destiny-23



あれから半年。
上陸の度に、あたしは1日だけ親父さんの使いとして船を離れ、祖父に関する情報を調べたりしていた。
そして、先日親父さんから許可を貰いシャボンディ諸島へ冥王 シルバーズ・レイリーに会いに船を離れた。

『シルバーズ・レイリーさんですよね?』

「その名を呼ばれるのは…随分と久しいな…。お嬢さんが白ひげのとこの異海の子だね?」

『はい。初めまして…。アマクサ ルカと申します。祖父の事…聞かせて頂けますか?』

「リュウドウの…そうか、そうか!!待っていたよ…。手配書から推測して、もしかして…とは思っていたが、やはりそうだったか。少し面影があるな?その瞳を見ればわかる。よく来たな」

そう言って、レイリーはルカを歓迎した。

シャッキーの店へと移動し、リュウドウとの出会い、乗船、リュウドウの性格、供に闘った日々、元の世界に残してきた家族の事、そして、別れ。その後にリュウドウのした事。
ローグタウンへ発つ前にレイリーに会いに来た事。沢山の話を滞在している間に聞いた。
そこで、レイリーに伝えられたリュウドウからルカへのメッセージ。

『祖父は…あたしが来る事を知っていたの?』

「あぁ。さすがに名前までは知らなかったらしいが…いつか時代の動く前に俺の孫が来るだろうと…私は聞いていたよ。だから、私は待った。リュウドウに託された事を君に伝える為に…」

『そうですか…。レイリーさん!ありがとうございました!話を聞けて、嬉しかったです!』

「あぁ。まだまだあいつとバカをした話は沢山あるまた時間のある時にこの老いぼれの昔話を聞きに来てくれ」

そう笑顔を見せたレイリーにルカは大きく頷くと、そろそろ発たねばならない旨を伝え外に出た。
連れ添うように、外に出たレイリーとシャッキーに深々と頭を下げ礼を伝えると

『すぐに、とはいきませんけど。必ずまた来ます!本当にありがとうございます!』

「あぁ、また会えるのを楽しみにしているよ」

「近くを通る時にも遠慮せずに寄ってね?あたしも楽しみにしてるわ」

はい!!と大きく返事をし、笑いあうとルカは翼を広げまたお辞儀をすると、高く、高く飛び上がると手を振りながら飛び去っていった。

「これからあの子はどれだけ困難な道を進まねばならないのだろうな…」

「でも、あの子なら大丈夫よ…あのリュウドウの孫ですもの…」

「あぁ…そうだな…」


数日をシャボンディで過ごし、昨日モビーへと帰還したあたしは。
ただ困惑しつつも、ひとつの答えにたどり着いた。
そして何としてもあたしはあのおっさんと交わした約束を果たさなければならない。

誓いも新たにあたしは訓練に精をだすのだった。


…………………………………………………………



「ルカー!ただいまぁー!」

随分と近くまできていたバトルシップの甲板から、エースが両手をブンブン振りながら大きな声をだし、ルカを呼んでいた。

『おかえりー!エースー!』

「エースが一人でドーマの一団を落としたってよ!」

「やるなぁー!エース!」

「おーい!エース!今日は宴だぞー!」

手を振り替えしながら、ルカは着実に近付いている時を感じながら、それを今はまだと振りきると帰ってきた弟へ笑顔を浮かべ駆け寄った。

「最近、また様子がおかしいよな…ルカ」

「そうだねぃ…」

そんな会話をしながら、兄二人はルカの背を見つめる。

「こないだ船を離れた時の親父の使いってのは結局なんだったんだ?」

「それがわかんねぇんだよい。傘下の船に行ったわけでもないらしい。どこに行ったのか…全く情報が上がらない。親父も協力して何かしてやがるのはわかってるんだがねい」

「マルコでもわかんねぇとなると、こりゃ骨が折れるな…でも離れた時に何かあったのは確実だぜ?」

「だろうない。あれから隊訓練に更に力を入れだした。敵襲の時なんてあいつがほとんど潰しちまう…」

「お陰であいつの手配書の金額ばっかうなぎ登りだ…今まで以上に危険だぜ?」

「とにかく今は引き続き探りを入れる以外は手はねぇよい」

そう顔見合わせるとこちらに手を振り、騒ぐエースの元へ向かった。

エースの元には兄弟達が集まりこぞって、手柄を褒め称えていた。

「エース!よくやったな!」

「すげぇじゃねぇーか!」

その声に笑顔で返すエースの傍らで笑顔を見せてエースの頭を撫で回すルカ。

『マルコ!サッチ!せっかくエースが帰ってきたのに何眉間に皺寄せて話してたの?』

「いや、これでまた末っ子が調子に乗らなきゃいーがって話してたのよー」

『アハハ!言えてるー!調子に乗りすぎて、隙見せるなよー』

「調子になんか乗らねぇっての!そんなガキじゃねぇー!」

「『え?そうなの?』」

サッチとルカは声を合わせ驚きを露にする。
と、そこへ末っ子の帰還を耳にした白ひげが甲板へ現れた。

「ドーマの制圧に成功したか?よくやったな…エース」

ニヤリと口角をあげ海賊らしく笑う白ひげにエースは笑顔を浮かべ

「あぁ!近々こっちに挨拶に来るってよ!」

「そうか…そんじゃあ今日は末っ子の帰還を祝って宴といこうじゃねぇーか!」

そうして、今宵の宴が決まり船員達は我先にと準備に取りかかった。

「あ!そういやーよ!ルカ!お前こないだ船を離れただろ?その時シャボンディにいたんだって?」

「『…っ!?』」

白ひげとルカに僅かな動揺が見られたが、それをすぐに隠すとルカが口を開いた。

『親父さんに頼まれて、魚人島へ向かってたからね…シャボンディで船とコーティング作業を…ね。誰に聞いたのー?』

「いやよ、ドーマの船の奴がシャボンディで堕天使を見かけたって言ってたからよ!言ったならグラマン買ってきてくれたらよかったのにー。俺あれ好きなんだよ!」

『(シャッキーに頼まれた買い物に出た時か…風でキャップ飛ばされたからな…少し変装も変えないとかな…)そうなんだ?また行く時にでも買ってくるよ』

「親父………ネプチューンに届け物かよい?」

「あぁ、まぁな。あいつの事を気に入ってるし、あいつを寄越せと言ってきたからな」

「そうかよい。何をしてるのか知らないけどよい。あいつの事心配してる奴等がいるって事は心に留めといてくれ」

「あぁ。それくれぇわかってらぁ」

すると、辺りは酒樽が積まれ、次々と料理が並べられ宴の準備が整い出した。

どこからともなく声があがる。

「エースの勝利と新たなる傘下の拡大にかんぱーい!」

その声を合図に宴へと突入したのだった。


動きだした堕天使
(次は買ってこいよな!グラマン!)
(わかったっつーの!うるさいなぁ!)
(てゆーか、次は俺も連れてってくれよ!)
(………いや。エース連れてくと倍時間かかる)
(えーー!ヤダヤダァ!!)
(なっ!どかの駄々っ子だ!諦めてっ!)

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