rode-50
入りたくなんてなかったのにも関わらずライ含むナミ達一行は島を進むことを余儀なくされたのだが。
先へ進もうとした矢先に、ケロベロス…風のキツネが混じった怪物や、助けられたホグバックの使用人の馬車から逃げ出すも、今度はゾンビに襲われ、辿り着いたのはこの島唯一の建物。城だった。
そうして、ライ率いるナミ達は城へと足を踏み入れた。
「それにしても…あんたにも怖いものがあったのね…」
『うっるせぇよ!!俺だって人間だぞ!苦手なもん位あるっつんだよっ!』
話ながら、使用人の女の後に続く。
「ゾンビに襲われた時のお前、軽く半狂乱だったぞ…」
『だぁから、うるせぇよっ!!』
「こちらにどうぞ…」
案内された先は、大きなテーブルが備えられた部屋。
そこへ現れたのは、チョッパーが憧れているホグバックと言う医者だった。
「シンドリーちゃん!食事をお願い!!」
食事を取りながら、島の状況を聞き出したりとした結果今はここに止まるのが得策だとナミが言うのでルフィ達を城で待つ事にしたのだが。
汚いからと、シンドリーに風呂を進められ浴室へと向かった4人。
浴室へ向かう途中、最後尾を歩いていたライは複数の気配に怯えていた。
『(な、なんなんだよ!この大量の気配はぁっ!?)』
恐怖のあまりにここがモリアとモリア率いる部下達の巣窟である事をすっかりうっかり忘れてしまっており、まとわりつく気配にきょろきょろと辺りを警戒していたのだが…突如音もなく視界が真っ暗になり気付くと何やら袋に詰められていたライ。
『っはぁ!?おい!!ナミ!?ウソップ!?チョッパー!?』
もだもだと暴れながら、呼び掛けるも不幸な事に辺りを警戒するあまりに3人とははぐれてしまっていたらしく、呼び掛けに答える者も異変に気付く者もいない。
『まぢでっ!?なんだよ!!ちっくしょー!!ぐあっ!!』
大騒ぎしていたのだが、突如腹部を蹴りあげられ意識を落としてしまったライはある一室へと運ばれていってしまったのだった。
『………ん。いってぇ…』
気を失ってから暫くし、意識を取り戻したライはきょろきょろと辺りを窺う。
『カビくっせぇな…ここどこだよ…』
起き上がり、辺りを見回すがなにもなく。
扉を見つけて恐る恐る部屋から出る。
と、
「あっらぁーー?いーい男ねぇ?」
突如話しかけられたライだったが、あまりにも自然と話しかけられたのでそれに笑顔で答えた。
『おぉ?サンキューなぁ!あんたもな…かな…か…びじ…ん…………って!!?ぎゃぁーーーーーー!!!!』
振り向いた先にいたのは、壁に飾られた絵から伸びたその名もびっくりゾンビ。
ホラー嫌いな上に現在はナミ達とはぐれ一人という状況がライの恐怖を増幅させた。
バコーン!!と盛大な音をたててびっくりゾンビを殴り飛ばすとそのままに猛ダッシュを始めた。
あたりの家具を破壊しながら…
と、その頃ルフィ達はと言うと、ライ達の進んだ道を辿り城へと辿り着いていた。
「あら、雰囲気のある城ね?」
「ここにナミさん達が!早く行こうぜ」
「なぁー、あれ何か聞こえねぇか??」
そう言ったルフィが城の上部を指差す。
「あぁ?声…か?」
ゾロの言葉に一同耳を澄ます。
『こ、こっち!!来んじゃねぇよっ!!ひぃっ!!やーーめーてぇーーーー!!!』
「これは………ライの声…じゃないかしら?」
「あいつ、何にびびってんだよ…」
「とにかく!!ライがピンチだ!行くぞっ」
そうして、ルフィ達も城へと足を踏み入れたのだった。
『はぁ…はぁ…。こ、こ…どこだ?』
がむしゃらに逃げ回り、破壊しまくったライは現在………道に迷っていた…。
『……戻るって選択肢は間違いなく却下だ。よし。こっちいこ。あーあ…こんな時ビスタかマルコがいたらなぁ…。エースとハルタ、サッチは間違いなく面白がるからないな…。はぁ…ビスタぁー、マルコぉー…おやじさぁーん…こーわいーよぉー!!』
