travel-27




感情が昂ると、あたしは内からみなぎる力に気付いた。

そのままに海楼石の手錠を壁に打ち付けると、手錠もろとも壁も吹き飛んだ。

そして、背中から翼をだし一歩また一歩と歩む。

その時サッチの声が聞こえた。
あたしを呼ぶサッチの声に顔を向けるとショーンを抱えたサッチがいた。

その後ろにはマルコ。

見渡せば皆があたしを見てた

『全ての船から撤退の命令を…』

マルコさんを見据え伝えると、あたしは黒金を武器に戻し、黄猿の方へ向いた。

慌てながら、全隊に撤退の命令を告げたマルコさんは船に戻らずあたしの側にきた。

「お前はどうするんだよい?」

『少ししたら戻ります』

そう告げた直後、殺気を孕みながら空へ飛んだマルコさんにうっすらと笑みを向けると黄猿と向き合った。周囲は武器を構えた海兵達。

「一人残ってどうするつもりだ〜い?」

『今すぐぶち殺してやりたいけど、話が大きく変わられると困るから見逃してあげる。でも、今すぐここから去ってもらおうかな』

「そうだねぇ。さすがに覚醒されちゃあ、俺は尚更手が出せないからね〜。今はひいとこうかね〜」

『それでも、これくらいはさせてもらうね』

そう言って翼を羽ばたかせ飛び上がると、翼から数十枚の羽が矢のように飛び5隻の船を襲った。

そうして黄猿の軍艦を残し監視船が全て沈没。
海軍は引き返していった。


そのままモビーディックへ急いで戻ると呼び止める兄達をそのままにショーンの身を案じ医務室へと走り去るルカ。

「とうとう覚醒したか…マルコ、あとでサッチを俺の部屋に呼んでおけ」

「わかったよい…」



ところ変わって医務室では。

『ショーンはっ!!』


すっかり姿のかわったルカに事情を知らぬナース達は目を見張る。

それから慌てて、

「ショーンは無事よ。少し血がですぎたけれど、命には関わらない。まぁ、当分安静が必要だけれどね」

そう告げた。

ほっと安心したルカは突然糸が切れたように倒れてしまった。

「ルカ!!!!」

それを慌てて受け止めたのはサッチだった。
死んだように眠るルカをベットへと寝かせると、そっと頭をなでた。

「サッチいいかよい?親父が呼んでるよい。ルカには俺がついておく、行ってこい」

それに頷くと、もう一度ルカの髪をなでサッチは医務室をあとにした。

「あのマルコ隊長?ルカはどうしたのですか?」

「あとで親父から説明があるだろうよい。少し待っててくれ」

「わかりました…」

家族達の心配をよそに、ルカはそれから1週間もの眠り続けた…。

覚醒の代償


(早く…早く起きなさい。皆心配してるわ…ルカ)

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