savior-26



「なぜ映像が途切れたんだ!!?」

「マリンフォードを映せ!!」

騒然とする記者や民衆に海軍は、電々虫にトラブルがあったらしく、と対応するが民衆の興奮は治まる様子はない。
広場の遠くからその騒ぎを見ている者がいた。

「くだらねえマネしやがる…海軍… 余興はここまでって事か……?クク…それにしても…ライと麦わら…一気に台風の目になりやがった。ライ、死ぬんじゃねぇぞ!!」

呟いたのはキャプテン・キッドだった。

「"白ひげ"が仲間を売っただと!?バカバカしい!それをしねぇから奴は生ける伝説なんだ!!」

「船を出すぞベポ!!」

指示を出すロー。

「アイアイキャプテン!!」

「ついて来いジャンバール!!」



そして、場所はまたマリンフォードへ…。

赤犬の"流星火山"は、モビー・ディックを避ける様に降り注いだ。
足場となる氷は溶け、海へと落ちる海賊勢達をルフィを抱えて上空から見下ろすライ。
包囲壁は破壊されず、海水がマグマにより煮えたぎる。
さらに船から落ちた海賊達を包囲壁の穴から狙いをつけた大砲が襲い始める。
そんな中、センゴクと三大将はモビーを襲った赤犬の"流星火山"を阻んだ者を探していた。

「探せぇっ!!赤犬の力を阻むなど!そんな者がいれば計画が台無しになる!!すぐに探しだし消し去れっ!!」

空にいながら、騒然とする海兵達を見下ろしてライはクツクツと笑いだした。

「ライ?」

抱えられていたルフィが顔をあげてライの顔を見れば、かつてインペルダウンで見せた狂気を孕んだ笑みを浮かべるライに目を見開く。

『お、終わったな。降りるぞ』

ギラギラとした瞳で下へと降り立ったライの瞳は銀と紅に揺れる。
そこで白ひげが包囲壁へと攻撃をするがびくともせず。

「壁が砕けねぇ!」

「オヤッさんの能力が通じねぇなんて!」

その時、センゴクが電々虫で指令を発した。

【作戦は何者かの邪魔が入ったが…構うな!!これより速やかにポートガス・D・エースの…処刑を執行する!!】

それを聞いた白ひげ海賊団はいきり立つ。

「聞いたか今の!!あんな見えもしねぇ場所で仲間をあっさり殺されてたまるか!!オーズの道しかねぇ!!気をつけろ!!敵は必ず構えてるぞ!!」

海賊達は、オーズが倒れ込んだ包囲壁に囲まれていない"オーズの道"へと走り出した。
イワンコフとジンベイがルフィとライの行方を気にかけると、ルフィとライはあからさまに危険な"オーズの道"を目指し走り出していた。
しかしイワンコフの危惧通り、ルフィとライは爆撃を受ける。

「それ見たことか!!一つ穴が開いてる場所を敵が疎かにするワケナッシブル!!むしろ罠よ!!」

しかしルフィはそんなことを気にしていられなかった。

「何とかしねぇと…ハァ急がねぇと…!!あいつらもう…エースを処刑する気な んだ!」

ジンベイも落ち着いてはいられない。

「そうじゃな…何とかせねば!あそこが唯一鉄壁の穴…どうにか利用せねば……」

『俺が抱えて飛んでもいいんだが…』

「あ!!その手があったか!……でもなぁ…」

ライをじとりとみたルフィにライはクスクスと笑う。そんな中イワンコフの危惧は続く。

「でもあそこは一度に少数しか通れナッシブル!!通った者から順に海軍全戦力を相手に する事になる。紅ボーイが抱えていくにしてもヴァナタが押さえられる程度の攻撃で収まるわけがっ!!」

