rode-20



前日結局根掘り葉掘りローに尋問されたライだったが、適当に話を合わせながら確信には触れずにその場を乗り切り、なおかつしっかり酒代は奢らせた。

帰りに船に来い。なんて誘われたが、宿を取っていて荷物もそこにあるからとごり押しのお誘いをなんとか断り、宿に帰った。

そして、また捕まったらたまったもんじゃないと今朝早くにエターナルポースを入手したライは次の島へと飛んだのだった。

「ちぃっ!逃げられたか…」

「当然の結果ですよ…キャプテン…」

「ふん。まぁ、いい。また会うだろう。この海にいて、生きている限りな…」


『たく、まさか船に泊まれとまで言い出すなんてなぁー。怖かった…』

空を高速で飛びながらぼやくライ。
と、突然剣やベルト、身に付けていた貴金属がカタカタと音を出し始める。

『んあ?なんだ?』

不思議に思い飛ぶスピードを緩めたのが…悪かった。
その瞬間いきなりライの身体は後方に向かって勢いよく飛ぶ。

『ぎゃあぁーー!!!なっ!何っ!?』

ダァーン パリン

辿り着いたのは、ライと同じ紅い髪を逆立てた男の元だった。

「なんだ?てめぇ、どこからぶっ飛んできやがった?」

ジャキィ

一斉に向けられた武器達に、慌てる事なく自分より大きな男を睨み付け怒鳴る。

『てめぇの能力のせいで、優雅に空中散歩してたのに引き寄せられたんだよ!どうしてくれんだ!ユースタス!見ろ!これを!!』

怒鳴りながら、出したのは粉々に割れたエターナルポース。
それに視線を落とすと、鼻で笑いながら口を開く。

「知るかよ。で、てめぇ何者だ?空中散歩ってこたぁ何かの能力者だろう?おい、あれ。持ってこい。キラー」

『うるせぇよ!何でそれをお前に言わないといけねぇんだ!』

ギャイギャイと怒鳴り散らすライの腕を突然掴んだのは、キラーと呼ばれた仮面の男。

ガチャン

『ん?………って!これ海楼石じゃねぇかっ!ふっざけんなぁー!』

これで完璧にぶちギレたライは隠し持っていたナイフに己の力を籠めて海楼石の錠に降り下ろすと、大きな音をたて砕け散った。

「な!なにぃっ!?」

それに全員が驚き目を丸くする。

「お前、麦わらのとこのクルーだな?最近手配書が出回った。紅の騎士ライだったか?」

『だから、根本から間違ってんだよ。俺はルフィの船には乗ってるけど、ルフィの船のクルーじゃない。目的地まで乗せてもらってるだけだっつの…』

「まぁ、いい。お前何してたんだ?麦わらは近くにいるのか?」

『ルフィ達とは今は別行動だ。3日後に合流予定。なのに!お前のせいで予定が狂いそうだ。何でもいい。この近くの島のエターナルポース持ってねぇ?持ってたら、くれ』

「なっ!!強制かっ!そんな事より!お前さっきのどうやった!?本来海楼石は何をしたってぶっ壊れたりしねぇんだよ!」

『知るかよ。出来るもんはしょーがねぇだろ。とにかく、エターナルポースは?あんの?ないの?』

「このあいだ襲ってきた船から近くの島のエターナルポースを回収したが?」

『おっ!まじか!?くれよ、それ。お前ら使わねぇだろ?』

「キラー!お前何親切に教えてんだよ!やるか、やらねぇかは俺が決める!俺がこの船の船長だからなぁ」

『じゃあ、くれ』

手をキッドに向けて差し出すとふてぶてしげにいい放った。

「……てめぇ…。」

いい加減頭にきたのか、キッドが手をかざす。
が、ライは能力でキッドの能力を封じる。
何も起こらない事に驚くキッドの懐に潜り込むと剣を喉元に突き付けた。

『ねぇ、渡すの?渡さないの?』

