Savior-62



赤い土の大陸 聖地マリージョア。
ここでは、五老星が顔を連ねていた。


「全く・・・話題の尽きん奴らだな・・・麦わらのルフィ、そして・・・異界の堕天使アマクサルカ。・・・ガープ・・そしてあの先見の孫と言えば・・・妙に納得だが・・・」

「異界の堕天使とレイリーとの繋がりもあってか・・・麦わらとレイリーの接点もまぁ、理解は出来るが・・・それに今更表舞台に奴が出てくるとも思えん」

「ジンベイもいよいよ敵対したな。奴の七武海加入は種族間の和解を象徴していたのだが・・実に残念だ」

「白ひげは逃げ、堕天使も手中へ納められず・・・もはや我々の威厳が・・・今回の堕天使の働きに世界は我々に疑心を持った可能性が否めない。海賊の全てが悪ではないのではないかと・・・」

「そんな事よりも、今は七武海に空いた3つの席をどう埋めるか・・・」

「新世界の動きを少し待つべきだ。新世界での勢力図が今回の事で変わる可能性もなくはなし・・」

「今まで、傘下に入っていなかった奴らがこぞって白ひげのもとへ向かうとしたら・・・」

「後は、今回の事でまた出てきたストッパーとも言えた赤髪も動きを見せる可能性も否めん」

「・・・・・今回、ロジャーの息子であるエースを取り逃した事で更に世間の目にDが触れる・・・厄介なのはいつもDだ・・・」



同じく、聖地マリージョア。
世界政府全軍総帥・コングとセンゴクが話をしていた。


「引き止めたが、ガープは実質職を下りた」

「・・・・・・・・!!」

「だが、肩書きはそのままに、軍には残ってもらう。若い海兵の育成の為にもな。海軍元帥を辞めると言うなら・・・せめて、お前もそうしてくれ」



そう言ってセンゴクを見据えたコングを見返し、センゴクは暫し黙すと口を開いた。


「えぇ、それなら引き受けましょう。そういう余生もいいかもしれない」

「・・・・・・ロジャーの時代から海軍を前線で引っ張ってきた2人が現場を離れるとなると、これは大ニュースだな。インペルダウン、レベル6からの脱獄囚も含め伝説と呼ばれる海賊はまだおるぞ」

「その頂点が、ニューゲートだった。この戦争を機に、前線から奴ら白ひげが引き始める可能性もなくはない・・。そうしたら・・・この海賊時代が生まれ変わろうとし始めている今・・・海軍に老兵がのさばってどうします。正義は価値観・・・世代は越えられない。」


そう話す2人の会話が止まると、センゴクが真剣な顔で告げた。


「コングさん、次期海軍元帥に私からは、青キジを推薦したい」



その頃、再建中の海軍本部内で、新聞を読んだ青キジがスモーカーに言った。


「生きてたなぁ〜見事に。お前聞いた?ルカちゃんと麦わらがまた騒ぎを」

「・・・・・・・・・・えぇ」

「舌の根も乾かねぇ内に・・・16点鐘!?何かのメッセージかねぇ?」

「さあね。それより俺の異動の件は?」

「・・・・まぁ、センゴクさんに掛け合いはするが・・・本気かお前?G5ってのは志望して行く様な場所じゃねぇ・・・問題だらけだあそこは・・・海軍G・L第5支部・・・つまりは新世界に行きてぇわけね・・・」

「標的は近いほうがいいんで・・・」

「麦わら・・・か。俺もたまには新世界に遊びにいこうかなぁ??」

「やめてくれ・・これ以上面倒ごとを増やさないでくれ」

「それどういう意味よ・・・」

「あんたは、堕天使に会いに行きたいだけだろう?」

「何よぉ〜いいじゃないのさ。生きてるってわかったなら、見舞いがてらこう・・ふらっと?」

「あんた、総攻撃掛けられるぞ・・・」


そう無言で睨みあう青キジとスモーカーの話は平行線を辿るのだった・・・。



そうしてこちらは・・・海軍本部議事の間。

居並ぶ多くの将校を前にブランニュー少佐が議事進行をしていた。


「あまりに不可解!!」


ブランニュー少佐の背後に掲示されているのはルフィとルカの手配書と新聞記事。


「頂上戦争によりポートガス・D・エースの義弟であり、革命家ドラゴンの息子であり、ひいては我が軍のガープ中将の孫であることが発覚した海賊 麦わらのルフィ。そして、死亡したと思われていた堕天使アマクサルカの生存発覚、この2人。消息不明でありましたが生きており、再びこの海軍本部に現れた!!!供に行動していた者達はといえば・・・かの裏切り者、元王下七武海 海峡のジンベイ!!!更にあの海賊王の船の元副船長!!冥王 シルバーズ・レイリー!!そして・・、白ひげ海賊団1番隊隊長、不死鳥マルコ!!!」