その時ルフィが言った。

「頼みがあるっ!!!!」

その頃広場では海兵達から声が上がっていた。

「まだ生きてやがった!!」

「さっきの衝撃で目を覚ましたんだ!」

騒ぎの原因は突如体を起こしたオーズによるものだった。

「リトルオーズJr.!!!」

騒然となる海軍に、白ひげ海賊団もオーズに気がつく。苦しい息の下、オーズはそれでも、

「エ…エースぐん…」

とエースを助けようとする。

「撃て!!立ち上がろうとも虫の息だ!」

「オ〜… いいよォわっしがやろう」

黄猿が名乗りを挙げる。

「こういう時は… 頭をブチ抜くといいよねぇ〜…」

指先にビームを蓄えていたが、ビームが放たれる直前。
包囲壁の向こう から何かが飛び出した。

「何だアレは!!」

「水柱!!?」

それはジンベエの放った水柱。そして、水柱は海兵を蹴散らした!
その水柱を追うように現れた影からも斬撃が放たれて水柱周辺の海兵が一気に倒れていく。

「"麦わらのルフィ"!それに"紅"!」

処刑台の前に居並ぶ三大将の前へ、水柱の中にいたルフィは包囲壁を越えて着地した。
その隣にはライが降り立つ。

「あらら…とうとうここまで………だが、お前にゃまだこのステージは早すぎるよ。それに……ライ君まで…あんまり俺、君とは闘いたくないんだけどなぁ…」

「堂々としちょるのう…ドラゴンの息 子ォ…それと、身元不明のクズか…」

「恐いね〜 …この若さ………」

ライとルフィは黙って三大将を見上げ睨み付ける。

「エースは返して貰うぞ〜〜っ!!」

折れたマストを振り下ろしルフィは叫んだが、青雉によりマストは凍らされルフィはマストを手放し、ゴムゴムの"スタンプ乱打"で凍ったマストを砕き、三大将へ浴びせる。
その隣でライも飛び上がり三大将へと斬撃と攻撃を放った。

「今!壁の向こうに飛び込んだのぁ!エースの弟と紅だっ!!」

それを見ていた白ひげが呟く。

「あの無鉄砲さ…兄貴にそっくりじゃねェか……」

白ひげはオーズに叫んだ。

「オーズそこにいろ!お前の力が必要だ!」

オーズがその声に振り替える。
そしてジョズへ指示を出す。

「ジョズ "切り札"だ!!」

「おう!!」

「全員準備を!!広場へ突入するぞ!!」

海賊勢の咆哮が響く。



その頃、ライ達の攻撃を余裕でかわす三大将達に構っていられないとルフィはギア2で三大将の間をぬい、すり抜けたかと思われたが、

「んん〜〜 遅いねェ〜〜〜…」

声とともにルフィの目前には黄猿が現れ、蹴られルフィはぶっ飛び、またも処刑台から距離をあけられた。
そして、ライに立ちはだかるは青雉と赤犬。

『邪魔なんだよ。どいてくれるか?』

剣を構えて、二人の大将と対峙したライだったがどこか笑みを浮かべるライに二人は畏怖を覚える。
かつて、己を前にましてや二人の大将を前に戦意を失わずに笑みを浮かべたものがいただろうかと…。

「ねぇ〜ライ君。出来れば君は消したくないんだよね。大人しくひいて」

「何、ふざけた事抜かしちょる。海賊は全員死刑に決まっとる!!」

青雉の言葉を遮った赤犬がそう捲し立てる。
それを見ていたライが瞬時に二人の間へと現れた、そして。

『なぁ?さっきのあんたの攻撃…白ひげの船に到達出来なかったよな?何でだと思う?』

にやりと口角をあげて言ったライの顔からは狂気が溢れ出す。

「…………ちょっと、まさか…」

「お前かぁっ!!!?」

ドゴォーーーンと大きな音をたて、赤犬がその腕をマグマへと変えてライへとふり下ろした。

それを離れた位置にいたルフィがハッとして顔をあげた。
その視線の先では、確かにその直前までライがいた場所からもくもくと上がる噴煙と流れるマグマ。
それをみたルフィがサァっと顔を青くさせる。

