rode-7
今現在。
麦わら海賊団は、食料危機に陥っていた。
それもこれも、船長を始めとした3名によるつまみ食いが原因。
その3名は今、頭にこぶをこさえて釣糸を海へ垂らしていた。
『たく…バカだなぁ?こうなる事はわかってたんだ。やめりゃあいいのによ…』
「肉が俺らを呼んでたんだ!」
誇らしげにそう告げたルフィにため息を溢すとライは空腹をまぎらわせる為に、コーヒーを飲もうとサンジのいるキッチンへと足を向けた。
ガチャ
『サンジ、コーヒー淹れてもらえるか?』
「あぁ、今レディ達のおやつを用意してんだ。少し待っててくれ」
その返事に頷き、ダイニングの椅子に腰掛けると料理をするサンジの背に、お調子者の兄の姿を見た。
最後に見た悲痛に歪ませた表情だけが、脳裏を過るが頭を振りその姿を振り払う。
「何やってんだ?」
そんなライに不思議そうな視線を向けるサンジに慌てて、何でもないと返すと渡されたコーヒーを受け取り口をつける。
『ん、やっぱ旨いな。サンジの淹れるコーヒーは…』
笑顔を浮かべて、サンジと会話をしていると外が何やら騒がしくなる。
「たく、あいつら何やってんだ?」
(ボンクレーかな?)
『大丈夫だろ。俺はのんびりコーヒーが飲みたい。ねぇ、俺のおやつは?』
「お前はTHE自己中か…野郎にあるわけねぇだろ。うちは今絶賛食料難だ…」
サンジの言葉に不貞腐れながら
『くそ、ルフィ達あとではっ倒してやる…てゆうか、サンジ…お前は見事な男女差別だな…』
「うるせぇよ。レディは敬うべき存在だ!」
その言葉の後に更に力説をしようと言葉を続けようとするサンジにライは
『その話長くなりそうだな…聞かなくちゃダメなの?』
「黙って聞いてろ!このくそ野郎!」
『……理不尽か…』
そこから30分に渡り謎の力説を聞かされ、げっそりとしたライとサンジが甲板へ出てくると何やら思案する一同に目を丸くし顔を見合わせていると、全員からMr.2が現れ去っていったと説明される。
しかも、Mr.2は能力者。
姿形を触れた人物そっくりに変える事ができる。
Mr.2に触れられたメンバーがいる事が今、目下の悩みらしい。
そこで提案したのは、ゾロ。
そして、現在。
腕に包帯を巻き二重の仲間の証を全員が身につけている。
包帯を巻き終えそれを嬉しそうな顔で眺めるライに不思議そうにウソップが訪ねた。
「おい、ライ。そんなニコニコしながらどうしたんだよ?」
『あ?あぁ、なんだか…嬉しくてな。』
「仲間の証がそんなニヤニヤする程嬉しいなら、完璧に仲間になっちまえよ!どうせ俺らといたら仲間だと思われていずれはお前も賞金首なんだぞ!」
『まぁ、そうだけど…俺の気持ちの差だっつーの。周りが世間がどう思おうが俺は必ず家族の元に帰るんだ』
「でもよ?賞金かけられたお前がいるなんざ、家族が危険になんじゃねぇのか?」
『その点は心配ねぇな。家族は皆俺より強ぇからな!』
「まず、俺らはお前の強さを知らねぇがな」
ゾロの言葉にニヤリと笑うとライが口を開く。
『それは、これから見る事になんだろ?あれだよ!百聞は一見に如かず…ってぇ奴だ!あれ?あってんのか?これ?』
「にしても、まさかゾロがこんな案をだすなんてなぁ…はっ!?まさか偽物?」
「ウソップ…てめぇ」
そんなやり取りをしていると突然波が起こり出す。
すると、現れたのは大きな海獣。
「んだ!でけぇな!猫かっ!?」
「んなもんどうだっていい!今夜の飯だ!意地でもしとめろっ!」
ライを除いた男達が騒ぎ出す。
「あんたは行かないの?食料よ?」
『んー、あんま美味しそうに見えないだろ?』
色気を孕んだ笑みを見せられ、ナミが少したじろぐ。
と、突然動いたのはビビ。一目散に男達に走りよると頭を殴り止めた。
「食べちゃだめよ!」
殴られた面々は頭を押さえて口々に言い返す。
「ってぇな!ビビなんでだよっ!」
「ビビちゅわぁーん?何故…」
「あれは海猫と言って、アラバスタでは神聖な生き物とされているのよ!」
「んだよ…食っちゃダメなのかよ…」
「てぇ事は、もしかして…」
「えぇ、海猫が現れたって事はもうここはアラバスタの海域に入ったわ…」
「おい、その証拠に見てみろよ…」
ゾロの言葉に全員が目を向けると、そこには沢山のバロックワークスの帆を掲げた船。
「おいおいおい!あの数なんなんだよ!」
『まぁ、これから敵陣の本拠地に乗り込むんだ。妥当な数だろ?』
「おめぇは何平然としてんだよっ!」
『え?いや、今更あがいたって乗り込む事にかわりねぇだろ?』
「そりゃそうだろ。ウソップ、おめぇも覚悟決めろ。敵は200人以上はかてぇ。それにひきかえ俺らは8人足らず。気引き締めねぇとこっちがやられちまうぞ」
『少数精鋭。その方が動きやすいだろ?』
「とにかく!この先何があってもこれが仲間の証だ!これを見せられねぇ奴は敵だと思え!」
ルフィの言葉に全員が腕を出し、掲げると声を出す。
「「「「『「おおっ!」』」」」」
「よし!行くぞ!飯屋!あとアラバスタ!」
「おい!アラバスタはついでかよ!?」
『ほっとけ。ルフィの頭には今飯を食う事に重点をおいてる』
「よし!行くぞ!ライ」
呆れながら、気を抜いていたライの腕をそう言って掴んだのはルフィ。
『………はぁっ!?』
その手に驚いてる内にルフィの手は見えてきた島に伸びていく。
そして、そのままライを道連れに飛んで行ってしまったのだった。
そこに残された面々は、残されたライの叫びをBGMに呟く。
「おい、先に行っちまったぞ…」
「別にいいだろ。上陸したら騒がしい場所を探せばいいだけだ」
「「それもそうか…」」
「それよりも、レアね。ライの叫びなんて…」
「「「あぁ…」」」
砂の国、アラバスタ上陸!
(おい!いつまで抱えてやがる!下ろせ!ルフィ!)
(うるせぇなぁ、この方がはぐれねぇだろ?)
(横暴か!お前がちょこちょこ動き回らなきゃはぐれねぇよ!下ろせ!)
(にしてもライ、おめぇかりぃなっ!)
(ほっとけ!バカ野郎っ!)
((まじで、血が繋がってないとか信じられない…このデジャブ感…))
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