「ん、ぁ、ぁぁっ、は、ぁん」
前立腺ばかり狙って指を動かしてくる土方に、沖田は涙を溜めて身体を震わせた。
わざとズレた場所を擦り上げられたり、かと思いきや寸分違わぬ場所を抉られたりと、最早土方の思い通りに喘ぐしかない。
「っあぁ、イく…イっちゃ…ぁあっ!」
沖田の意味をなさない言葉の羅列に、土方は自分自身熱を煽られているのを感じていた。
「おら、お前はここが好きなんだろ?」
そう言って凝り固まったしこりを擦ってやると、沖田は一際高く喘いで上り詰めた。
今やぱんぱんに腫れ上がっている沖田自身は見るからに痛々しく、いい加減に解放してやろうかとも思うのだが、まだ虐め足りないと土方は考え直す。
「せんせ、ぇ、出したいっ、出した、い」
もう何度後ろだけでイったか分からないが、それでもまだ一度も解放を許されていない前を、沖田は机の角に擦り付けた。
「ひ、ぃ、あぁっ――っ!」
強すぎる快感に、沖田はびくびくと痙攣して悶絶する。
「お前、何勝手なことしてんだよっ」
土方は、そんな沖田の身体を抱え直すと耳元で囁いてやった。
「熱いの、欲しいか?」
沖田はこくこくと頷く。
「、…ほし、い」
「っ仕方ねぇな……」
土方が性急に自身を取り出し、沖田の尻たぶを割った、その瞬間。
沖田の携帯がけたたましく鳴り出した。
「っ……!」
甲高い機械音に、沖田の身体がびくりと震える。
土方は間が悪いと舌打ちをし、そのディスプレイに表示された発信相手を見て、更に機嫌を急降下させた。
「斎藤、か」
「っはじめく……」
沖田は名前を言いかけて、慌てて口を閉ざした。
先ほどの土方の言葉を思い出したからだ。
しかし、時はすでに遅く。
沖田が気付いた時には、土方は沖田の携帯を面白くなさそうに取り上げたところだった。
「おい、出なくていいのか?」
「や、無理…出れな、い」
「でも、お前の大事な斎藤がお呼びだぜ?」
「っなに、それ…」
「ほら、早く出ねぇと切れちまうぞ?」
そして、あろうことか、土方は着信に震える携帯を、沖田の胸に押し付けたのだった。
「っひ……やぁぁあっ!やめっやめてぇぇ!」
バイブの振動がダイレクトに伝わってきて、この上なく敏感になっていた身体には過ぎた快感となる。
充血し、赤く腫れ上がっていた胸の突起に押し付けられて、沖田は激しく身を捩って悶絶した。
「やだぁぁっ、ぁ、らめ、ぇっ、」
「斎藤に感謝しろよ、お前。こんなに感じさせてもらって、気持ち良くなってんだからよ」
「や、違ぁっ、む、りぃっああっ」
暴れる沖田を後ろから押さえ込んで、土方は楽しそうに携帯をずらしていく。
そして不意に、携帯を蜜を零す先端へと押し付けた。
「っやだーぁあっ!ああぁっい…やぁっ」
バイブする携帯に、沖田自身は次から次へと液を溢れさせる。
「この携帯防水じゃねえんだろ?そんなに濡らしたら使い物にならなくなるぞ?」
意地悪く耳元で囁く土方に、沖田は抵抗一つできないで、快感に耐えるしかなかった。
「おら、さっさと出ろよ」
「む、っむり、っ!」
沖田は泣きながら止めさせようとしたが、土方は無情にも通話ボタンを押して、自分にも聞こえるようスピーカーにすると、それを沖田の口元へ持って行った。
『――総司か?』
「っ…は、はじめ、くん?」
息も絶え絶えに応答する沖田を、土方は口元を歪めながら見下ろす。
『総司、今どこにいる』
「どこ、って、土方先生、に、呼び出されちゃっ、て、」
土方は通話中も沖田を弄る手を止めなかった。
バイブにより敏感になった身体中を愛撫し、わざと焦らしながら胸の突起をまさぐる。
『……もしかして、今土方先生と一緒なのか?』
「ぇ?…あ、うっ…ん」
『ならば何故あんたは俺と電話しているのだ』
「何故、って、っ―――――……」
刹那、沖田の動きがフリーズした。
『総司?』
土方が、沖田の胎内を熱く穿ったのだ。
(ひぃっ…ぁぁっ、んっ…!)
