savior-2



変装し、インペルダウンへと侵入したライの視線の先にいるのは。

副署長のハンニャバル、ドミノ、海軍中将モモンガ。
そして、七武海 海賊女帝 ボア・ハンコック。

『(確か…このままエレベーターでlevel4行って…マゼランが合流して…level6…エースのいる所行くんだよな…でも、一般の看守は…ここまでか…)』

見れば、敬礼の姿勢でエレベーターに乗る4人を見送るらしい。
もちろん。ライも周りの看守に倣い敬礼の姿勢で見送る。

『(入ったのはいいけど、ルフィは行っちゃったしな…どうしよ…)』

4人が去った入り口フロアにて、立ち往生かと思われた時。

「おい、新入り!これ、level4の看守室に届けてくれ!!」

明らかにライを見てそう指示を出した看守。

『(へぇ…あいつ新人だったのか…)はい。何でしょうか?』

敬礼をして、看守へ歩み寄れば渡された書類。

『………これは?』

「これから投獄される予定のシャボンディで捕らえられた海賊達の書類だよ。看守室のやつに渡してくれよ」

『………わかりました』

目深に被った帽子によって口許だけが、話していた看守から見える。
その口許は弧を描き笑みを浮かべていた。

くるりと向きをかえて、階段へと歩き出したライに背後から看守が声をかける。

「頼んだぞ!さぼるんじゃねぇぞ!!」

その声に帽子を上げて、答えるともう一度深く被り直す。

『えぇ、書類は届けておきますよ…。これは俺には必要ないけど…監視電伝虫の映像は…魅力的…だからね…』

クスクスと笑うライの声が誰もいない階段に響く。
そして、ライは階下。level1紅蓮地獄へと足を踏み入れたのだった。



「おぉ?お前、見ねぇ看守だな?新人か?」

牢獄の並ぶ通路を進んでいると、囚人達がじろじろとライを見て話し出す。
それらを全て聞き流しながら先へ進むも、1つの檻の前で止まった。
そちらへと視線を向ければ、かつてルフィと対峙していたバギーの姿を見つけた。

