美脚戦隊フシチョウジャー
よく晴れた午後。
甲板を歩きながら書類へと目を落としたマルコを呼び止めた者がいた。
『マルコ隊長』
「あぁ?何だ、###か」
振り向いたマルコの後ろにいたのは、部下である###。
普段からあまり表情を変える事のない###だが、マルコは気付いた。
「(何か、あるねい…)」
何か思うところがあるのだろう、###の乏しい表情の変化に気付いたのは、流石と言うべきか。
「どうしたよい?」
そうマルコは、多少なり心配をして声をかけた。
掛けたのだが、それに対する###の答えは
『マルコ隊長を知らない人が、通りすがりにマルコと呼ばれた隊長を振り替えったらどう思いますかね?』
淡々と、表情を一切変えず紡がれた言葉にマルコは唖然とする。
「……………ど、どういう意味だよい」
『いやね。マルコって名前から連想する人物って、こうスゴい優男なイメージがあんですよね。それが……』
###はじとーっと、その感情を感じさせぬ瞳でマルコを見つめるせいか、珍しくもマルコがたじろぐ。
「な、なんだよい…?」
『……はぁ』
「(こいつ、人の顔染々見て溜め息ついたよい……!?)」
意を決して、その言葉の真意を読み取ろうと返した言葉はハズレだったのか、###が大きな溜息をついてマルコを見据えた。
『優男のイケメンを想像して振り返った先には、無駄にいかついパイナポーヘアの美脚のおっさんとか…反応しずらいですよね…』
直後落とされた爆弾にマルコの額には青筋が浮かぶが、当の本人###は何処吹く風。
マルコを見据えていた瞳は今では遠くを見つめている。
「お前、結局何が言いてぇんだよい…」
痺れを切らしたマルコが苛立ちを顕にしながら、###に投げかける。
それに返ってきた言葉にマルコは目を丸くした。
『マルコ隊長って、実は存在が詐欺だなって事ですよ。あーぁ…町人AとかBがかわいそうだ…』
「え?ちょ、俺悪くねぇよない…おい…」
マルコが唖然としながら、###に言い返す、が。
###はマルコを頭から爪先まで見ると、もう一度マルコの顔を見て告げた。
『おっさんで美脚…か…悪くないけど。ちょっと腹立ちますね』
そう言い捨てると###は船内へと消えていった。
その場にポツンと、取り残されたマルコはハッと意識を取り戻すと叫んだ。
「おいっ!!?###!言い逃げかよい!」
ふざけんな!とマルコの声が2つの青に吸い込まれた。
美脚戦隊フシチョウジャー(なぁ、###。ネーミングセンスないって言われね?)
(言われません。)
(うそつけっ!!)
(嘘じゃないです。)
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