rode-63
「な、なんだえ!?お前ら!!庶民の分際で逆らう気かえ!?」
ライは、ルフィとハチを背にかばったまま落としていた腰を上げスッと剣をチャルロス聖へと向けた。
『生憎…俺らは庶民じゃない。海賊だ。あんたら…何か勘違いしてんじゃねぇのか?世界政府、大層なもんを作った先祖だが……。こんな馬鹿共を作っちまって………格が知れるぜ?』
チャルロス聖を見据えて放たれた言葉に全員が驚愕しライを見るが、ライの表情は感情を無くしたかのように怒りも何も感じさせないのに、その鈍く光る銀の瞳は見る人を底冷えさせる程に冷たい光を放っている。
「な、なんだえ!?下々の民の分際で!!よくも貴様!!我ら天竜人を蔑んでくれたえ!!」
『下々……ねぇ。なぁ、聞いていいか?』
剣を肩に当てながら一歩一歩ゆっくりとチャルロス聖を見据えて足を進める。
少しずつ近付くライに、チャルロス聖は畏怖を感じ後退るが、ライは更に詰め寄るとチャルロス聖の少し手前で足を止めた。
『お前らの何がそんな偉いんだ?お前らは権力振りかざして好き勝手してるだけじゃねぇかよ。見てて…不愉快だ。てめぇらの存在自体がよ?』
言ったライに天竜人達がわなわなと震える。
と、ライの隣を通ってルフィがチャルロス聖の前へと行くと思いきり振りかぶる。
「お前……よくも俺の友達に銃むけやがったな!!ふざけんじゃねぇぞ!!!」
そう怒鳴りながらルフィはチャルロス聖の頬へと思いきり拳を当てた。
「わりぃ。こいつぶん殴ると海軍の軍艦とか大将がきちまうらしいんだ」
謝罪を仲間達へと向けたがその瞳は今しがた殴られ吹っ飛んだチャルロス聖を睨み付けたまま。
「……全く。まぁ、いいわ。あんたがいて何事もなく済んだことなんてないもの」
「「斬り/蹴り損ねた…」」
「貴様らぁ!!お前ら!!こいつらを引っ捕らえろ!!一人残さず奴隷にして、地獄を味合わせてくれる!!」
ロズワード聖の怒りの声で、オークション会場の衛兵達が慌ただしく現れると戦闘が開始された。
オークション会場を訪れていた観客達は始まった闘いに我先にと逃げ出す。
と、ロズワード聖が台に上がりもっていた杖の形の銃を構える。
『おっと。仲間が怪我したらどうしてくれんだ?お前は大人しく成り行き見てたらよかったのにな』
銃を射つ寸前でライが目の前に移動するとロズワード聖の構えていた銃を剣で真っ二つに斬る。そして、足を高くあげるとロズワード聖の顔を蹴り飛ばす。
思いきり蹴り飛ばされたロズワード聖はそのまま壁へとぶつかり、倒れた。
そこに駆け付けた衛兵達が一斉にライへと飛びかかる。
『もう少し人を集めるんだったなぁ?』
飛び上がり、かかってきた衛兵達を避けるとライは剣撃を放ち蹴散らす。
「ありゃぁ、相当な腕前だぞ。なぁ、キラー…」
「一度手合わせ願いたいものだ…」
「おい、ペンギン。益々おれはあいつが欲しくなったぞ…あの動き…どれだけの修羅場越えてきやがったんだ…」
ローがにやにやと笑みを深めながら楽しげに言う。
と、天井からブルック、ロビン。少し時間をおいてウソップが駆け付けた。
そうして、麦わら海賊団全員が集まるとそれぞれがあちらこちらで戦闘を開始したのだった。
ライは確実に衛兵の数を減らしていく。
『んだよ!こいつら、虫みてぇに湧いてくんなっ!!』
蹴散らしながら怒鳴っているとゾロの剣撃によりケイミーの入れられていた水槽の上部が切り落とされる。
『ケイミー!!今行くからなっ!!』
「待ってて!!ケイミー!」
麦わら一味の面々が声をあげた。
そうしてまた意識を目の前の敵へと向けると一人また一人と倒していく。
そんな時、会場に声が響いた。
「我らを苔にしおって!!許さぬぞ!!」
目を向けた先にはケイミーへと銃を突きつけるシャルリア宮の姿。
『……バカ女か』
ボソリ呟くと周囲にいた衛兵を斬りつけると、ライは笑みを浮かべて舞台上を見据えた。
と、その直後。
覇気が会場に広がり、ルフィを始めとする麦わらの一味とキッドとロー両海賊団とライ以外がバタバタと倒れていく。
そして、舞台の崩れた壁から現れたのは。
ライの会いたかった…シルバーズ・レイリーその人だった。
敬愛するもう一人の存在
((レイリーさん……きっとあたしはこの人達も悲しませた……))
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