「あぁ?何だ、てめぇ」

『……いえ?何も…』

口許で笑みを見せると少しだけ帽子を上げてぺこりと頭を下げ、また歩き出す。

「……んだ。あの看守。男前なのを自慢しに来やがったのか?まぁ、いいか。もう少ししたら、俺はここに用もなくなるしなっ!!」

『(本当に赤いデカ鼻とはねぇ〜。あれ、どうなってんだろうな…。まぁ、この調子でlevel4までのルフィに手貸す囚人の顔、見ていこうかな…』

そうしてライはlevel1を先へと進む。
少し先に行くとlevel2 猛獣地獄へと続く階段を目に捉えた。

『(level2は、Mr.3がいるんだったよな…久しぶりだなぁって……一瞬しか会ってないから気づかないか!)』

カツカツとブーツを鳴らして進み、level2はの階段を下る。

level2 猛獣地獄はその名の通り。
突然変異で産まれた凶暴な珍獣や肉食の人面ライオンやブルゴリが放し飼いにされているフロア。

先へと進むと人面ライオンに遭遇した。

『…………か、可愛くない…』

そうバッサリと発した時、檻の中から笑い声が響いた。

「可愛い猛獣がいるわけないがねぇ〜!お前、新人の看守かねぇ〜」

話し方と声に反応しその檻を見やれば、そこにいたのはやはり、Mr.3で口許に笑みを浮かべる。

「な、何だがね?」

『………いや。何も?』

そう言って、人指し指で左側の帽子をついっと上げてニヤリと笑う。

「……っ!?お前!!何でここにいるがねっ!!」

顔を……というか、ライの目許のタトゥーを見て気付いたMr.3が驚くが、依然ライは笑みを浮かべたまま檻へと歩み寄ると

『ちょっとね?偵察さ。クク……じゃあな』

そう言って歩き出すライにMr.3が声を荒げる。

「偵察?どういう事だがねっ!?こら、待つがね!!」

叫ぶMr.3を背に片手を上げてひらひらと振るとライはまた更に階下へと足を進める為に階段へと向かう。
その先にいたのは、人面羽毛ライオン、スフィンクス。

『でっけぇなぁ…けど、やっぱ可愛くない。羽毛の癖に…』

寝ているスフィンクスの隣をすり抜けてlevel3 飢餓地獄へと降りる。

『…あっつ…。』

羽織っていた看守の制服のジャケットを脱ぐと肩に持ち、ワイシャツの袖を捲る。そしてまた砂漠を進む。

と………。

「…アンッ!ドゥッ!トロワッ!!」

聞こえた声に笑いを漏らすと進んでいた向きを変えて声に向かって歩き出した。

暫く進んだ先の檻にいたのは、Mr.2ボン・クレー。
尚、踊る彼に声をかけた。

『おい。このくそあちぃーのに、元気だな?』

「ん?この声っ!?」

振り向いたMr.2に帽子を上げて笑いかける。

『久しぶりだな。その節は、ありがとう』

「やぁっぱりぃーー!麦ちゃんのとこのいーい男じゃぬぅぁーーい!!何してんの?転職?」

『ん?言うなれば変装な。ちょっと偵察だよ。ルフィが後から来ると思うんだ。言伝てを頼めるか?』

「え!?麦ちゃんも来てるの?いいわよぉーーう」

『level4にて、お前を待つ。そう伝えてくれ』

「わかったわよぉーーう!!その格好でも気をつけなさいよぉー!!」

じゃあ、又あとでな。と返してライは階段を降りてlevel4 焦熱地獄へと進む。

そして、看守室へと向かう前に。
Mr.1の元へと向かった。
歩きながら周囲を見回し、Mr.1を探す。
視線をさまよわせた先にMr.1を見つけるが。
どうやら何か仕事中。
枷を引きずりながら担いでいるものを煮えたぎる釜へと放り込む。
その先に看守室があるのか、先にいる看守が扉から出入りしているのを目に捉える。
そして、歩き出すとMr.1の横をすり抜ける。

『…やぁ、久しぶりだね。Mr.1』

口許をニヤリと弧を描いて発した声にMr.1がすぐに反応しライの肩を掴んだ。

「お前っ!?麦わらのっ!!ここで何を」

「おいっ!!お前!何してる!!」

最後まで言葉を発する事なくMr.1の声は見張りの看守に遮られた。

「大丈夫か?お前、新入りか。何の用だ」

『…はっ!これを…level4の看守室へ届けるようにと…』

敬礼をして、書類を見せる。
それを見た看守は看守室を指差す。

「じゃあ、看守室へ持っていってくれ。それと、暑くてもきちんと制服を着ろ!おい、お前はこいつに何か用か?」

『あぁ、暑くてふらついてしまったのを心配してくれたみたいです…ありがとうございます。それでは、俺はここで…』

見張りの看守の背後から舌を出して笑うとライは口パクで 又、後でな。と言うと踵を返し、看守室へと向かった。

ノックして、室内へと滑り込む。
その室内には誰もおらず、代わりに更に奥の部屋が騒がしく、その扉に近付きノックすると、乱暴に入室の許可の声が響く。

扉を開けて広がったのは、監視電伝虫の届ける映像。
そこには、ちらちらとルフィの姿が影として映る。
ニヤリと笑うと椅子に座り怪しい影について指示を出す看守に歩み寄る。

『こちら、先日のシャボンディでの騒動で捕らえられた物のリストと書類です』

背を向けたまま、そこに置いておけ!と言われたライはテーブルへと書類を置くと看守へと歩み寄り背後から看守の首へと腕を回す。

「き、貴様っ!?な…に…………を…」

言葉を最後まで紡ぐ事なく、締め上げられた看守は意識を落とす。

その瞬間室内にいた数人の看守が一斉に動き出す。

「お前!?何者だっ!!」

「こんな事をして!!どうなるかわかってるんだろうなっ!!」

そう怒声をあげながら銃や剣をライへと向ける。

『ククク…。わかっててやってるに決まってるだろう?』

そう言って帽子を取れば、紅い髪と目許のタトゥーに看守が気付いた。

「こ、こいつ!?麦わらのクルー!?紅の騎士!?何故っ!ぐあっ!!」

『静かにしてよ…他の奴等が来ちゃうだろう?』

回し蹴りで看守の頭を蹴り飛ばすと、まだ自分へと武器を向ける看守へと視線を向ける。

そして、看守の前へと瞬時に移動すると顔面に拳を叩き込み、ある看守には腹へと足をめり込ませる。
そうする事で、監視室の看守全てを倒すと、指示を仰ぐ電伝虫を手に取りながら椅子へと深く腰かけた。

『侵入者らしき影は、level1エリアCへと移動。影は二人に増え、剣樹へと移動中。速やかに捕らえ、檻へ!』

ライは襲った看守の代わりに、level1で動く看守達へと指示を出す。

そして、笑う。

『ここから、暫く。ルフィがこのlevel4に辿り着くまで、楽しませてくれよ…ククク』

そして、目の前には監獄内の至る場所にいる監視電伝虫の映像。
その1つの画面へとライは引き付けられる。
その画面には2つの大きな影。
その画面を手元のキーを操作しメインモニターへと映し出すと2つの影は獄卒獣とジンベイ。

『level………6の監視画面……か…』

映像をさらにズームさせれば、ジンベイを檻へと押し込む獄卒獣。
そして、獄卒獣がジンベイを鎖で壁へと拘束しどいた暗闇の先に…………



『……エー…ス………っ。』


見えたエースは所々に怪我をし、血の流れた痕も見られた。
その姿を見たライは眉間へと皺を寄せ苦悶の顔を見せる。
一拍後、表情を変えたライの顔は冷笑を浮かべていた。
その瞳に抑えきれない怒りを滲ませて。



堕天使の冷笑
(愛する弟をこんな痛々しい姿にした事。後悔させてあげよう)
(こんな紛い物の地獄と比べ物にならない程の本当の地獄をこの堕天使が…)


疼く、疼く、疼く…
怒りで彼女の血肉となった
悪魔の力が疼きだす…

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