savior-21



「出て来い!!ゾンビ兵共っ!!さぁ、ゾンビ兵行って"麦わら"と"紅"を捕獲して来い!!ここは戦場、死人の数だけゾンビは増やせる!!キシシシシ!!」

「"麦わら"と"紅"を討ち取れぇ!」

「奴等が脱獄囚の主犯だぁっ!!」

「どんどん行けェ〜……!」

黄猿の言葉にエースの顔は更に険しいものへと変わる。

「モリア!……厄介なのがいるな…」

掛かってくる海兵の奥にモリアを見つけたルフィが呟くと近くにいたライが笑う。

『大丈夫だ!!俺等には仲間がいるだろ?』

ライの言葉に笑みを浮かべて返すとルフィは走り出した、その時。

「来るな!!ルフィ〜〜 〜!!!」

叫ぶエースの声に気を取られ、ゾンビ兵に斬りつけられるルフィとルフィを斬りつけたゾンビ兵を斬りふせるライがエースへと顔を向けた。

「わかってる筈だぞ!!おれもお前も海賊なんだ!!思うままの海へ進んだ筈だ!」

「……………!!」

エースの言葉に俯き、堅く目を閉じるガープ。

「俺には俺の冒険がある!!俺には俺の仲間がいる!!お前に立ち入られる筋合いはねぇ!!お前みてェな弱虫が、俺を助けに来るなんて…それを俺が許すとでも思ってんのか!!?お前は一船の船長だろう!!こんなとこにてめぇのクルーまで連れてきて…大事なクルーを危険な目に合わせるつもりかよっ!?こんな屈辱はねぇ!!帰れよルフィ!なぜ来たんだ!」

エースの形相、必死さに、 マルコとジンベイはエースを見てエースの名を呟く。

そして、祈るかのようにエースは俯いた。

「(頼むルフィ…お前まで道連れにならねぇでくれ…これはおれの失態なんだ…)」

「おれは、弟だ!!!!」

ルフィの言葉にエースは息を飲む。


【知ってるか?盃を交わすと兄弟になれるんだ!】

【これでおれ達は今日から兄弟だ!】

ガチャンと盃を交わす幼い日のルフィとエースは何の迷いもなく2人は笑っていた。


「海賊のルールなんて俺は知らねぇ!」

「わからず屋が…」

額に青筋を浮かべ、ルフィを見つめるエース。
咆哮をあげて海兵へと向かうルフィとライ。
その海兵達は、新たなエースとルフィの縁に混乱を露にする。

「今、確かに弟だって…」

「じゃあ、あいつもロジャーの!?」

「エースが生まれて両親共々死んだんだ ぞ!?弟なんているわけねぇ!!」

「いけぇ!ゾンビ共ぉ!!」

ゾンビを操るモリアだったが、ゾンビ兵に大量の海水が浴びせられ、ゾンビ兵から影が抜けていく。

「塩に弱いんだったのうモリア。お前のゾンビ兵は…」

そう言ったのはジンベイ。
その時、再びセンゴクの電伝虫による通信が流れた。

「何をしている!!たかだかルーキー二人に戦況を左右されるな!!その男もまた未来の"有害囚子"幼い頃エースと共に育った義兄弟であり、その血筋は"革命家"ドラゴンの実の息子だ!!」

「あのドラゴンの!?」

センゴクの言葉に戦場のあちらこちらで驚愕の声が上がる。

「構わん…もう隠す意味もないわい…ルフィはすでにそんなレッテルものともせん程の無法者………」

ガープの視線の先でルフィへ棍棒を振りかぶる巨人の海兵が、ルフィの攻撃で倒される。

そして、背後から歓喜の声が上がっている。

「エ〜〜〜ス〜〜!!好きなだけ何とでも言えぇ!!おれは死んでも助けるぞォ!それに、ライがいんのだって!!エースをライも助けたいって思ってるからだ!覚悟しとけよ!エース!!」

そう叫んだルフィの近くでライはエースを黙って見上げていた。
そして、ウオォオと吠えてまた進み始めたルフィとその隣で笑みを浮かべて剣を震うライを見つめて、エースは歯を食い縛る。

「マルコ…あれを死なすんじゃねェぞ… 」

「了解」

そのルフィの言葉を聞いていたエースの頭はどんどん下がり、すでに地面についている。そんなエースの耳に聞こえてくるのは…

「お前を傷つけた奴ぁ、誰一人生かしちゃおかねェぞ!エース!!」

「待ってろ!!今助けるぞォォオ!!」

目を開き、顔を上げて前を見たエースに隣に腕組みをして座っていたガープが話しかけた。

「どうした…」

「……………もうどんな未来も受け入れる。差し延べられた手は掴む…。俺を裁く白刃も受け入れる……もうジタバタしねェ みんなに悪い」

真っ直ぐと戦場を見据えたエースにライが気付く。

『…エース』

ライは周囲のゾンビ兵と海兵を斬りつけながら、後方へと視線を向ける。
視線の先では、白ひげとバギーが話をしてるようでその隣にはマルコとサッチが並んでいる。
そして、電伝虫で何かを話している姿を目に入れたライは見聞色の覇気を島全体へと張り巡らせた。
そして、モリアの言葉で意識を目の前へと戻す。