来た道とは逆の道をとぼとぼと進みながら、家族の名前をぶつぶつと呟くライ。
『てかさぁ、今はこんな姿だけどさぁ…一応…いや一応とかじゃなくね!女が一人でこんなとこうろついてちゃいけないと思うんだよなぁ…あー!!もう!!怖いの嫌いっ!!もうまじで勘弁してっ!!』
誰か聞いてたらどうする気だと聞きたくなる事まで声に出しながら進むが、先々にびっくりゾンビがおりその度に騒ぎながらぶちのめして走り回っていると1つの大きな扉へと辿り着いていた。
『…何なんだよ…この不気味さMAXの扉…。これ絶対お化けの王様いるだろ…』
びくつきながらもそこは行き止まり。
引き返すなんて恐ろしすぎて選択肢がないライは恐る恐る扉開けたのだった。
まぁ、ぶっちゃければ引き返すのが一番の安全策なのだがびびりすぎており正常に考えられないライ。
大きな扉を自分が通れるだけ開き中へと足を進めきょろきょろと辺り窺う。
「キシシシシシ…!!どうした?さっきぶりじゃねぇかぁ!?」
『つっ!?』
突然の笑い声に盛大に体をびくつかせつつも、驚きすぎて声も出ないライは声のした方へ体を向ける。
「2億の首…紅の騎士かぁ。丁度いい!!お前に聞きてぇ事があるっ!!」
『(モリア!!そうだよっ!ここ、スリラーバークだった!!何ガチでびびってんの!!)聞きたい事?』
「お前の影…何故切れねぇ!?」
『…………ねぇ、そこはもう少しこぉさ…なんつーの?溜めたりしないの?』
「そんな事どうでもいいじゃねぇか!!モリア様が聞いてんだ!!さっさと答えねぇかっ!!」
女の声が響き振り替えれば、ペローナがクマシーを従えてライの少し後ろにいる。
その隣にはアブサロムにホグバック達も控えている。
「キシシシシシ…!!そう騒ぎ立てんじゃねぇ!!で?何でだ!?」
もう1度訊ねられたライは少し考える。
モリアが能力を使えなかったのは間違いなくライの能力が意識なしでも発動したのが原因ではあるのだが。
どう誤魔化すかで考えこむ。
考えた結果。
『んー…。俺!!』
話始めたライに視線を向けるモリアとペローナ達。
『そういう体質らしいんだよなっ!!』
にんまりと笑いながら言うライに全員が絶句して固まる。
当の本人はと言えば?
『(多分、てゆうか…間違いなくナミ達がクマシーの中に隠れてる。ここはどうにか無理矢理にでも切り抜けないと…知られたとこでどってことはないけど…まだ知られちゃまずいしな…)』
「…………そ、そんな訳ねぇだろっ!!お前バカか!?バカなのか!?」
『ちょ…バカバカ言い過ぎだってぇ…まじ心外ー』
「冗談抜かしてないで、本当の事を話した方がいいんじゃないのか?」
ペローナに続いてアブサロムもそう促す。
『ここ偉大なる航路だろ?有り得ないなんて事はないと思うんだけどー??そこんとこどう思います?モリアさん?』
「ふん…本当か嘘かは知らねぇが、どうやら嘘ではねぇみたいだしなぁ?キシシシシシ!!おい!!もうすぐ、届く頃だろう?そいつ捕らえておけ!!」
モリアの言葉に返事をしたアブサロムは姿を消して誰が捕まるかよと勝ち誇った顔をしているライへと近寄る。
がしゃん
『…………へ?』
音と共に視線を落とせば、その先にあるのは念のためにと海楼石で出来た手錠と足枷が嵌められている。
『しまったぁーーー!!俺なにやってんだよーー!!』
「「モリアさまぁーーー!!!!」」
手錠を嵌められたライを部屋の隅へと放ったところで何かを担いで運んできたちっさなリス2匹。
恐怖の館の正体は?
(キシシシシシ…手に入れたぞ!!3億の首!)
(ルフィっ!!てめぇ!!おい!でからっきょ!!)
(口を慎まねぇかっ!!)ごん
(いってぇー!!てめぇ!何平然と殴るんじゃねぇぞ!)
(ふんっ!!)
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