5th memorise of white beard





息子達の話の端々に見えた愛娘の姿。
守らねばならなかった筈の可愛い娘は、俺の愛する息子を守り、そして殺された。
息子達が感じる、沢山の後悔、沢山の憤り。
それ以上に俺は後悔し、悲しみを心に宿した。


あぁ?どうした、おめぇら。
あいつとの思い出?
俺にだってあるぜ?
何?聞きたいだとぉ?
しょうがねぇ、話してやるか。

ありゃあ、あいつが家族になってまだ間もねぇ頃だったかなぁ?








深夜、なかなか寝付けずに寝酒をと自室にて酒を煽っていると、突然響いたノック音に返事を返すと、遠慮ぎみに開いた扉から顔を除かせたのはルカだった。

その顔には幾ばくかの不安を滲ませており、白ひげは顔をしかめながらルカに声をかけたのだった。

「こんな時間にどうしたぁ?いつもなら、もう寝てる時間だろぉ?」

白ひげの声に、一瞬何かを戸惑うと口を開いた。

『ちょっと…嫌な…夢見ちゃって…親父さん寝るまででいいから、居てもいい?』

いつもの気丈な様子はどこへやら、そこにいたのは年の頃より少し幼い、不安げな顔をした愛娘の姿。

それに、フ…と笑いを見せると白ひげは慈しむような穏やかな笑みを浮かべると、

「俺も寝付けなくてなぁ。俺が寝るまでなんざ言わねぇで、今日はここで寝るといい」

その白ひげの言葉にパッと笑顔を浮かべると白ひげのベットにルカは潜り込んだ。

『ねぇ、親父さん?お話、聞きたいな。親父さんの昔話とかさ!ダメ?』

「ふん。そんなんでいいなら、いくらでもしてやらぁ。何から話すかなぁ?そうだな、まだロジャーが生きてた頃の話でもするか。」

そこから語られる。
白ひげと海賊王ゴールド・ロジャーの奇妙な交遊関係。
時には闘い、それが終われば共に酒を傾け、沢山の話をした事。
ロジャーとの交戦中に現れたガープやセンゴクから共闘し逃げおおせた話。
沢山の話をした。

そして、白ひげが気付くとルカは白ひげの指を握り眠りについていた。

その様子を見た白ひげは笑みを浮かべ、顔にかかった髪をもう片方の手で軽く払ってやると、頭を撫でた。

安堵の顔を見せ、寝息をたてる愛娘が確かに抱える重荷の正体に、気付きながらもどうしてやる事も出来ない己に幾分か苛立ちを覚えながら、白ひげも眠りに着いた。

翌日部屋に訪れたマルコにルカがどやされたのは言うまでもなかった。


時と供に、おめぇが話してくれる時が来ると思っていたが、そうなる前におめぇは逝っちまった。

俺や息子達の後悔は計り知れないが、いつかおめぇのとこへ逝った時は、言いてぇ事全部言ってやるから覚悟しとけよ。

あぁ、あと。
ティーチを追って行った威勢のいいバカ息子をそこから守ってやってくれ。




娘を想う大きな愛

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