この数日でこの島を出入りした船を港で調べてきたんだがよい…」
「どうした?」
珍しく表情をサッチと同じく歪めるマルコに白ひげが続きを促す。
「この島、流通が盛んでよい。多方面からの船の出入りがとんでもなく多いんだよい…」
「そりゃあ…」
「………あぁ。#さんがいつ、何時にどの船に乗ったか。それがわからねぇと…行き先が特定出来ないよい。それに、その乗った船でたどり着いた島でまた船を乗り換えてなんかいたら…対象となる島はとんでもねぇ数になっちまうよい…」
それに顔を歪めた白ひげだったが。
何かを決心したように立ち上がると船縁へと歩み寄ると息子達に背を向けたまま話し出した。
「ちぃと、苦労をかけちまうが手伝ってくれねぇか?何人か俺と港に行くぞ。残りのやつは傘下の息子達に繋ぎをとれ。何が何でも……#を探し出す!!!!」
その言葉に、全員が頷くと任せろ!!と大きな返事をして動き出す。
隊長達に混ざり、マルコとサッチも白ひげと共に港へと向かう。
その際にエレンが手懸かりを掴みやすいからと、#の写真も持たせた。
そして、白ひげは港につくと船の出入りを管理している管理者と話をつけて出入港の帳面を上陸した日から今日までの分を借りた。そうして、息子達と手分けをして船の航路と辿り着く島、さらにその島で出入りするだろう船の航路全てを調べる。
その間にモビーでは調べた航路の近海を進む船にその周辺の島を調べる様に指示を出す。
たった半月足らずで偉大なる航路、ひいては新世界事態から出る事は不可能。
つまりは#はまだこの新世界のどこかにいる筈だと目星をつけて探す。
……………と、一人の男がびくびくしながら白ひげへと歩み寄ってきた。
「な、なぁ。白ひげさんよぉ…あんたこの女を探してんのか?」
「あぁ。何か知ってんのかぁ?」
「この女かはわからねぇが…似た女がトレス島へ向かう船に乗るってんでチケットを買いに来たんだ…」
「……っ!?何ぃ?」
「随分と深く帽子を被っててよ…さっき聞いた背格好で帽子から出てた髪の色が珍しくてな覚えてたんだが…」
「その髪の色…何色だったぁ?」
「瑠璃色…瑠璃色の髪だった。あんま見ねぇ色だったから、よく覚えてる。間違いはねぇ!!」
その言葉にその場にいた全員が頷くとすぐに動き出す。
それもその筈。
#の通り名はその彼女の珍しい髪色から来ていた。
そうして着いた通り名は"ユリシスの#"
彼女の戦う姿がまるで舞うように戦っているところから、彼女の髪と同じ色の羽根を持つ蝶の名が付けられた通り名。
彼女が海軍にしてはセンスがいいじゃないかと上機嫌にしていたのを昨日の事のように思い出す白ひげ。
そうして、一行は#が向かったとされるトレス島へと進路を取った。
例え小さな手懸かりさえも
逃す事なく君を辿ろう。
一歩一歩確実に君の軌跡をたどる。
そうして辿り着いた先の君が
溢れんばかりの笑顔を見せてくれると
願って……………………
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