book短A | ナノ


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お昼休みの終わりに、土方先生は僕を、古典準備室というところに連れて行ってくれた。


「お前がどうしても屋上が良いって言うんなら別だが、明日からはここに来いよ。ここの方が涼しいからな」

「どうして?ここ、他の先生とか生徒とか来るでしょ?」

「いや、誰も近寄らねえから安心しろ」

「じゃあ、ここに来ます」

「どうしてもサボリたくなった時も、見つからねぇようにここに来い。俺が居るかは分からねえが、休み時間になれば必ず戻ってくるから。そしたら、話くらい聞いてやる」


バタバタと次の授業の支度をしながら話す先生に、じんわりと胸が熱くなる。

僕が問題児だからだってことは知ってるけど、先生が特別扱いしてくれるのは、すごく嬉しい。


「どうして、そんなに気にかけてくれるんですか」

「どうしてだろうな」

「もう、誤魔化さないで、ちゃんと答えてくださいよ」

「……また明日な。ちゃんと昼飯持ってくるんだぞ」


土方先生は、答えを曖昧に誤魔化したまま僕を準備室から出すと、また頭を撫でてから去っていった。


「変なの………」


僕も、きちんと教室に戻った。



その日の放課後、久しぶりにきちんと授業に出た所為で疲れた僕は、早々に下校していた。

校舎の横を歩いていると、突然二階の窓が開いて、煙草を片手に土方先生が顔を覗かせる。

あぁ、あそこが古典準備室なんだ。

僕は思わず、鞄を振り回して手を振った。


「土方先生!土方先生!」


土方先生は一瞬驚いてから目を細めて僕を識別すると、はにかんだように笑いながら、小さく手を振り替えしてくれた。

僕は、これから始まるちょっぴり特別な日々を思って、小さく笑顔を浮かべた。



(なぁ、沖田って土方先生と仲良かったの?)
(そうでもない)



2012.08.02


土方先生、わざわざ屋上まで行かなくても、古典準備室で煙草吸えばいいのにね。

何で毎日屋上まで行ったんだろうね(^q^)




*maetop|―




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