travel-29
「やーっと起きやがったか。寝坊助の娘は!!グララララ」
『心配かけました!!』
頭を深々と下げてから、顔をあげ笑顔を浮かべたルカ。
『しかも、見てくれもすーっかり変わっちゃって!!あっはっはっ!!もうすぐ、覚醒が起きるとは聞いてたんだけどねー!!急だったからびっくりよー!!あっはっはっ!!』
「聞いてた?……どうゆう事だよい?」
『こないだ夢におっさんが現れてさ!!』
「おっさんて、ルカに闘い方とか色々教えたやつか?」
『そうそう!!で、覚醒が近いとは聞いてたけどいつ起こるかはおっさんもわかんなかいって言っててね!!多分ショーンがやられたので、あたしぷっつんしてさ!!それがきっかけになったみたい!!』
『あ!!そう言えばショーンは!!』
「次の日には目覚まして、今はもう動き回ってらぁ!!」
『そっか…よかったぁ』
「で?その髪と瞳は何なんだ?」
『これはあたしも予想外だったんだけど…多分悪魔の実の本当の名前はハネハネの実、モデルルシフェル』
「ルシフェル?って、あれだよな?神に背いて地に落とされた…?」
『そう。こっちでもその認識で間違いないみたいね。6枚の翼は燭天使の証。燭天使は大天使とも言われるから、元は大天使だったルシフェルが地に落ちて悪魔の力も手にして、最終的に悪魔の実に宿ったンだと思うよ』
「なんか、小難しいな…」
『それで、この色はルシフェルの地に落ちてからの色なんじゃないかな?特にこの紅い瞳はね』
「結局、お前であることに代わりはねんだろ?」
『ラクヨウさん、考えるの放棄したな…まぁそうだけどね。で、慣れるまでは力使う度に眠っちゃうから…早く慣れる為に訓練が欠かせなくなる。少しの間迷惑かけるけど、お願いします!!』
「おーし、訓練付き合ってやる!!」
「俺もね」
「ずるいなー。僕も手伝うよっ!!」
「俺も暇な時は付き合ってやるよい!!」
「私も共に鍛練しようかね」
『皆!!ありがとうっ!!よし、じゃあ早速!!』
「待て!!待て待て!!今日はいいよ、明日からにしよーぜ!!」
『はぁ?何でですか?サッチさん』
「当たり前だろーが、今日はお前の目覚めた宴だ!!」
『親父さん…。はいっ!!じゃあ、甲板先に行ってるねー!!』
走り去るルカを見送り、隊長達は目をあわせると、苦笑いを浮かべた。
「目、覚ましたばっかでも相変わらずのようだな」
「日替わりで隊訓練に参加であいつは大丈夫かね?」
「止めてもやるだろうな…よく見てやれ、無茶ばっかするだろうからなぁ。グララララ」
そうして隊長達と白ひげは甲板へ向かった。
甲板ではルカを中心に大きな輪が広がり、妹の目覚めを喜び既に騒ぎが起きていた。
ルカはもみくちゃにされ、ボロボロだが終始笑顔を浮かべていた。
宴も終盤に差し掛かり、甲板のあちこちからイビキが聞こえてくる。
その間を縫うように船首に近付く影がひとつ。
影は月明かりに照らされた白鯨の上に立つと、暗い海を見据えていた。
「どうした?」
『親父さん…休まなくていいの?』
「久しぶりに起きた娘と話がしたくてな…」
『あたし、この力を必ず制御してみせるよ。それで…必ず。必ず皆を守ってみせる…』
「それが、お前がこっちくる時に交わした約束か?」
『この先に大きな闘いがきっと起こる。でも必ずあたしが…』
「気張りすぎんじゃ…ねぇぞ。おめぇは一人じゃねぇんだからな。何かあったらいつでもこい…」
『ありがとう…親父さん。じゃあ、あたしは休もうかな!!』
「あぁ、そうだな」
『親父さん、今日一緒に寝てもいい?』
「グララララ!!甘ったれか、いいぞ。」
『やったーーぃ!!じゃあ、行こうよ♪』
堕ちた旅人
旅の始まり、出会いの章
only ones in the life
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