destiny-21



上陸の最終日は、前日の騒動のせいでまさかの外出禁止を言い渡されたルカとエースはぶーぶーと文句を言いながらマルコ達を見送った。
明日の明朝、島を出港する。
つまり、これから信じられない量の物資の搬入が始まる。それを二人の指揮の元迅速に終わらせる事が今回二人に課せられた任務だった。

「はぁ〜。あいつらはこれからお楽しみかよ…なのに、俺は物資の搬入…」

『ちょっと!?エースうるさいよ!いいから、この搬入リスト一通り目通しておいてよ!あたし一人でこの量は無理っ!!』

「わぁーたよ…」

渋々ルカから書類を受けとるとリストに目を通す。
その量はまさに大所帯である白ひげ海賊団ならではであった。

『よし!そろそろ1発目くるよ!食料、調味料なんかのチェックは4番隊。砲弾や銃弾の火薬類は16番隊。日用品は8番隊。酒樽や水、飲料は11番隊がチェックして!チェック終わったものから速やかに各倉庫へ搬入!あたしとエースは武器類のチェックね!監視電伝虫とかの有無もきっちり確認してねぇ』

そうして次から次に運び込まれる物資を各隊に割り振りながら迅速に速やかに搬入を終わらせていく。

そうして、全ての搬入が終わる頃には綺麗だった青空が夕焼けと迫る夜へと染まっていた。

「なんとか夜までには終わらせたのか!ご苦労さん!」

声に振り向くと今帰ってきたのだろう。サッチとマルコが甲板に降りこちらへ向かってきていた。

『終わったよー。さっきねぇ』

エースと背中を合わせぐったりと座り込み2人に返事を返すルカ。

「お疲れさん。あとは任せて、夜の宴まで好きに過ごせよい」


『んー、わかったぁー』

「よし、ルカ!俺を食堂まで運んでくれ!!」

『なんで?自分で歩きなよ…』

「俺は疲れて動けねぇ。更に!!腹が減りすぎて動けねぇ!」

『……………知るかっ!あたしだって疲れてるの!自分で行きな!それに、怪我でもないんだから、仮にも女の子なあたしに頼るな…』

「ちょいちょい、ルカちゃん?自分で仮にもなんて言っちゃだめでしょ?」

『もう、今は疲れすぎてそんな事気にしてらんない…』

「エースは自分で這っていけ!」

「ひでぇよー、マルコー。あ、わかった!」

「?なんだよい」

「マルコが俺を担げばいんだよっ!」

「『(ゆ、勇者だ……)』」

「ほーう。冗談が言えるとこみると、まだまだエースは元気なようだねぃ?」

「ん?いや、俺冗談なんて……」

マルコはエースに近寄ると首根っこを掴みズルズルと引きずりだした。

『あれ?まさかのですかね?サッチさん?』

「まさかのまさかみたいですよ?ルカさん」

「おめぇは、俺の部屋で書類の整理手伝えよい!なぁ?」

「え?いや、俺嫌だよっ!!飯、飯が待ってんだよー!ルカーー!サーーっチー!!」

『マルコに限ってスルーするはずないか…ご愁傷さまです』

「だよな。予想の範疇だ…残念ながら…」

『よし。エースの代わりにあたしが食堂に行こう。サッチ、おやつ作ってよ』

「おう、いいぜー!何が食いたい?」

『おっきいチョコのケーキ!可哀想だから、エースに半分運んであげる』

「よし!じゃあ、食堂行くか!」

そしてサッチとルカは食堂へ、マルコとエースはマルコの部屋へと別れた。

その夜は出港前の宴が行われた。
明日からまた海の上、航海の無事を祈り、彼等は酒を掲げる。
そして闇に飲まれた海を眺めながら酒を煽るのはルカ。


『(エースが今18…あの事件はエースが20になった年に起こる…あと2年……必ず変えてみせる!あと、ドフラミンゴにあぁ嘘はついたけど。異海の民があたし以外にいたのは知ってても、何も知らないんだよな…ちょっと調べる必要がありそうだな…)』

「ゼハハハハハ、そんな深刻な顔をしてどうしたんだ?」

『ティーチ…。いや、別に。そういうティーチこそ、何か用?』

「あぁ、聞いてみようと思ってな…」

何やら企んでいるような凶悪な笑みを浮かべ、1歩、また1歩とルカに歩みよるティーチ。

『何が聞きたいの?』

漏れでそうな殺気をなんとか抑え込み何でもないように笑顔を浮かべ訊ねる。
すると、目の前まできたティーチはそこで足を止めるとルカを見下ろした。

「なぁ、これはもしもの話だ。俺がこの船を降りて海賊団を作るとしたらお前一緒にこねぇか?」

『っ!!?!な、に言ってんの?あたしは親父さんの側は離れたりしない。残念だけどお断りしとくわ』

抑え込んだ殺気が微量ながら漏れ出す。
だが、それでも何とか平然を装いながら答える。
それをにやにやとした顔のまま聞くティーチは、そうかと溢すと笑いながら離れていった。

『くそっ…こんな前から仲間探しに動いていたの?家族の目を盗んで…』

拳を作り、ただティーチの去っていった方を睨み付け拳を握り締めた。
イライラとした気持ちを目に入った空の樽へとぶつける。
山積みになっていた樽は案の定ガラガラと音をたて崩れ落ちる。その音に家族が集まるが

『ごめん、ごめん。少し飲みすぎたみたいだ。先に…部屋に戻るよ。』

そう集まった家族に笑いかけると、ルカは部屋へ向かおうとした。が、腕を掴みそれを遮ったのは

「なんかあったのか?」

心配そうに眉を下げ、笑いかけるサッチだった。

『大丈夫。少し疲れたみたいだから、もう部屋で寝るよ』

そう笑いかけるが、サッチと後ろにいたジョズやマルコは怪しみ、顔を覗きこんでくる。

「ほんとに、疲れただけか?」

『ほんとにほんと!じゃあね、楽しんで!』

手をふり船内へと入っていくルカを隊長達は心配そうに見送った。

「大丈夫かねぃ?」

「しつこく聞いたとこで切れられんのがオチだ。あいつが話すのを俺らは待つしかねぇな…」

「ただ待つのはなんとももどかしいものだな…」



闇が追いすがってくる

(とにかく、今は異海の民について調べよう…)

(あいつを引き入れられたら…俺は敵なしだぜぇ、ゼハハハハハ、ゼハハハハハ!)

(無理やり問いただすのも手なのかねぇ…どう思うよ?マルコ?)
(待つっつったのはお前だよい)
(あー、そうだよな…)

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