Savior-57





ローの船から出たルカの視界には久しぶりの太陽の光が目に突き刺さる。


『まっぶし・・』


「トータルしたら随分と寝てたからねぇ・・大丈夫かい?」

『・・そういえば、あれからどの位立つの?』

「えっとね、5日はたつよ?」

『そんなにっ!!?』


ルカの上げた驚きの声に甲板にいたローの船員達が気付く。


「おっ!!起きたのか!!」


駆け寄ってきたのはシャチ。


『あ、シャチ。久しぶり・・かな?』

「シャボンディを考えてもそうだな!俺はなんだかんだ寝てるお前の顔見てたからそんな事ねぇけど」


それから次々に掛けられるローの船の船員からの声に1つ1つ言葉を返しながらルカは礼を伝えながら、夜は宴だから来てね!っと声を掛けるのも忘れない。
そんな騒ぎを聞きつけたのか、モビーの甲板から声が上がる。


「おーーーーい!!ルカが来たぞぉぉぉぉぉおお!!」


上がった声にルカがモビーを見上げれば、甲板から沢山の兄弟たちが声を上げて手を振っている。


『皆っ!!!おぉーーーーーいっ!!心配かけてごめんね!!今起きたぁぁっ!!』


そう言って両手を大きく振りながら叫ぶ。と、少し遅れて船縁から顔を出したのは、白ひげとエースとルフィ。


「おぉぉぉぉ!!ルカ!!やっと起きたんだなっ!!」

「早くこっち来いよっ!!ルフィが煩くてかなわねぇ!!」


ルフィとエースの声に手を振って答えると、ルカは優しい眼差しを自分へと向ける白ひげを見つめた。


「そこで何してやがる?早くこっちに来いってんだ」


優しく紡がれた言葉に頷くとルカは久しぶりにその背に翼を出して、甲板の床を蹴った。
そしてそのまま白ひげの元に飛ぶと白ひげの首に抱きついた。


『オヤジさん、白ひげの堕天使アマクサ ルカ。ただ今帰りました。沢山沢山心配かけて、悲しませてごめんなさい』


そう言って体を離したルカは、白ひげの顔を見つめる。


「全くだ・・・親より先に行こうとするなんざ。親不孝もいいとこだ。もう2度とあんなアブねぇ事すんじゃぁねぇぞ?」


厳しい目でそう諭す白ひげの目を見てルカが頷いたのを確認すると白ひげは笑みを浮かべた。


「よく帰ってきてくれたなぁ、バカ娘が!!グララララ・・・」


そう笑って、白ひげはルカの頭を撫でる。
その瞬間白ひげの足元には、ルカの兄弟たちが集まる。


「んっとだぜ!!おめぇは無駄に心配やらかけやがって!!」

「もうあぶねぇ事すんなよ!!」

「おい、おめぇ何泣いてんだよ!」

「泣いてねぇよっ!!こりゃぁ、汗だ!バカ野郎!!」

「ぎゃははははは・・・・」


賑わう甲板に足を運んだ男はその視線の先にいるルカを見つめる。



「ルカっっっ!!!!」



あがった声にルカは振り向くと、そこにいたのはスクアードやホワイティベイ、マクガイとドーマがいた。


『皆も、来てくれたの』


にっこりと笑顔を浮かべて4人の目の前に降り立った。


「全く、心配をかける子だね?もう平気なのかい?」

『うん、もう大丈夫!ベイ、心配かけてごめんね』

「あんまり無茶するんじゃないぞ?お前の知らせを聞いたときは心臓が止まるかと思った」

『ごめんね?マクガイ・・』

「お転婆も程々にしねぇと、お説教なんかですまなくなるぞ?」

『ドーマが言うとまじで怖く感じるんですけど?』


そうして3人がルカの頭を撫でていると、スクアードが声を張り上げた。


「ルカっっ!!」


その声にルカは弾かれたようにスクアードを見て苦笑いを浮かべる。


『スクアード・・・あのっさ「ありがとうなっ!!」え?』

「お前が俺を止めてくれた。だから、俺はまたここにいられる!!」

『スクアード・・・』

「ルカが、オヤジが俺を止めてくれたから。俺は又仲間たちと冒険に行ける。本当に礼を言う。ありがとう。お前が生きてくれていて・・本当に良かった!!」


そう涙混じりに告げられた言葉に、ルカは黙ってスクアードを見つめてから笑顔をみせた。


『うんっ!!あたしこそ、あぁなるの知ってたのに助けに入れなくて・・でも、スクアードがいたから色んな決意を闘いながらできたの。だから、あたしからもありがとう!!』


二カッと笑ったルカがスクアードを見上げる。


『今日は宴だもん!!この話はもうおしまい!!楽しく行こうよ!!楽しく!!』


やっほー!!っとルカが両手を挙げたところで背後から言い知れぬ気配を感じ、振り返ったルカの前には、笑顔を貼り付けたマルコを筆頭とした隊長陣が立ち塞がっていた。


『・・・・・あり?皆さんいかが致しました??』

「サッチから聞いたよい。もう怪我は完治してるらしいじゃねぇかい?」

「それなら、少しばかり私たちと話をしようか」

「あぁ、それがいい」

『え?ちょ・・・・ちょっと?』

「まさか説教があれでおしまいだとでも?」

『え?いや、そんな・・・まさか・・ねぇ?』


しどろもどろになって後ずさるルカは助けを求める様に白ひげへと視線を向けた。が、


「グララララ・・・心配性の兄貴たちに今回の事はしっかり怒られとけ!!それだけ、心配して、お前のことが大切なんだ!愛の鞭と思えばなんともねぇだろう!!」


そう言って笑いながら酒を煽る白ひげにルカは、そ、そんなぁ・・と項垂れる。


