「ひぁ、っも、むりっ、っあ」
「何がもう無理、だよ。こんなにしやがって」
土方さんが、くいっと中で指を動かす。
「っぁ、あぅ、っ!」
僕が与えられる快楽に溺れてしまえば、もう二度と抵抗なんかできないことを知っていて、それでも尚意地悪をしてくるのだから質が悪い。
性根が腐りきっているんじゃないか、すごく心配。
どうやら僕は、相当土方さんを怒らせてしまったみたいだ。
僕はただ、恋人であるにも関わらず、ご多忙な所為で土方さんと滅多に会えないことが悲しかっただけなのに。
そりゃあ以前は大人になりきれなくて、三行半を書いてみたりして、土方さんを困らせたこともあったけど。
だけど、僕だってそれなりに反省している。
だから、ここのところ、ちょっかいを出すのを控えていた。
今日なんて、大人しく部屋にいたじゃないか。
気を紛らわせようと思って、稽古に行く気にもなれなくて、それで仕方なく、柄でもないのに俳句を作っていたんじゃない。
それでもどうしても土方さんがしつこくて、僕の頭を離れようとしてくれないから、仕方なく、土方さんの句を書いていたんだ。
だから、待ち望んだその人が部屋に来てくれて、心臓が飛び出るほど嬉しくて、どうしていいか分からなくなってしまったわけなんだけど。
それにこんなの、可愛い恋人の、ただの可愛い悪戯じゃないか。
どうして怒られなければならないのさ。
土方さんと会えないのが、寂しかっただけなのに。
「全く…これだからっ、癇癪持ちは、困るンっですよっ」
僕は納得がいかなくて、それでも土方さんが嫉妬してくれていることが嬉しくて、取りあえず反抗してみる。
「てめぇ、まだそんなこという余裕があんのかよ」
土方さんが、僕のいいところを擦ってきた。
「あっん…卑怯、ものっ」
だらしなく蜜を垂れ流し、充血して膨れ上がっている僕自身は、根元を紐で締め上げられているせいで、イきたくて堪らないのに、劣情を吐き出せずにいる。
「素直に謝ったらどうだ」
土方さんの指が、中でばらばらと巧みに動く。
「なっにを、謝るんですかっ、んぅっ」
「俺以外の奴を好きと言ったことを、だろうが」
「ぅっわあ、す、ご……嫉妬深いというかっ、独占欲に…まみれてる、とっ、いうか」
土方さんが、容赦なく僕の先端を引っ掻いた。
「うあっ!」
びんびんに勃ち上がっている僕自身が、切なげに揺れる。
僕は、心底楽しそうに指を動かしている土方さんを睨んだ。
「素直じゃないのはぁっ、土方さんっでしょ…ほんとっは、僕を…抱きたくて堪らないっくせに、ぃっ」
「おめぇな、これは仕置きなんだよ。おめぇは身体に教え込まないと、いつまでたっても何にも覚えやしないからな」
何を言っても土方さんは動じない。
ついに僕は我慢できなくなって言った。
「もっ……ひじ、か、た、さんっ…僕……イきたいっ、よっ」
焦らせばいいってもんじゃない、と僕がいうと、土方さんに睨まれた。
「誰がイかせてやると言った」
そして、意地の悪い顔でにやりと笑っている。
土方さんの手から逃れたいが、両手を縛られていてはそれすら叶わない。
ただただ一番敏感なところを擦られて、こみ上げて来る吐精感を我慢するしかなかった。
こんなの、拷問だ。
「ひじかたっさ、ぁん、っあ、お願いっ…あ」
目から大粒の涙を零しながら、僕は土方さんに懇願した。
「ね、ひじか、た、さんっ、ってばっ」
三本の指を容易に咥え込んでいる僕の後孔は、ぐちゃぐちゃと卑猥な音を立てて快楽に浮かされている。
「イイ眺めだぜ、総司」
イかせてくれと頼む僕を、土方さんは何も言わずに見下ろしてくる。
目は、捕らえた浪士を拷問するときのそれと同じで。
