destiny-24





あの後もエースは順調に白ひげの船員として、世界に名を馳せていった。
その傍らでルカも堕天使の異名轟かせていた。

そして時は流れエースの加入から1年の時をへて、エースを2番隊の隊長にとの声が高まり始めたある日、その話はエースの耳に入った。

「俺を2番隊の隊長に?」

「あぁ、ずっと欠番だったんだ。お前なら…」

「皆納得だとよっ!」

「……。」

その話にエースは困惑を露にしていた。
もちろんエースの2番隊隊長への就任についてはすでに白ひげや隊長達も了承しており、あとはエース自身が了承するのみとなっていた。

そして、現在2番隊に所属しているティーチに食事を進めながらエースは尋ねた。

「お前、随分古株だろ?何とも思わねぇのか?」

「ゼハハハハ。いいんだぁ、気にすんな。俺はそうゆう野心がねぇのさ。やってくれぇ!エース隊長!」

それをエースの隣で聞いていたルカは

『(あんなにギラギラした目ぇして…野心がない…ねぇ…)』

それからのエースは何日も海を眺めたりしながら考え続けていた。

『そんなに…悩むことでもないんじゃないの?心配な事があるなら親父さんに話してみたら?』

笑って言うルカにエースは難しい顔をしながら1つ頷いた。

その夜、エースは白ひげの部屋を訪ねた。

「親父、ちょっといいか?」

不思議がりながら白ひげはエースを部屋へ招き入れた。

「グラララララ。そうか、驚いた。そうだったのか。性格はロジャーと似つかねぇがなぁ」

「敵だったんだろ?俺を追い出さねぇのか?」

「大事な話ってぇから何かと思えば、小せぇ事考えやがって。誰から生まれようが人間皆海の子だ!グラララララ」

その白ひげの言葉にエースは驚き、だが自然と納得できた。
そして再確認したのだ。
白ひげという男の偉大さ、心の暖かさを。

そして、エースが2番隊の隊長となる決断をしたのはそれからすぐの事だった。

その日は早い時間から、甲板に酒や料理が運ばれエースの為にと宴が始まろうとしていた。

「これで2番隊の隊長はエースに決まりだよいっ!」

マルコが立ち上がり、高らかに宣言したのに続き、男達の咆哮があがる。

「「「「「うぉーーー!!!!」」」」」

呆然としていたエースへ近より、マルコが肩に腕を回し絡む。

「主役のお前が何ボーッとしてるんだよい?」

目の前に置かれた皿から肉をとりエースの口に突っ込む。
それを皮切りに一気に料理を口に運ぶエースに白ひげと隣にいたルカは顔を見合わせ笑い合う。

と、一気に食べ過ぎたエースは食事を喉に詰まらせるとすかさずサッチが笑いながらジョッキ樽を手渡す。

「おら!」

「んぐっ!んぐんぐんぐ、ごっくん。ぶはぁーー!ふぅーー」

渡されたジョッキ樽の中身を一気に飲み干し、一息ついたエースにサッチは続ける。

「おいおい!慌てなくても食いもんは逃げねぇよ!大体お前は今日の宴のしゅや…」

くだろ!と続けようとしたサッチの言葉を遮ったのは…

「ぐーーーー」

相変わらずの癖を発揮したエースのイビキだった。

「こ、こいつ…「「「寝やがった!!!!」」」

それを見た白ひげは座っていた位置からエースを覗き見るとふっと笑い、それは優しい眼差しをエースに向けていた。

『ん、もう!どうしょもないんだから!』

そう言ってエースに歩み寄ると、手を振り上げ、止めろ!と止めに入る兄弟を視線で制すとエースの頭に拳を落とした。

「いっだぁーー!」

『あんたのお祝いしてんのに、何寝てんの?バカエース?』

ニヤリと笑い、エースを見下ろすルカに噛みつくエース。

「おっめぇ!少し優しく起こせねぇのかよ!これ俺のための宴だろ!」

『いつも言ってんでしょーが!食事中に寝んなってぇ!』

ギャーギャーと喚きながら言い合う2人に周囲はがっくりと項垂れるも、顔を見合わせ全員が笑い出す。

それを互いの胸ぐらを掴み合い、唖然としながら周囲を見渡すと、2人も笑い出す。

そこからまた一気に騒ぎは伝染するかのように船上に瞬く間に広がっていった。

笑いあう家族を視界に納めながらルカは船首へ上がり、船首から家族達の様子を眺める。

『やっぱり、暖かいね…。この場所は…』

空を見上げれば見事なまでの満天の星空が広がっていた。
それらを眺め、ルカは1つ決心を決めたのだった。

「ルカーー!何やってんだ!休んでる暇なんかねぇぞ!こっちこぉーーーい!」

エースを筆頭にサッチやマルコまでが手を振りながらルカを呼んでいる。

重い腰をあげ立ち上がると船首を一段、また一段と踏みしめながら降りると一度俯いた。それから、よし…と声を小さく溢すと顔をあげ笑顔を浮かべると走って家族の輪へと戻っていった。



迫り来る運命、堕天使の葛藤…
(あれ?エースが潰れてないのは予想外…)
(俺主役だからなっ!)
(ふーん…ハルタっ!!!!)
(ルカ、潰す気だぞ…)
(いいんじゃねぇかい?祝いの席だしな)
(運ぶのは俺らの誰かだぞ…)
(なに?ルカ?)
(こいつ…やっちゃって!)
(ハルタ…いや、ハルタ様、それだけは!)
(何?エースは僕のお酒が呑めないの?)
(ぎゃあぁぁぁぁぁ!!)

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