ブランニュー少佐により上げられた人物達の名前にそれぞれが眉を寄せる。


「マリンフォードは現在街の復興の為の作業員や世界各地より集まる野次馬、そして各国の取材陣達。民間の出入りも多く、かたや海では、此度の海軍の事実上の敗戦に勢いついた海賊たちが次々に事件を起こしています!!動ける海兵は本部を離れるばかりで警備も手薄になっているところ・・・それを知ってか、5人は突如そこへ現れ軍艦を奪いその艦でマリンフォードを一周したのです!!!これは海における水葬の礼!!!!その後、モンキー・D・ルフィとアマクサルカは大胆にも2人で広場に踏み込み、広場の西端にあるオックス・ベルを16点呼!!!そして、まだ広場に残る戦争の大きな傷跡に花束を投げ込み堂々たる黙祷!!!」


バンッとブランニュー少佐が壁に張られた新聞記事に手のひらを叩きつける。
新聞の記事には麦わらを胸にあて、目を閉じて黙祷をするルフィと同じく胸に手を当てて目を閉じ黙祷をするルカの写真。
ルフィの右腕には、今までにはなかった刺青のような模様が見える。


「その姿を大喜びで撮る取材陣−−−したがってこの記事はもう世界中に出回っています。我々がまんまと取り逃がしてしまった事まで…!!何たる屈辱!!単純に読めばこの戦争でなくなった堕天使の元仲間である黒ひげの追悼とも取れますが…深いところはわかってはいません。ですが…これだけは確実!!凶事を知らせる鐘ならば2回と決まっています。それを16回!!16点鐘は我々への挑戦状と受け取れます!!!」


その頃、新世界では。


「生きてやがったな…ルカ!!」


新聞を読み上げたのはユースタス・キャプテン・キッド。


「マリンフォードで新時代への16点鐘‥オックス・ベルってのはなんだ?」


キッドの問いかけにキラーが答える。


「オックス・ベルってのは大昔に活躍した軍艦オックス・ロイズ号に取り付けられていた神聖な鐘だ。年の終わりと始まりに…去る年に感謝し鐘を8回。新しい年を祈り鐘を8回。締めて16回の鐘を鳴らすのが海兵のならわし。それが16点鐘。つまりは、時代の終わりと始まりの宣言と取れる」


キッドは改めて新聞記事に目を落としながら、口元に笑いを浮かべて言った。


「白ひげの時代が終わり…俺が新時代を作るとでも言いてぇのかこいつぁ…」

「そういう意志がなけりゃわざわざあんな危険な場所にまた舞い戻るわけがないでしょう」


そう言った部下の言葉にキッドは高らかに笑う。


「ハハハハハ‥!癪に障る野郎だぜ!!確かに戦争の件でコイツはルーキーの中でも確実に頭一つ抜きでた。だが、このまま走らせる程甘くねぇぞ、俺は」


そして目の前に縛られた海賊へキッドが言う。


「新世界?もっと驚かせてくれると思ったが何だこの腰抜けども」


睨みつけてくるキッドに海賊たちは命乞いをする。
だが、そんな海賊たちにキッドが返した言葉は…。


「楽園?暖かい家庭のことか?」


そう言って、その海賊たちにとどめを刺した。


「死ぬか生きるか!!そんな覚悟もねぇ奴が、この海に来るんじゃねぇよ!!」



そうして、こちらは、アマゾン・リリーへと向かう九蛇の海賊船。
その船内で、甲板から海を眺めるのはルフィとルカ。


「ちゃんと届くかな。あいつらに…」

『大丈夫だって!!なんだかんだ、あいつらなら分かるよ』

「あぁ、そうだ。記事を見れば伝わる筈だ。君らしくない行動こそが鍵。1人鈍そうな男がいたが…まぁ、何とか分かるだろう、君たちならちゃんと伝わる‥そんな気がする」


レイリーの言葉にルフィが頷き、ルカが言った。


『ねぇ、レイリーさん?その鈍いってゾロだよね?』


ニヤニヤとしながらの言葉に悪意を感じ取ったのはマルコ。


「(あいつ…そのゾロとか言う奴で散々遊んできたみたいな様子だな…)」

「あぁ、彼は少しな…鈍そうだが。まぁ、大丈夫だろう」


そんな事を話していた後…それぞれの場所で、仲間たちがメッセージを受け取り笑顔を浮かべていたのだった。



写真に託したメッセージ

(あぁ〜〜〜!!そうかわかったぞ!ルフィ!俺わかった!!)

(了解、ふふふ)

(そうか…ルフィ)

(もうちょっと待て‥!!ルフィはこんな奴じゃねぇ、なんかある。レイリーが一緒って事はこいつの差金だ…必ず何かある…!!)

(…わかった!!わかったぞルフィ!!!)

(人の気も知らないで‥勝手なんだから)

(成る程)

(あー、そういう感じに!!!)


それぞれに届いたメッセージはいかに??


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