獰猛なまでに爛々と光る紫紺の両眼には、激しい嫉妬と、獲物をいたぶる時の猟奇的な快感しか浮かんでいない。
「総司は近藤さんの方が好きなんだろ?…こんな姿を近藤さんが見たら、何て言うだろうな」
態とそういう意地悪を言ってくる。
あの句は土方さんへの当て付けのつもりだったから、計画はまあ成功と言えるのだろう。
だけど、こんなのはもう嫌だ。
愛する人には、きちんと抱かれたい。
「三本も指を咥えやがって。おめぇの穴は淫乱だな」
「そ…な、っことないっ!もっ、イかせて、ぇ…」
このままでは壊れてしまうのではないかと恐怖に怯えていると、土方さんが不意に指を引き抜いた。
「え…なに…」
「大人しく見とけよ」
そう言って、僕が先ほどまで俳句を書き付けていた半紙をびりびりと破き出す。
ただの暇つぶしで、別に本気で書いていたわけではなかったけれど、こうも簡単に破られてしまうとちょっと悲しい。
何をするつもりなのか、固唾を呑んで見守っていると、今度は器用に紙縒りを作り出した。
僕に、くしゃみでも出させたいの?
綺麗に出来上がったその紙縒りを、土方さんがすっと僕の前に差し出す。
「なに…怖い」
土方さんは冷たく笑うと、不意に僕自身を乱暴に掴んだ。
「う…っく」
イけないまま昂ぶり続けていたそこは、少しの刺激にも過敏に反応する。
その瞬間、僕は土方さんがしようとしていることを理解して、僕は恐怖に身体を引きつらせた。
「待ってっ…それだけはやめっ…!!」
「まあ、たっぷり味わえよ」
土方さんは、僕の制止も聞かずに、縛られたままの僕自身の先端を弄って尿道を押し開くと、そこへ紙縒りを捩じ込んだ。
「やああああああ!痛っ!痛いっ!」
紙縒りは、溢れていた蜜の所為で、いとも簡単に奥へと入っていく。
激痛に顔を歪め、身を捩らせる。
紐によって塞き止められていたものが、更に逆流していくのを感じた。
本来の目的である排泄とは真逆の方向に押し進む異物感に、僕は身体を仰け反らせて耐える。
「うぅっ…なん、で……」
泣きながら、恨めしそうに土方さんを見た。
「俺以外の奴を好きだと言ったんだ。これくらいの仕置きを受けて当然だろうが」
言いながら、尿道に突き刺した紙縒りをぐりぐりと回している。
「あーあ。折角の俳句が台無しだな」
全く詫びる気はなさそうに、土方さんが言った。
「ぅ、っく、は、ぁぅ、ぁぁっん」
身体中の感覚が麻痺して、今感じているのが快感なのかも苦痛なのかも、既に分からなくなっていた。
あまりにも辛すぎて、とうとう僕は土方さんに屈する。
「ごめん、なさ…っ…ただ、ひ、かたさんっ、に、構って…もらいたくてっあ」
「おめぇは寂しかったら、俺以外の奴も好きになるのかよ」
「違っ!……近藤、さんへ、のっ、好きは、っ、尊敬の好き、だからっああっ!」
急に後ろに指を突っ込まれて、僕は背中を撓らせる。
「ふん、尊敬の好き、か」
最早指などでは足りないほど僕の身体は快楽と苦痛に埋もれていて、僕は自ら腰を振る。
「だ、から、ひじかたさんへのっ好きは、あっ、愛してるのっ…方っひゃあああっ」
僕がまだ言い終わらないうちに、土方さんが紙縒りを一気に引き抜いて、同時に根元の紐も取り去ったものだから、それらが擦れる刺激に耐えられず、僕は身体をびくつかせて、大量の白濁を吐き出した。
「あああああっ――!!」
今まで散々我慢させられていた所為で、断続的な吐精が長く続く。
ぶるぶると身体が痙攣して、ものすごい勢いで、白濁が飛び出していった。
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