『ククク…おせぇよ、ばぁーか』

声に上を見上げれば、剣を肩にポンポンと当て笑みを浮かべ二人を見下ろすライがいた。
それに、わなわなと震え怒りを露にした赤犬だったが、

「貴様も、火拳と共に死ぬがいいわっ!!」

ライへと、マグマの攻撃を放った赤犬の背後…処刑台からセンゴクの声が上がった。

「やれ!」

センゴクの指示に、エースの両脇に立つ海兵がそれぞれ刀をかざし、今まさにエースの処刑が行われようとし、ギラッと光る刀にルフィは歯を食いしばる。
エースは騒ぐことなく、覚悟したように目を閉じていた。

「エース〜〜!!!!」

ルフィが叫んだその時、エースの両脇の海兵が何者かに斬られ、その衝撃で処刑台から落ちていく。

『ナーイス…』

にぃっと笑ったライの視線の先にいたのは…。

「貴様!"白ひげ"に旧怨あるお前は我らに都合よしと思っていたが…クロコダイル!!」

広場にいたのはクロコダイル。

「何だ…俺の出番じゃなかったよい… 」

呟くマルコに、クロコダイルを見て驚きを露にするルフィ。

「あのジジイは後でゆっくり潰すさ…!!その前にお前らの喜ぶ顔が見たくねぇんだよ」

そう言ったクロコダイルの背後にライが現れる。

「えっ!?」

周りの海兵達は驚き、クロコダイルも突如背後に現れたライに驚きの顔を向ける。

「オイオイワニ野郎……」

そこへ、ドフラミンゴが現れる。
クロコダイルは合点がいったのか体ごと振り返る。

「てめぇ、俺をフッて"白ひげ"と組むのか?嫉妬しちまうじゃねぇかよ。フッフッフ…それと、紅だったかあ?お前、何が目的でこんなとこきた?それに…お前の能力……何でもありかよ、なぁ?」

にやにやとした笑みを浮かべたドフラミンゴを睨みあげるライ。

『さぁな?答えは案外簡単だぜ?楽しみにしとけよ…』

「フッフッフッ…いいぜ?さっきの事は黙っててやる。その方が面白そうだからなぁ」

『そら、どーも。じゃぁな、死ぬなよ?クロコダイル』

クロコダイルに声をかけて姿を消したライが、ルフィの近くに現れたのを視界にいれたクロコダイルがにやりと笑う。

「俺に借りを作るたぁなぁ…返さねぇと胸くそわりぃ…おい、ドフラミンゴ」

クロコダイルの呼び掛けにドフラミンゴが視線をライからクロコダイルへと移す。

「おれは誰とも組みはしねぇよ…」

そして、クロコダイルはドフラミンゴと対峙した。



その頃のルフィは、青雉のアイスサーベルに刺されて血を流していた。

「お前のじいさんは恩人だが… 仕方ねぇよな 男一匹選んだ死の道」

「痛ぇ!畜生!!」

呻くルフィの姿に、ハンコックが我を忘れて声をあげた。
そこへ青雉へと攻撃を仕掛けた者がいた。
かろうじて、アイスサーベルで受け止めたが、青雉は蹴りの衝撃で弾き飛ばされた。