「何しやがった?本当にてめぇ何の能力者だ?」

『ないしょ。ねぇ、俺にエターナルポース渡すか、島まで乗せるか…選ばせてあげるよ。どっちがいい?俺としてはエターナルポースくれた方が楽なんだけどさ』

「くそっ…わかった。エターナルポースはやるよ。だが、少しの間この船に乗っていけ」

『まぁ、妥協案かな?丁度飛ぶのも疲れたし、少し休んでいくか…飯旨いもんだしてくれよー』

剣を鞘に戻すとにっと笑みを見せた。

その後キラーに案内され、食堂へ行くと食事をしながら、キッドとキラーと話をする。

「なぁ?本当にお前何の能力者なんだ?」

「確かに気になるな…」

『風を使うんだよ。あとは努力の賜物!』

「ほぅ…努力の賜物かぁ!すげぇな!お前!……って信じるか!ぼけぇっ!」

『おぉ!ナイスのりつっこみ!』

「はぁ、もういい。お前の事はもう聞かねぇよ…聞くこっちが疲れる」

『にしても、この船のセンスはいかがなもんよ…。リアルホラーだぞ…よくお前ら寝れるな…』

「知るかぁっ!ほっとけ!ばか野郎!」

『んだよ。カリカリすんなって!』

「な、なんつー自由な奴だ…もしかして、麦わらの船の奴は皆こんなんなのか…!?」

『あー。全員個性的だとおもうぞ!自由人に嘘つき、金の亡者に女好きに迷子癖、びびりのトナカイに考古学者。異色の一味だよなぁー!あっはっはっ!』

「まとまりなさそうだな…」

『だとしても、俺は好きだぜ?あの場所。』

「そうかよ。て、事はお前を勧誘しても意味ねぇって事だな…」

『そうだなー。当分は降りる予定ねぇからなっ!まぁ、おもしれぇから!また遊びに来るぜ!ユースタス!』

「キッド」

『んあっ?』

「食いながら喋るんじゃねぇ!キッドでいいって言ってんだ!!」

『お前…………ツンデレか!?』

「もう十分休んだだろ!さっさと行きやがれ!お前がいっと調子が崩れる!!」

『お!それもそうだな!そろそろ行かないと野宿するはめになっちまう!』

「ライ。これを…」

『お!サンキューな!キラー!』

ニカっと笑いながら、エターナルポースを受け取りお礼を告げるとキッドの前へと移動する。

『キッドも、サンキューなっ!また会おうぜ!トラファルガーは苦手だけど、お前は俺好きだぜ!』

ニッと笑って握手をしようと手を差し出すも、キッドにその手をはねのけられてしまった。
それでも、ライは笑うと

『じゃあ、またな!飯ご馳走さん!』

そう言って食堂から出ると、甲板へと足を進めて行ってしまった。

「キッド、見送らなくていいのか?俺は行くぞ?」

「だぁー!わかったよ!行くぞっ!」

そう怒鳴ると、すぐに二人も食堂を後にした。

「ライ!!」

『ん?おぉ、キッド。見送りかぁー?』

「まぁ、そんなとこだ。心配はいらなそうだが。死ぬんじゃねぇぞ」

『この海は何があるか、わかんねぇからな!キッドも、死ぬなよ!また会おうぜ!』

ガシっと互いの腕を取ると笑いあい、別れの挨拶をする。
そして、ライは飛び上がると手を振りながら船を離れていった。

「変な奴…」

「だが、気に入ったんだろう?」

「まぁな。いつか、麦わらの船を降りる時は意地でも俺の船に乗せるぜ」

「そうか…」

「紅の騎士…どんな奴かと思ったが、変だけどいい奴じゃねぇの。これから楽しみが増えたな」




芽生えた不思議な友情
(おーし!次の島はあそこか!)
(次は平和に過ごしたいなぁ…)

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