4th memorise of haruta
え?僕?そうだなぁ?
ルカとはイタズラばっかしてたけど、
イタズラとか抜きに二人で色々話した事あったんだよね。
え?似合わない?
サッチ、覚悟しといてよ。
ルカいないから、勢いにかけるけど…
頭脳は僕なんだからねー!
え?早く話せ?
わかったよー!
いつ頃か?んー。エースが家族になった頃かな?
よく晴れた麗らかな陽気の午後。
モビーは春島の海域を航海していた。
甲板ではのどかな雰囲気に、気の抜けまくった家族達に混ざり、船縁に腰かけ海を眺めるハルタとルカがいた。
「ルカ、落ちないでよ?僕がマルコ達にどやされるんだから」
『大丈夫だよー。つか、落ちても飛べるから平気だもん!』
「それもそっか。じゃあ、落ちちゃいなよ?」
『ハ、ハルタ君?』
「ねぇ?ルカの世界の話。聞かせてよ?」
『ん?どしたの?急に。こないだ話したじゃん。ハルタ達が聞いても刺激にかけると思うよ?』
「それでも!ルカがどんな風に過ごしたのか聞きたいっ!それに…」
『それに?』
「………暇潰しには最適でしょ?」
『……っ!?ハルタっ!人の半生を暇潰しとはいい度胸してんじゃないの!まぁ、いいけど…何が聞きたいの?』
「ルカの家族の事とか、友達の事かな?この間それについては、あんまり聞けなかったしさ!」
『ん、わかった!そうだなぁ…………』
そこから、ルカは懐かしむように微笑みを浮かべ、遠い海を眺めながら話し出した。
ちょっぴり抜けてる母の事。
何故か帰宅して一番にビールを飲もうと、冷蔵庫を開けるとビールの隣には母の財布。
リビングに目をやると、財布を大捜索している母の姿。
少し頑固で、でも茶目っ気たっぷりの父の事。
こうと決めたら、梃子でも動かない父が勘違いをして頬を赤く染めて、間違いを認めた日の事。
いつも笑ってて、周りに人の絶えない、頼りがいのある兄。
いつも二人でイタズラをしては、仲良く正座してお説教をされた事。
それから、大好きだった友人と過ごした日々。
誕生日やクリスマス。
七夕や夏祭り、花火大会に年越し。
沢山のイベントを過ごした事。
辛い事も楽しかった事も彼女達や彼らと一緒にわけあった。
「へー、凄い楽しそうだね。離れたくなかったんじゃないの?」
『実を言えばね。離れたくなかったし、今でももう会えないなんて信じられないよ。でも、こっちでも大事な家族や友達が出来たから!あたしは大丈夫だよ!!』
「そっかぁ…。あ!ねぇ、ルカが前に話してたよね?俺らの事が書かれた話があるって!その話聞かせてよ?」
『……え?』
「ダメー?」
『今までの事なら、いいよ?』
「これから先の事は?」
『話す気ないよ?それに、ハルタは海賊でしょ?そうなるとは限らないけど、1つの未来を知っちゃったらつまらなくない?』
「それもそっか!ねぇ、ならさエースが家族になるのも知ってた?」
『うん!知ってたよー!』
「やっぱり僕ら人気だった?」
『白ひげ海賊団は、隊長達とか親父さんが人気あったねー!』
「じゃあ!誰が一番だった?」
『んー?ネットで見てるとマルコとエース、あとサッチかなぁ?意外とイゾウも人気だったよ?』
「ちょっと、待ってよ。なんで、南国野郎と変態とくそリーゼントが人気なの?」
『さ、さぁ?』
詰め寄るハルタにたじたじのルカを目にした渦中の人物。
マルコとサッチ、エースまでが甲板に姿を見せた。
「あいつら、なにしてんだ?」
「さぁねい?また悪どいイタズラでも考えてんじゃねーかい」
「聞けばいいだろ?おーい!ハルター!ルカー?なにしてんだ?」
『あ、エース!』
天の助けとばかりにエース達に駆け寄ったルカを追って、ハルタも三人に駆け寄る。
「ルカの世界で、物語があったって言ってたから。誰が人気だったか聞いてたんだよ」
「へぇー。で?誰だったんだ!?」
尋ねたエースを睨み付けるとハルタは口を開いた。
「マルコ、エース、イゾウ、更にサッチ」
信じられない!何で、揃いも揃って変態が!と吠えるハルタに、各々が弛んだ頬を隠しもせずにやにやとする。
「見る目があるない」
「やーっぱ!俺様のかっこよさは世界を越えたってか!」
「なんか照れんなぁ!」
各々の発した言葉を聞くと、ギラリとした瞳で三人を一蹴すると、
「万年半目の南国頭に、半裸の露出狂、時代遅れのリーゼントの変態が人気なんて、ルカの世界は変わってるね?」
にーっこりと笑いながら吐いた毒に全員がピシリと音をたてて固まる。
気を取り直したマルコが口端をひくひくとさせながらハルタに言った。
「名前が上がらなかった腹いせかい?みっともないねい?」
はんと勝ち誇った顔を見せたマルコに歯をギリギリと食い縛り睨み付ける。
バチバチと散る火花に焦ったルカが声をあげた。
『で、でもっ!』
その声に四人がルカを見ると
『断トツで親父さんが一番人気だったけどね!』
そう言って、親父さんとこ行ってくるー!と走り去ったルカに残された面々は一同落胆を見せたが、すぐに顔を見合わせて笑いだした。
「そういやぁよ?ルカは誰が好きだったんだろうな?」
………………………………………。
バっと顔を見合わせると四人は走ってルカの後を追いかけていったのだった。
その後、四人に追い回されたルカを船内の全員が目にした。
あの時、君から無理にでも話を聞いていたら、何かがかわったのかな?
そう僕は後悔している。
そうすれば、一緒に悩んで一緒にどうにか出来たかもしれないのに。
君の背負った運命を分けてもらえなかったのは、僕らがそんなに頼りなかったのだろうか?
今はもう君に聞く事もできないけれど。
僕にとっても、君は大事な大事な家族だ友達だった。
だから、たまには君を思って涙を流してもいいよね?
一粒の泪に込められた後悔
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