蹴りを浴びせたのは

『ふふ…マルコ』

少し離れた位置に降りたライがマルコとマルコに礼を伝えたルフィを見る。

「4人の侵入を許した!!」

「能力者は包囲壁を越えて来るぞ!」

海兵達の動きが慌しくなる。
包囲壁上にいた海兵が、センゴクへ叫んだ。

「元帥殿!!湾内の海賊達が妙な動きを!」

「オーズに向かって海を渡れぇ〜〜!!」

それにセンゴクは撃ち込めと指示を飛ばし、包囲壁の大砲を海賊達に向け、狙いをつけた。
しかしその時、海中から泡がわきだした。

「ん?」

ザバァン

「えっ!?」

海中からもう一隻巨大な船が浮き上がった。 オーズを目指していた海賊達は船に乗りこむ。それに気付いたライがルフィに叫んだ。

『ルフィっ!!先に一人で進めっ!!後からすぐに追う!!』

それに手をあげて答えたルフィに背を向けて、ライはオーズの元へと海兵を蹴散らして走り出す。

「……お前のとこのクルーは、船長置いていっちまうのかよい?」

「え?あぁ…ライは…もう俺のクルーじゃねぇよ…。帰る場所が見つかったからな…」

少し悲しげに走るライの背を見て言ったルフィの言葉にマルコが目を丸くする。

「おい、そりゃ…」

「いつか!!取り返しにいくからなっ!!」

聞こうとしたマルコの言葉をルフィは遮りマルコを見上げて言うと、雄叫びをあげながら前へと走り出した。

「…………俺に言っても意味ねぇだろい…」

呟いた言葉が、喧騒で消えた。

「全員船に乗り込めぇ!!」

「コーティング船がもう一隻現れました!」

「しまった!ずっと海底に潜んでたのか!」

「……!何…!?」

その事態にセンゴクすら動揺していた。

「ウチの船が出揃ったと言った憶えはねぇぞぉ…」

「"外輪船"です!!突っ込んで来ます!!」

オーズのいる包囲壁の穴に向かい、外輪船が進む。

「撃ち沈めろ!!」

外輪船に向け、大砲が打ち込まれる。

「違う!!船じゃない、オーズを撃て!!」

何かに気付いたセンゴクが声をあげた。

「もう遅い!!」

白ひげがにやりと悪い笑みを浮かべる。

「行ぐど みんな!!」

そう言うとオーズは外輪船を掴むと咆哮をあげて、その両手で持ち上げた。

「船を引き上げやがったぁ〜〜っ!!」

「包囲壁内へ侵入を許しましたっ!」

オーズは外輪船を引きずり、そのまま広場に引き入れ、外輪船は包囲壁を乗り越えた。

「………!やられたな…わずかなネズミの穴一つ!包囲壁はわしらの障害になり兼ねんぞ」

ガープは呻き、声を荒げた。

「広場に入ったぞォ〜〜〜!!」

「エースを救えっ!!」

「海軍本部を攻め落とせぇっ!!」

海賊達は声をあげ、武器を掲げ、広場に降り立った。

「オヤジ!!」

「まだ首はあるか!エース!!」

エースの声に白ひげがそう返す。
センゴクが苦々しい顔をして、白ひげの名を呟くと、そこへオーズが集中砲火をくらった。

「オーズ!!!!」

海賊達は叫ぶが、オーズの顔からは噴煙があがり無事を確認出来ない。
白ひげもその顔を険しくさせたその時。
またも、声が聞こえた。

『大丈夫か?』

その声の直後、風が巻き起こり噴煙が散る。
風に目を背けた海賊、海兵達が顔をあげた先にはオーズの顔の前で剣を構え笑うライ。

「だ、だいじょうぶだぁ!!」

『おう!なら、よかった!!じゃぁよ、そろそろ船に戻っておけよ。後は、俺らに任せてよ!!』

にっと笑ったライにオーズは残ると返すが、

『エース助けた後にお前抱えて逃げれる奴なんかいねぇんだよ。足がねぇなら、尚更だ。わりぃが、死なすわけにはいかねぇ。船へ戻れ!!今すぐ!!その援護ならあんたの仲間がしてくれるだろ!!いけっ!!』

ライの剣幕に黙ったオーズに白ひげも声をかけた。

「オーズ、その小僧の言う通りだ。お前先に戻って手当て受けてろ。あとは俺たちに任しちゃくれねぇか?」

白ひげの言葉に渋々頷くとオーズはその場を後退し始めた。
オーズを見送った白ひげは巨大な薙刀をドゴォンとふり下ろした。海兵は飛び、中将はその場でこらえ、三大将は微動だにせず。
白ひげはうつむき、そののち高く右手を突き上げた。

「野郎共!エースを救い出し!!海軍を滅ぼせェエ!!」

沸き立つ海賊を見てセンゴクが言う。

「………ガープ…」

「………ああ」

「こりゃあおれ達も………タダじゃあ済まんぞ………」


守り抜く為にやるべき事

(どれだけ自分が傷付こうと…ただ守る。それだけだ!!)

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