rode-54



それぞれがオーズ見据える。

「おい、やっちまうにしたってあの巨体だぜ?どうするよ、おめぇら…」

フランキーが渋い顔をしてオーズを見上げた。

「………とりあえず、ひっくり返しゃあいいんじゃねぇか?」

「おいおい!?あんなでけぇのをどうひっくり返すんだよっ!?」

ゾロの提案にウソップが声を大にして訴える。

『そりゃあ…俺も賛成だなぁ…』

ライの声に全員が視線をライに集めると、そこには唯一の武器であるはずの剣を鞘へと納めるライの姿。

「おい、これからオーズをぶっ飛ばそうってぇ時に武器を納めるなんてどーいう事だよ」

サンジがそう言った瞬間、ライの右手が光った。
それに全員が目を背けると、ガシャンと重々しい金属音が響いた。

『……強くなるって、決めたんだ。今よりもずっとずっと強くならなくちゃ、俺は何にも守れないっ!!』

ライの言葉に再び視線を戻せば、黒金を肩に担ぎオーズを見上げたライの姿。

「お、おい…!?それ、どこから出したんだよっ!?」

『黒金……俺の本当の相棒だよ…』

その言葉に唖然としていた筈のロビンがライの右手へ視線を投げて気付く。

「………指輪………指輪はその武器の携帯用の姿だったわけね?」

クスクスと楽しげに笑ったロビンに一同は困惑を露にする。

『行くぞっ!!オーズ!!』

地を蹴り舞い上がったライは黒金をオーズの額へと突き刺す。

「あ!?あの野郎先走りやがって!!」

「よし!!俺らも行くぞ!!!!タクティクス15パイレーツ・ドッキングだっ!!」

フランキーの言葉にその場に残るライを除く麦わらの一味が困惑する。

「お前ら!!俺の足を持て!!」

サンジとゾロにそう指示を出したフランキーに意味も分からずに従う二人。

「お前らは腕に!!チョッパーは俺の肩に乗れ!!」

そうして、ドッキングされていく一味。

『……何してんだ…って、あぁ……』

オーズを引き付けて、戦う傍らで何やら騒がしい地上へと顔を向けて思い当たったライはツーっと一筋の汗を流すと呆れ顔を見せる。

「お前ーー!!いてぇじゃねぇかっ!!…ん?」

喚きながらも、オーズも足元が何やら騒がしい事に気付くとしゃがみこむ。

「パイレーツ・ドッキング6 ビックエンペラー!!」

「「ふおーーー!!いかす!!」」

騒ぐウソップとチョッパーがこちらを見つめるロビンに気付き、ドッキングが成功していないとロビンに声をかける。

「おい!!ロビン!お前も俺の真似してドッキングするんだ!!」

「早くしろー!ロビーン!」

騒ぐ彼らを見据えたロビンは冷たい視線を向ける。

「嫌よ……。人として恥ずかしいわ」

……………………………………。

ロビンの投げ掛けた言葉に、自ずと我に帰ったサンジとゾロが顔を赤くしてショックを受ける。
ウソップやチョッパー、フランキーも例に漏れず呆然としている。

『……なんつーか、わりぃけど…俺も嫌だわ…』

視線をライへと向け始めた面々にトドメとばかりに告げたライ。

「くそっ!!俺は何やってんだ!!」

ビックエンペラーからゾロとサンジが離脱する。

「あれ?やらねぇーのか?ドッキング」

突如響いた声に視線を向ければ、何やらワクワクとしていたオーズの残念そうな顔。
ドッキングを辞めてしまった事に怒り心頭の様でオーズが暴れだした。

「ワクワクしちゃったじゃねぇーかぁ!!」

『お前ら!真面目にやれっ!!』

怒鳴ったライが空中でオーズの腹に黒金をぶちこむとその勢いに負けたオーズがふらりとよろめいた。
それを見逃さずにサンジが跳んだ。
よろめいただけのオーズに更に追い討ちをかけるように腹へと蹴りを入れると、ゾロが前へと倒れてくるオーズの支えをなくすべく左手を弾くとロビンがそれを能力を使い、背後で間接を固める。
それに右手をつこうとしたオーズの右手にウソップが油星を浴びせて両手の支えがなくなったところをフランキーとチョッパーにより顎への攻撃を加える。
そこへ足元へ移動したライとサンジが唯一の支えであった左足に渾身の蹴りと黒金を当てる事で、オーズは地面へと倒れた。

