destiny-22



前回の島を出港して2日。
あたしは暇を見つけては書庫に篭って、異海の民について調べてみた。
モビーの書庫なら大きいし、本の数も膨大だから探せばあるかも?なんて思ったけど全然見あたらず…。
心配させそうだから、聞くのを躊躇っていたけど…もう親父さんに聞く以外に道はなさそうで、善は急げって事でもはや勢いのみでここまで来て、今現在絶賛後悔中…。


「どうしたよい?」

「親父に用か?」

「用済んだら一緒に食堂行こうぜ!」

……………自他共に認めるシスコントリオ…

こいつらに調べものをしているとばれたら…
しかも自分以外の異海の民に関する事…

確実にうるさい。
何で、何で、何でっ!って大騒ぎになる。
ここは何でもないように笑顔で去ろう。

『ううん。特に用はないんだけど、親父さんの体調はどうかなって思ってさ!どう?』

「グラララララ、今日は随分体調いいぞ?にしても、珍しいじゃねぇか?特に用もなく俺のとこに来るなんざ」

よ、余計な事言わないでぇーー!
親父さーーーーんっ!

心のなかで雄叫びを上げながらしれっと会話を成立させる。

『そんな事ないって!たまに来るもん』

「そうか、そうか…。グラララララ。あぁ、マルコお前ら少し外してくれるか?ちょいとルカに用事を思い出した」

「ん、わかったよい。お前ら行くぞ」

えー?何でだよ!なんて、エース達は言うがマルコにどつかれながら出ていった。

不思議に思いながら、親父さんを見上げると

「で?どうしたんだ?あいつらに聞かれたくねぇ話があんだろ?」

そうニヤリと笑いながら問いかけてくる親父さんに、苦笑いを返しながら

『ふふ、お見通しってわけね?』

「俺を甘く見るんじゃねぇぞ?おめぇの親だからなそんぐれぇわからなくて、どうする?」

『さすが、親父さんだね!』

「で?どうしたんだ??」

真剣な顔で訪ねてきた親父さんに、あたしも真面目な顔を見せ、話し出した。

『親父さん…あたし以外の異海の民について何か知らない?』

「やはり、か。あぁ、お前以外に一人だけ会ったことあるぜ?」

『っ!?聞いても?』

「あれは、大海賊時代が始まる数年前だ。」

そこで、聞いた親父さんの話にあたしはただ驚きしかなかった。

それが本当なら…あたしの知るONEPIECEの話はその人が変えたものだという事だ。

『ありがとう。親父さん。これから、上陸する時は1日だけ親父さんの指示での単独任務って事で船を離れてもいいかな?あたし自身でも少し調べい…』

「あぁ。いいだろう。あいつらにはそう話してやる。」

『それじゃあ、あたし部屋戻るよ。ありがとう。親父さん』

「あんまり根を詰めすぎるなよ?あいつの事を知りたいなら、冥王……レイリーに話しといてやる。あとで、連絡を取るといい」

『うん。ありがとう。』

そうして、あたしは親父さんの部屋を後にして自室へ戻った。




親父さんの話はこうだった。

ゴールド・ロジャーの処刑の数年前…ロジャーの乗る船に一人の男が現れた。
男の名前はリュウドウ……
彼は、ロジャーの船にそのまま乗り戦闘員として瞬く間に名をあげていったそうだ。
そして、彼も悪魔の実を食べていた。
ゾオン系幻獣種 麒麟。
そして、彼は…ロジャーの処刑後…ロジャーの亡骸を抱え姿を…消した。
あたしの知る話には彼は出てきてはいないが、ロジャーの処刑後亡骸についての描写は何一つ描かれてはいなかった。
それもおかしな話なのに…別段不思議には思っていなかったが、この話を聞くとあたしの知る話にはおかしな部分があるのも確かだった。

そして、何より驚いたのは…リュウドウの事。

「どんな因果か知らねぇが、リュウドウのfamilynameはアマクサ。アマクサ リュウドウ。おめぇ心当たりはねぇか?」

親父さんにそう聞かれた。
あたしは内心驚いた。アマクサ リュウドウ。

あたしの実の祖父の名だ。
あたし自身会ったことはないけれど。
戦地に行ったまま、帰ってこず。戦死したとされていた祖父は、戦死しておらず。
あたしのように、この世界に堕ちてきていたのだ。

親父さんにも、多分その人物はあたしの祖父であるかもしれない事だけは話しておいた。
これが何を意味するのか…。
今はまだわからないし、もしかしたら単なる偶然であたしと祖父がたまたま選ばれたのかもしれない。

それでも、あたしは祖父の軌跡を辿らなくてはいけない。
もう会う事のないだろう肉親が…この世界のどこかでまだ生きているかもしれない。
それなら、あたしの存在を知らせたい。
ひとつの今出来る事に辿り着く。

今よりもっともっとこの世界に名前を轟かせよう。

もし、この世界に祖父がもういないとしても。
この空にまで轟くくらいに。

茜色に染まった空を見上げ、新たな誓いを胸へと刻み込んだ。


いつか必ず探しだそう。
祖父の軌跡を。




偶然か必然か…新たなる真実

(お!ルカー!親父の話終わったか?)
(うん!もう夕飯でしょ?)
(一緒に食堂行こうぜ!さっきは行けなかったからな!)
(はいはい。じゃあ、いこうよ)
(今日はなんだろーなぁ?)
(さぁ?何でも胃に入れば、エースは一緒じゃん)
(そんな事ねぇ!)
(あ、そう…)

(あいつの孫だったとはな…。おめぇ、今どこにいんだぁ?)

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