travel-28




あいつが、眠って1週間。
一向にあいつは目を覚まさない。
そして俺はあの日親父に呼ばれた時の事を思い返していた。

ルカのあの変化は海軍のいう覚醒であること。

多分そのせいで、ルカは今眠っているだろうこと。

親父自身初めて見た実だから、これ以上の事は知らないらしい。

ただひとつ言えるのは、悪魔の力とは正反対の力が今主となりルカの中で渦巻いている事は間違いないんだろう。

そして、その事を隊長全員と船医のジェット、ナースのエリザに説明。
そこから、隊員やナース全員へと話は伝わった。
そして今回一番責任を感じていたモーリス海賊団の奴等にも。
ルカの説明をした。

そして、何度も謝りながら自分達の船のある港へ他の傘下の海賊達と去っていった。

なかなか目覚めないルカに、日に日に不安の声も上がった。

このまま目覚めないのではないか。

目覚めた時、それは本当にあいつなのか。

いろんな目測は飛び交い、でもあいつを心配する声ばかりだった。

甲板で、紫煙を燻らせながら遠い海を眺めながら、妹の目覚めを待っていた。


「サッチ隊長っ!!ルカが、目覚ましました!!すぐ、医務室へ御願いします!!」

甲板へ駆け込んできた船員の肩を叩き礼を告げると医務室へと駆け出した。

甲板からは歓喜の雄叫びが上がっていた。


医務室の扉を勢いよく開け放つと、1番奥のベットを囲むマルコを筆頭とした隊長達がいた。

そこに駆け寄ると、苦笑いを浮かべたルカが上半身を起こした状態で腰かけていた。

『サッチさん、おはようございます』

こちらに視線を向けたルカが、微笑みながら告げた。

『起きた途端囲まれて、お説教されてて助けてもらえません?』

肩を竦めて、困った顔を浮かべて俺に言った。

「そのまま少し説教されとけ!!皆がどれだけ心配したと思ってやがる!!」

『えぇっ!?サッチさんもそっち側!?』

「そっちもあっちもねぇーよ!!少しは反省しとくんだな!!」

えー!!なんて言いながら、少し長い自分の髪を指でくるくると遊んでいるルカ。
こいつ、随分ぶってー神経してんのな…なんて呆れてたら、ルカが自分の髪が巻き付いた指を凝視しながら動きが止まった。
そのまま数十秒見つめ続けた後…俺らもびっくりな雄叫びを上げた…


『ぎゃーーーーー!!あたしのっ!!あたしの髪がっ!!どうしたの、これっ!!!!』


どうやら、覚醒した本人はその事に微塵も気づいていなかったらしい…。



目覚めた堕天使の驚愕…


(え?お前気付いてなかったのかよい?)
(エリザー?鏡持ってきて?)
(はい、ハルタ隊長)
(これが全貌だよー)
(………銀髪、紅い眼…)
(おーい?ルカ?)
(んだ、このミラクルはっ!!!!)
(おかしくなったよい)
(目覚めに刺激が強かったみたいだねぇ)
(とりあえず、親父に起きたった伝えてくるよい、落ち着いたらつれてきてくれ)


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