travel-26




現在。
海軍の船6隻に囲まれるように白ひげ海賊団の船モビーディックは海に浮いていた。

15の隊にプラス傘下の海賊モーリス海賊団を加えた海賊勢はモーリス海賊団とイゾウ率いる16番隊をモビーに残し、1から15番の隊は別れ海軍船にて戦闘を繰り広げていた。

そしてルカのいる黄猿の軍艦には2番隊は隊長欠番により他の隊の援護に回っているが1〜4番隊を率いてそれぞれの隊長が戦闘を開始していた。

ルカはその様子を海楼石の手錠のせいで力が入らず見守る事しか出来ない。

黄猿はルカを背に置き、戦況を見守る。
だが、何分劣勢の為ルカを自室に閉じ込め自分も戦闘に参加する事にしたらしい。

「堕天使は少しここにいてもらおうかね〜。部屋から絶望を味わうといい。君の調べは一通り済んだ。その上で君は世界政府の厳命により海軍で身柄を拘束させてもらうよ〜」

『嫌に決まってんでしょ!!ちょっ!!はーなーせー!!このバカ猿!!』

「怪我は極力さけるよう言われたが、やかましいね〜」


そう告げると黄猿は光の矢を放ち、それはルカの両足を貫通。
さらには、腹にまで風穴を開けた。

『いった…』

傷からは血が流れ、海楼石のせいで傷は漆黒の羽に姿をかえず。
踞るルカを片手で持ち上げると自室へ投げ入れ、鍵をかけると黄猿は戦闘へ繰り出した。

「てめぇ、黄猿っ!!ルカはどうした!!」

「さすがに隊長が3人も来たら海兵じゃ持ちこたえられないからねぇ、部屋に隠してきたよ〜」

「さぁて、狩りを始めようかぁ〜」

そう言って、黄猿は体を光に変えながら一人また一人と船員を倒していく。

それを止めようと動くマルコ。

サッチとジョズはお互い黄猿の船に乗り合わせた将校と戦闘していた。

その様子を窓際に這いながら近寄ったルカは歯を食い縛りながら拳を握りしめ見守っていた。

『皆が傷ついてくのに、あたしはこんなとこから出ることもままならない』

握りしめた手から爪が食い込み血が滴り落ちる。

と、マルコの相手をしていた黄猿が部下の危機を目にし相手の男を背後から撃ち抜いた。

男は背中から撃たれ踞る。
隊長達は焦ったように声を張り上げた…


「「「ショーン!!」」」

『え?』

そこには倒れ込む仲のいい兄の姿。
共に買い物をし、イタズラや仕事もこなし。歳もあまり変わらないのに、いつも笑いながら頭をなで、可愛がってくれたショーンがいた。

『ショ…ン?』

涙が頬を伝う。

頭のなかは真っ白になり、直後ルカの思考を覆ったのは、悲しみ、怒り。

涙を貯める瞳は、怒りを帯びて黄猿を見据えた。







「「「ショーン!!」」」

隊のなかでもルカを本当の妹のように可愛がっていたショーンがやられた。
倒れたショーンにかかってくる将校をぶっとばしてから駆け寄ると、出血もひどく、息も浅い。一刻を争う怪我だ。

一旦船に引き換えそうとショーンを担ごうとした時。

どごーーーーん


海軍の船の一角が吹き飛び、視界は砂埃により奪われた。

そして、視界が晴れた時そこには人影が見えた。
目をこらし、そちらを見据えると


白銀の髪を靡かせ、背には6枚の漆黒の翼。瞳は紅く色を変えた。
そこにいたのは、守ってやりたいと願った妹の姿だった。


堕天使の目覚め

(許さない。裁きを受けるといい)
(ルカ…?)
(あちゃー、覚醒したみたいだね〜)


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