Which do you...??
次の日。
甲板では、相変わらずのスパルタでラストスパートをかける三人が見られた。
『もっと!!セクシーにっ!』
『マルコっ!!恥ずかしがってないで!!ウィンクしなさいよ!!ばかたれぇ!!手は人指し指たてて口許ってさっきも言ったでしよ!』
『サッチ!!いつもの調子よさげなのは隠して!!クールに踊りなさいよ!!』
『照れてんじゃないわよっ!!こぉらぁー!!!』
『そこはもっとセクシーに!!くぉらっ!!』
…………………………………………
そうして、夜を迎えた。
宴が始まり賑わう甲板にサッチとマルコが最初に袖を通した服装で現れると全員がそちらへと視線を向ける。
二人が人一人分開けて腰を下ろす。
それを確認するとルカがボタンを押して音楽が流れ出す。
ゆっくりと立ち上がると二人は音楽に合わせて踊り出す。
腰に手を添えて、軽いステップとお尻を可愛らしくふる躍りを繰り返す。
…………と、ルカが悲鳴をあげた。
『キャァーーー!!最高っ!!何っ!!これっ!?ふぁわぁぁぁぁっ!!』
その反応に踊っていたサッチとマルコを含む全員が驚いた。
『何これ!?もう、俺得じゃんかっ!!サッチー!マルコぉー!超かわいー!!』
『元の世界のサッチ、マルコファンの皆さん!!ごめんなさいっ!!うっきゃぁーー!』
その黄色い声援に目をぱちぱちとさせながらも、ルカ曰くうさちゃんポーズで踊ったり、泣き真似、その他にも普段の二人からは到底想像も付かないやたらとプリティーな躍りにルカ以外の全員が若干唖然とする。
そして曲も佳境に入るのか、
マルコが肩口で音楽に合わせてサッチを見ながら手拍子を始め、それをサッチも見返しながら片手で足を叩きリズムを刻む。
そんな二人にルカは
『キャー!もう!なんなの!!あんたらっ!神かっ!!?もうどこまでもついてくってばーー!!』
それからも、躍りおわるまでルカはキャーキャーと二人に黄色い声援を送り続けた。
そして、躍り終わった二人はルカの反応に驚きつつも次曲の衣装へと着替えようとその場を後にした。
「ルカ?どうしたんだ?お前」
今尚、甲板を殴りながら グッジョブなどと言っているルカに若干引きながらエースが聞いた。
『へ?いやね、あたしのいた世界でね…はぁっ!!来たぁーーー!!』
話始めたと思ったルカはまた声をあげて、手を振りだしたのでそちらへと視線を向ければ。
今度は黒スーツに着替えたマルコとサッチ。
マルコは黒スーツにシャツ、黒のベスト、ネクタイの代わりに豹柄のスカーフを首に巻き、胸ポケットにはスカーフと同じチーフ。そして、黒ふちの眼鏡。
サッチも同じく黒スーツに身を包むも豹柄のインナーに豹柄をアクセントにした黒のハット。
そして、ポーズを決めると。
すでに、キャーキャーと騒ぎながらルカがボタンを押して音楽が流れ出し二人が踊り出す。
「へぇ、たった一夜で二曲も…やるねぇ。」
イゾウがぽつり呟きながらルカへと視線を向けた。
「っ!?っルカ!?おい、誰か!ティッシュもってこい!!ルカが鼻血吹いてるぞ!!」
『ふぁぁああ…もう、色気が…色気がぱねぇっすよ…なんだ!?生だともっとやべぇとわかったぞ…』
踞り、甲板を殴るルカにクルー全員が思った。
“こいつ…大丈夫かっ!?“
クルー達が目の端にルカの壊れっぷりをおさめつつダンスは進む。
と、マルコがソロで踊り出した時。
ルカの鼻血が勢いを…増した…
フレーズ、フレーズで口許に指を添えて更にはウインクをしたマルコに
『ぐはぁっ!?う、撃たれた…破壊力…マルコさんの破壊力は半端じゃねぇよい…』
と、マルコのソロが終わりサッチのソロへと入ると……
『はぁ〜ん…サッチがサッチの癖にめっちゃ男前〜…いつもああしてたらいいのに…リーゼントなんてやめて…髪下ろしてたらいーのにぃ…はぁ〜、やばい…し、心臓がいたい…』
ボタボタと鼻血を垂らしたルカにイゾウが
「おい!ティッシュじゃ足りねぇから、誰かタオル大量に持ってきてくれるかねぇ」
と、呆れながら指示を出していた。
そして、躍り終わったサッチとマルコがルカへと歩み寄ると
『待って!!!!』
手を翳して二人の歩みを止める。
『それ以上近寄らないで!!』
言ったルカに二人は汗だくな事に気づく。
「あ、悪いない」
「汗くせぇよな、ごめ」
『鼻血吹いて死ぬ!!出血多量でっ!!』
「「…………………はぁっ!?」」
「ルカ、どういう事?」
ハルタが聞くとルカが説明しだした。
『あのね、あたしの世界でね。好きなキャラクターに踊らせるっていう、そりゃもう素敵すぎる動画があったのよ!!』
鼻にティッシュを摘めたルカ。
『それでね、あたし。その中でも、マルコとサッチの今踊ってもらったのが、だいっすきなのーー!!!』
『動画でもやばかったけど、実物の破壊力はんぱなさすぎだよー!!』
『間違えて惚れそうになっちゃったもん!!』
『マルコは然程体格変わらないから、安定のマルコさんだったけど。サッチはかなり体格違うからさ!あんま萌えないかと思ってたのに…なに!?動画よか萌えたわっ!!たぎったわっ!!きゃぁーーー!!』
『まじ!!俺得っ!!ほんとありがとう!!マルコ!サッチ!はぁー…あたし、これでいつ死んでもいいやぁー』
一気に語ったルカに全員がわけもわからず首をかしげる。
「そんなに、よかったか?」
サッチが歩み寄るとルカが顔を真っ赤にさせる。
「まぁ?俺らはいつでもいいけどよい?」
「「マルコ/サッチと俺……どっち選ぶんだ?」」
ルカの両脇からそれぞれが肩に手を回した瞬間。
ルカが盛大に鼻血を吹いて倒れた。
「ぎゃーーー!!!!?」
ルカー!死ぬなぁー!!
その日、モビー・ディックが赤く染まった。
「ねぇ、これってさ。前に結局聞き出せなかった。ルカが好きだったのは誰かってのが絞られたんじゃない?」
「あぁっ!!?嘘だろっ!?」
「俺らのどっちかって事か?」
「なら、間違いなく俺だろい」
「んだと!?俺に決まってんだろ!?」
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