第九訓
「だからぁぁぁぁ!!ルカちゃんっ!!考え直してよ!!」
『銀さんうるさい』
ちょっとぉぉぉぉ!!?と騒ぐ銀時を尻目にルカはお登勢とたまに夢中だ。
『いやぁ、ほんっとあたし超幸せ者〜!お登勢さんとたまさんに会えるなんてぇ〜』
「なんだい。いいこじゃないか。これ食べるかい?」
「ルカさん、何故私達の事ご存知なのですか??」
「オイ、オ前シカトシテンジャネェヨ」
そんなルカの後頭部を殴るのは当たり前にキャサリンだ。
だが、そんな事おくびにも気にしていないルカはキャサリンの事を華麗にスルーしながらカウンターで頬杖をつきながらお登勢とたまに夢中である。
「あいつ、あれが気にならねぇのか・・・」
「おれは気になってしょうがないよい・・」
「俺は男のロマンである猫耳を汚された気しかしねぇ・・・」
三者三様のぼやきを耳に捕えたキャサリンはとんでもない形相で3人を睨む。
それに気付いてしまった3人はビクっと肩を揺らす。
「ルカは、ある意味この世界で最強ネ」
「そうかもね・・・キャサリンさんに動じない人初めて見たよ・・・」
「そんなことよか、おめぇらルカちゃん止めろよ!!俺とルカちゃんのアバンチュールがババァのせいで台無しになっちまうだろうがっ!!」
「銀ちゃんとアバンチュールさせる位なら、ばぁさんとこにいた方が何倍も安全ネ」
『あたし、お店もお手伝いします!!』
元気に手を上げたルカに銀時が待ってぇぇぇぇえ!!と叫ぶがそんな抵抗も空しくお登勢はルカに働くってんなら、泊めてやらなくもないよ。と言って、服を着替えさせる為に奥へとたまとルカを連れて行ってしまったのだった。
そして、2時間後ー。
「準備できました」
たまがそう言って店内へと戻ってくるとにこりと笑う。
その奥では
『ちょっ!!?たまさんんんん!!?まぢでか?これじゃなきゃ駄目なの!?ねぇ、ちょっとぉぉぉぉ!!』
「なんだい、煩い子だねぇ」
お登勢が眉間に皺を寄せながら言うと奥への襖を潜っていく。
その様子を見ていた3人が呟いた。
「またかよい・・・」
「あいつ……」
「何やってんだか・・・」
「ん?前にもあったアルカ?」
「あぁ、あいつ女らしい格好すんの苦手なんだよ・・・」
「待ってくださいよ!!なら、なんで手伝うとか言ってんですか、あの人」
「勢い以外の何者でもないだろうない・・・」
「はぁぁぁぁぁあああ!!?」
響く新八の声の傍ら、銀時が早く出てこいよ!!と叫んで神楽にどつかれていた。
そして、結局お登勢に引きずられながら出てきたのは、ミニ丈の着物にニーハイを合わせうっすらと化粧を施したルカだった。
「似合うじゃないかい」
「おぉぉ!!ルカ、かわいいアル」
「似合いますって、ルカさん」
そう言ってルカを褒めるお登勢と神楽、新八。
『そ、そうかな?こんなの、着たことないからなんかめっちゃ恥ずかしい・・』
そう言うルカに神楽達が詰め寄る。
「すっげ・・・ルカちゃん、めっさ銀さんの好みドストライクなんですけどぉぉぉ!!これ、口説いていいよね?いいよねぇぇ!!?」
そう詰め寄った銀時に驚きルカはドン引く。
『へ??ちょ、銀さん??!』
ルカの両手を握り更に詰め寄った銀時に鉄拳を落としたのは。
当たり前に神楽でもなく、新八でもなく、過保護なシスコントリオだった。
「ごぶあぁっ!!!?」
銀時の頭に落とされた3つの拳に銀時は地面に沈んだ。
『ぎ、銀さん??』
「大丈夫だよい、その内起きるだろい・・・死んでなきゃ」
「あぁ、平気だ。生きてりゃぁな」
「それより、よく似合ってんぜ?」
そう言って笑った3人にルカはテレながら微笑む。
『何か、わざわざたまさんが買いに行ってくれたんだよー!』
照れつつも嬉しそうに笑うルカに3人も笑顔が溢れる。
「よし、じゃあしっかり働いて貰おうかね?そろそろ人が来始めるよ!あんたらは心配なら端っこで呑んでなよ!!」
一連の流れから極度のシスコンだと察したお登勢がマルコ達にそう言った。
「お言葉に甘えさせてもらうかねい」
「あ、お登勢さん!俺、料理手伝うぜ!」
「何だい?そんなナリしてると思ったらお前さん料理人かい?」
『お登勢さん、サッチはね闘う一流コックさんなんだよー!!自慢の兄貴!馬鹿だけど』
ルカの言葉にお登勢がうっすらと笑い、サッチが馬鹿は余計だっ!とルカに怒る。
「それじゃあ、サッチとやらにはお客に出す料理を作って貰おうかね?頼んだよ」
そう言ったお登勢がサッチの肩をポンと叩く。
「おぉ!任せろってんだよ!!」
人に親切にすればそれは返ってくる
(オイ、オ前アタシヲサシオイテ…)
(あのお登勢さん、化物が何か言ってます)
(ルカ、そりゃ化物じゃないよ。キャサリンだ)
(えっ!?これが!!?)
(化物トハナンダヨ)
(すいません、予想以上に化物だったんで気付かなくて)
(テメェ喧嘩ウッテンノカ!?)
(あれ、謝ってるつもりなのか?)
(……多分な)
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