「ぃよっしゃぁーーー!!」

全員が喜んだのも束の間、怒り出したオーズが動き出そうとした。が……

『…………………お前、角…刺さってるぞ…』

ライのぽつり溢した言葉にオーズの頭部を見ると地面に深々と刺さった角。

「…お、おい!!チャンスだっ!!」

これを好機と見たウソップ達は更に追い討ちをかける。

「とにかく!!今はルフィが来るまで持ちこたえようぜ!!」

それに同意するフランキー達をよそに、ライ、ゾロ、サンジはオーズを倒す気満々である。

『引き寄せるだけじゃ、意味ないと思うぜ?』

「あぁ。ここはふざけた能力者がうようよいやがる。ルフィの弱点を考えてみろよ」

サンジの言葉に珍しくゾロが同意する。

「透明人間に霊体人間、それに影の支配者。この島にいるふざけた奴等がルフィと真っ向から対峙するとは思えねぇ。騙されちまえばルフィは素直に騙されちまうのが関の山。だが、こっちは俺にくそコックまで影を取られてるんだ。何とかルフィの影だけでも取り返せば、後はルフィがモリアをぶっとばしゃあいい」

『…あぁ。それに、俺もいるからな!ルフィの影を今は取り返す事を考えるべきだ』

「行くぞ!!」

渋るウソップ達を説き伏せて、オーズとの戦闘が再び始まる。
が、ここで唯一の救いであった深い霧の立ち込めていた海域を抜けてしまったのか霧が晴れだしてしまう。

「お、おい…まずくねぇか?」

「朝日が上る前にどうにかしねぇと!?」

俄に焦りを見せ出した麦わらの一味。
と、オーズが聞き覚えのある技を繰り出した。

「ゴムゴムのー銃!!」

「まさか!?伸びるのか!?」

と、一同焦りを見せたが。

「……………あれ?おっかしいなぁ?伸びる気したんだけどなぁ??」

不思議がるオーズに安堵するライ達。
すると、再度オーズが技を繰り出す。

ガシャァーーン

……………………………………!?

「「「の、伸びたぁーーー?!」」」

突然ルフィ同様に伸びたオーズの腕。
ライが険しい顔を見せ飛び上がると、オーズの腹目掛けて能力を発動して羽根をけしかける。
今現在もライ以外には羽根も翼も見えていないために鎌鼬と思っているが。

そうして、あたった場所から見えたのは腹の中にいるモリアだった。

「キシシシシシ…!!お前らには、俺の優秀なゾンビ兵になってもらうぞ!?」

そう言ったモリアが突然伸びたオーズについて解説すると、麦わら一味は焦りを見せる。

「こんなんじゃ、影も取り返すにも取り返せねぇ!?」

歯を食い縛る彼らを視界に納めたライが一歩前へ出ると飛び上がる。

『わるいな、モリア。俺はもう、自分が強くなる事を優先する事にしたんだよ。こいつらはこれからいくらでも時間をかけて強くなれる。だけど、俺には時間がねぇんだ。あと残り少しの時間で俺は今よりもっと強くならなきゃいけねぇんだ!!』

響いた声と共にライからは微量の覇気が漏れ出す。

「…!?これは……てめぇ!!何者だっ!?この前半の海でそれを使いこなす奴なんて…!!」

『いるだろー?探せばな。現に俺がいる!とりあえずさ、お前の能力。厄介なんだわ。押さえさせてもらうぜ!!』

(けど、ここで俺がお前倒すわけにもいかねぇからな。ルフィ、早く来いっ!!)

「おい!!何かよくわかんねえけど!!伸びなくなったぞ!!」

ウソップが叫ぶ。
それに勢いつく麦わら勢だったが。
ウソップを狙ったオーズの攻撃が繰り出された。




願ったのは、誰よりも強くある事
(遅くなりました。これを見つけてきましたよ!!ヨホホホホ)
(ブルック!!)
(どうやら何か、異変が起きてるようですが…)
(あいつ、何したんだ?)
(これが終わったら、俺の事教えてやるよ。目ぇひんむくなよ!!)
(よし!!やるぞ!!俺、ライの事もっと知りてぇからなっ!!)

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