destiny-27
白ひげの領地である島を出港して数日。
ルカは隊務や訓練、稽古以外の時間はひたすら部屋に籠り続けていた。
それを心配するのは、やはり白ひげと兄弟達。
「なぁ、またか?」
「そうみたいだねぇ…」
「出ては来てはいるからな…様子は変わらないが…あいつ…何してんだかない」
「部屋行っても鍵かけててよ…返事はするが、扉は開けてくんねぇんだよ…。はっ!!また反抗期かなっ!?」
「んなわけないでしょ!」
「何してるか知らねぇが、何か考えがあるんだろうよ…」
白ひげの声に隊長達は黙りこみ、今までならルカがいた白ひげの椅子の肘掛けを見つめる。
「どうしたんすか?皆さんで?」
「おぉ!ショーンじゃねぇか…」
「あ!?お前ならしってんじゃねぇの?」
エースが声を荒げ、ショーンに駆け寄る。
「エース。何をだ?」
「ルカが部屋に籠ってる理由だよ」
「あー、それか。悪いけど俺も知らねぇんだよ…聞いたんだけどな。ないしょーって言って教えてくれねぇんだよ…」
「お前でも知らねぇか…」
隊長達にショーンまでが加わり、難しい顔をして悩む。
『何してんの?』
「あぁ、今皆でルカが部屋に籠りっきりになっちまった理由考えてんだよ」
「あぁ。だから………ん?」
全員が目を点にして、声のした方へ顔を向けるとそこには首を傾げたルカがサッチの隣に座り込み不思議そうな顔をしていた。
「「「ルカっ!」」」
『おう!』
悪びれず片手をあげ、声をかけるルカに全員が顔を合わせため息を溢すと、意を決してルカに訊ねた。
「お前さん何かあったのか?」
『いや?特に何も?』
「何もって事はないだろい?あんな毎日暇があれば部屋にこもっててよい…」
『もー。女の子に皆まで聞いてはいけない事情があるだろってんだい!やぼな兄貴達めがっ…』
そう言ったルカにその場はシーンと静まり返る。
そして、一斉に笑い始めた。
「なんだよ!それならそうと言えよ!バカ野郎!」
ゲラゲラ笑いながら、心配して損をしたと言ってひたすら笑い続ける兄達を見て、ルカは誰も気付かない位の一瞬。
申し訳なさそうなそんな顔をした。
そして、笑いが収まると
『全く心配性で過保護だなんて、泣く子も黙る白ひげ海賊団の名折れだっての!』
笑ったルカの声が久しぶりに甲板に響き渡ったのだった。
一頻り甲板で騒ぐと、ルカはナース達に呼ばれていた事を思い出して、皆にそれを告げると船内へ戻っていった。
ナース達のいる医務室へ向かい廊下を進んでいると曲がり角でティーチに会った。
「おぉ!ルカじゃねぇーか。最近部屋にばっかいるから久しぶりだな?」
『そうだねぇ?ティーチは今から甲板?』
「いや、書庫に本を返しに行くんだ」
手に持っていた本をルカに見せるティーチにその本へ視線を移す。
『本って手配書リスト?』
「あぁ。新しい手配書を足してたんだ」
『そう。仕事熱心だね』
「誰かがやんなきゃならねぇが、皆こまけぇ仕事嫌いだからなぁ」
『そうだね…』
「そういやぁ、最近また強くなったんじゃねぇか?おめぇ、どこまで強くなるつもりなんだ?ゼハハハハハハ!!」
『まだまだだよ。あたしなんて。じゃあ、あたし医務室行くとこだったから。』
手を振り、その場を離れると曲がり角を曲がると壁に背を預け立ち止まるルカは耳をすませる。
「ゼハハハハハハ。ありゃぁ、もし船を離れる時は意地でも連れてかねぇとなぁ…ゼハハハハハハ!!」
笑いながら、去っていくティーチの声にぶるりと体を震わせると。
拳を握り締めて、医務室へと足を進めた。
秘密の時間と黒い企み
(来たよー!)
(ルカ!遅かったじゃない)
(ごめん、エリザ。で?呼び出しの理由は?)
(出港後バタバタしてて渡さなかったから、今になっちゃったけど、プレゼントがあるのよ!)
(まじで?何々ー?)
(はい!ルカさん!)
(ありがと!リリーも一緒に選んだの?)
(むしろナース全員からよ?)
(あ、ミシェルー。何か嫌な予感…)
(そんな事ないわよ)
ガサガサガサ
(………………ミシェル…)
(さぁ!たまにはいいじゃない!)
(皆をびっくりさせましょうね?)
((え…笑顔が…こわい…))
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