「ジンベイ、てめェがいる限りゾンビ兵は使えねェ様だな。小癪なマネしやがって」

モリアは海兵の影を取り入れて巨大化す る。

「てめェの影も貰うとしよう!!ジンベイ、一生暗い海の底で暮らすがいい!」

重要な戦力の"王下七武海"が潰しあっては意味がないのにと嘆く海軍と影をよこせというモリアとルフィ達を先に進ませて魚人空手で応戦するジンベイがその場に残った。

そして、ルフィに襲いかかる海兵達を蹴散らしながらライが走っていると目の前を突如として影が横切った。

『っ!ルフィっ!!』

咄嗟に振り返りルフィを視界に収めるとそこにいたのは、ルフィを十手で殴りつけるスモーカーだった。
スモーカーもルフィも互いに腕をあげており、一進一退の攻防に見えるたが。

「お前の能力じゃ俺には勝てねぇ!!」

スモーカーは煙に姿を変えて十手でルフィに襲いかかると、そのままルフィを押さえ込んだ。

『っ!やっべぇ!すっかり忘れてた!!(くそ、やっぱこっちに来てからの時間が長すぎたか!?おおまかな流れは覚えてんのに…!!)』

「ローグタウンでなぜドラゴンがハア…ハア…お前を助けたのかよく解ったぜ。麦わら」

「!?ち…ちからが抜ける…くそォ、その十手……ろけろ……」


ルフィがスモーカーへと告げ、ライが動こうとした時。

「おのれ 離れぬか!!」

ルフィを押さえつけているスモーカーは後ろから蹴られた。

「…!?"煙"の俺に攻撃を…!?……! 」

スモーカーを蹴りつけたのはハンコックだった。

「ハンコック!! てめェも"七武海"をやめる気か!?」

「黙れ!!怒りゆえに何も耳に入らぬ!!そなたよくもわらわの愛しき人を殴り飛ばし抑え込んだな!!?生かしてはおかぬ…こんなに怒りを覚えた事はない!!そなたを切り刻んで獣のエサにしてくれる!!」

ゴゴゴゴと怒りを燃やすハンコックに、九蛇の"覇気"か、と"煙"を攻撃できた理由を悟ったらしきスモーカー。
そして、スモーカーの拘束がとかれたルフィの一言で、ハンコックは鼓動を高まらせ、頬を染めて返事するとささいな喜びを噛みしめていた。

『……………おい。ラブコメかこれは』

「ん?ライ、何だ?それ。うめぇのか?」

『……何でも食い物に変換すな、はぁ』

「貴様、男の分際でわらわとルフィの会瀬を邪魔する気か!?」

『いやいや…滅相もございませんがね…』

呆れながら溜め息を溢すと周囲で窺う海兵達へ視線を移す。

『用事あんなら早く済ませろよ。ルフィ、先行って道開けとく』

そう言ってライはくるりと向きをかえて走り出す。背後ではエースの錠の鍵を受け取ったルフィがハンコックに抱きついている。

「止まれぇっ!!紅っ!!」

「紅を止めろぉぉおぉ!!」

前を見据えて走るライの四方を取り囲む様に武器を振りかざし襲いかかる海兵達。
その人数は10人を超えている。

それに気付いたルフィがライの名前を呼び、戦闘中のジンベイやイワンコフ、脱獄囚達、モビー上の白ひげやマルコ、降りて戦いだしたサッチやイゾウ、処刑台近くで指揮をとる3大将が何事かと目を向けた先には…。

襲いかかる海兵も気にせず前へと走るライ。

「!?ライ君!危険じゃっ!!」

「紅ボーイ!!何先走ってるなぶる!」

「おいおい…あの小僧は何してやがる…」

「バカかよい!!過信すんじゃねぇ!!」

「まじかよ!?おい!」

「やべぇよ!ライ兄さん!!」

「ライっ!!避けろぉおぉおおっ!!」


ルフィの声が響いた瞬間に襲いかかった海兵達の間から血飛沫が舞い上がる。

それを見たルフィが顔を怒りに変えてライの名を叫び走り出した時。




『雑魚がよってたかって掛かってきた所で…俺の敵じゃあねぇんだよ…』

地の底から響き出す様な低い声が響いた。

その瞬間ライに襲いかかっていた海兵達が何かに弾かれながら血飛沫をあげて飛んでいく。

その中央で返り血を浴びたライが立ち上がる。

『何だ。俺がやられたとでも思ったか…?ルフィ』

にやりと笑ったライにルフィが怒鳴る。

「っ!!心配かけんじゃねぇよ!!このバカっ!!」

『バカとは何だ!バカとはっ!しょーがねぇだろ!あの人数じゃ、斬りふせるよりあぁした方が手取り早かったんだよ!!』

言い合いながらまた戦いだしたライとルフィに海賊達は呆れた溜め息を溢す。
そんな中でも力のある隊長陣と将校達はライへと険しい視線を向ける。

ライから発せられた微量の覇気に、敏感に反応を見せたからだ。

そして、海賊勢も海軍もライへと疑惑の目を向けていた。


謎に包まれた存在。紅の騎士、ライ

(あいつの能力。あいつがエースを助ける理由。全部がわかんねぇ。あいつの目的は…何なんだ…)

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