「覚悟は出来てるだろうない?」


マルコにしては有り得ない、満面の素敵な笑みを浮かべて歩み寄ってくる。


『あ・・・あはははは・・・』


「「「「ルカっ!!そこになおれぇぇぇえええっ!!!!」」」

『ひぃぃぃぃぃいいいい!!!!』


正座を強いられたルカは、マルコからエースから、ジョズからビスタ、ブラメンコにラクヨウ、ナミュールにブレンハイム、クリエルやキングデュー、アトモス、スピードジル、フォッサと代わる代わるに説教を喰らう。


「お前は無鉄砲にも程があるんだよい!!話せない、話さないとかじゃなくて、俺らに多少のメッセージを残したってよかっただろうがよい!!」

『えぇ、本当にその通りで・・・』

「俺が、ドンだけ泣いたか知ってんのかよ!!もう俺は失いたくないって知ってただろ!!それを、ルカはっ!!お前、暫く俺に肉よこせよ!!」

『え??なんかそれちがくない?』

「なんか言ったか?」

『イエ、ナニモアリマセン。お肉献上サセテイタダキマス」

「私たちがどれだけ胸にぽっかりと穴が開いたことか。ルカは後先を考えなさ過ぎる。いい年のレディがする行動じゃないぞ?お前位の女性はもう少し考えながら行動をしなくてはいけないぞ。こら、ルカ聞いてるのか?」

『はい・・・聞いてます。ごもっともなんですけど、その・・いい歳はちょっと胸が抉られるというか・・・ねぇ?』

「これぐらい言わないとルカは分からないだろう?だからだな・・・・」

『ちょっと?何気に今のところビスタの説教が色んな意味であたしの心をぐりっぐりに抉ってくるんですけど!!?』

「だからね・・・」

『はい、』

「それでだな・・」

『ほんと、謝罪しか出てきません・・・』

「こらっ!!聞いてんのかっ!!」

『はい、耳かっぽじってきいてます!!』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


全員分の説教が終わった頃には当たりはすっかり夕暮れに染まっていた。
そして、全員の説教の締めくくりは全部同じだった。





「お前が生きて、俺たちの元に戻って来てくれて・・本当に良かった。もう2度とあんな思いはさせないでくれ。この船の全員がお前を愛しているから。だから、もう失う悲しみを味わうなんてこりごりなんだ」





その言葉に、ルカの目頭は熱くなる。
次第に滲んでいく視界に更に嗚咽が漏れ始める。



『あだじ・・っも・・・。ごこに帰ってこれで・・嬉じいっ!!ルフィと出会っで・・旅をじてきて・・。でも、やっばりいづも・・・いづも。皆のごと、考えでた!!早ぐ・・早くって・・皆のとこに帰りたくって・・。皆にオヤジざんに・・・もう1度会えで・・・』



そこでルカの涙腺は決壊してしまい、その後に続く筈だった言葉は音となって出ることはなかった。
それでも、彼らには十分過ぎるほどに伝わる。


ルカがここまで・・1人を選んでまで闘う道を選んだのは確かに考えなしだったかもしれない。
だが、それほどまでにルカの中で彼らの存在が予想も出来ないまでに、ルカの予想を大きく上回りながら大きくなったと言う証拠だった。

大切な人を失いたくない。


最初は、ただ物語の中で抱えた不満でしかなかった思いをかなえる事が出来ると思っていただけだった。
だが、彼らと過ごした日々があまりにも濃く、あまりにも暖かく、幸せだった。
家族を結果的に失ったルカを、その不器用な優しさと暖かさで包んだのも又、この家族たちで。


彼らは笑いあう。

誰ともなしにルカへと詰め寄り抱きしめ、頭を撫でて笑いかける。


「笑え!!ルカ!!」

「お前には笑っててもらわねぇと調子が狂う!」

「そうだ!久しぶりにもっとお前の笑った顔を見せてくれよ!!」



あちこちからあがる声に涙まみれのルカが顔を上げる。
目の前には、マルコとエース、そして大事な家族たち。


「笑えよ、ルカ。俺もお前の笑った顔が大好きなんだ」

「そうだよい。お前はバカみてぇに笑ってねぇとな?ルカらしくねぇよい」


2人の言葉に笑顔を見せたルカに響いたのは・・・・



「俺も・・・・混ぜろぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!」



びゅんっと飛んで、ルカに抱きついたのは



『わっぷ!!?ル、ルフィ!!』

「目覚めて、よかった!!じゃぁ、これからは俺と旅しようぜ!!」


ルフィの言葉に全員が声を上げる。


「今の聞いてたか!!?バカ言ってんなよ!?エースの弟!!」

「そうだぞ、ルフィ!!お前にルカはやれん!!」

「何でだよ!!いいじゃねーか!!」



そこからは一気に当人であるルカを差し置いて大騒ぎが始まってしまい、ビスタとジョズと顔を見合わせて苦笑いを浮かべて笑った。





胸に痞えた思いを吐き出して笑う

(ほんと、相変わらずだね。皆。)
(ルカが起きて更に勢いが増したな・・)
(あぁ、そうだな)
(((とりあえず、うるさい)))


(よぉ、起きたか。小娘・・・・)
(へ?って!!?何で!!!?)



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