沖田は慌てて声を抑えた。
そして、すぐに開始される律動に、必死で声を押し殺しながら会話を続ける。
「土方先生、が、出ていい、って、言った、っん」
『そうなのか?…それより総司、大丈夫か?何だか先ほどから……』
「僕、は、大丈夫だ、よ!」
『ならいいのだが……電波の調子でも悪いのだろうか…』
「あ、そう、かもっね」
『あんたの声が変に聞こえる』
「ま、なんでもいい、けど、…っそういうわけ、で、一緒に、ぃっ…帰れない、や」
『あぁ、承知した』
「ごめ、っ先生、怒り出した、から切る、ねっ」
土方は、激しい律動にも必死に耐えている沖田を見て、満足そうに笑みを浮かべた。
『分かった。くれぐれも土方先生の意に添わないことはしないように……』
「しなっ、い、よ!」
『じゃあ、また明日』
「また、ねっ」
会話が終わったのを見計らって、土方は電源ボタンを押した。
そこから更に激しさを増す律動に、沖田は今度は声を抑えることもなく、掠れた声で喘ぎだした。
「あぁ、んぅ、ぁっ、っひ、きょうですっ、!」
「誰が卑怯だって?」
「電話、なんっか…ぁあっ!」
「文句を言うなら斎藤に言え」
「っいじわ、る…!」
「お前が気持ちよさそうにするのがいけねぇんだろ?」
意地の悪いことしか言わない土方に、沖田はついうっかり泣きついてしまう。
「ね、…っ手、取って」
「あぁ?」
「っ取って、くださっ!」
「何の話だ」
土方が白々しくしらばっくれると、沖田は自らの身体を支える手首に巻かれたネクタイを顎でしゃくった。
「これ、っ、取ってよっ」
「……なら、まずは俺に謝るんだな」
「なん、でっ」
「斎藤にも、俺の意に添わないことはしないようにって言われただろ?」
「何がっ…?」
「謝って、もう二度と斎藤にじゃれついたり、朝起こしてもらったりしませんと誓え」
「な………」
沖田は吃驚して目を数回瞬かせた。
「…もしかして、嫉…っひぁ、」
言いかけると、土方がすかさず奥まで深々と突いてきて、沖田の口からは否応なく喘ぎ声が漏れることとなった。
「しっと、なんです、ねっ?」
「うるせぇな……黙って啼いてろよ」
「だま、ったら、誓えな、いです…よっ?」
「なら、早く誓え」
ようやく土方が何故怒っているのか分かって、沖田は安堵の溜め息を洩らした。
突然こんなことをされると、嫌われたのではないかと女々しい疑問さえ湧いてきて、どうしようもなく不安になる。
「っぼくは、土方先生だけ、ですっ…土方せんせ、以外、ほしくない」
「…………」
「せん、せ?」
「………馬鹿野郎っ」
煽るんじゃねぇと、土方は突然腰の動きを再開させた。
「いっぁ、あっ、いきな、りっ」
「柄にもなく可愛いこと言ってんじゃねぇよ」
「せんっせぇがぁっ…言わせた、んでしょ……っ?」
「あぁそうだな。確かに言わせたのは俺だ。けど、今のは反則だ」
「っごうかく、って、こと…?」
「…畜生、可愛いじゃねぇかっ」
土方は己の熱が高ぶるのを感じつつ、背後から手を伸ばすと、沖田の手首のネクタイを解いてやった。
「ぁ、した、も…」
「…仕方ねぇな、許してやるよ」
土方は手探りで沖田を戒めていた自分のネクタイを探し当てると、緩慢な動きでそれを取る。
そのまま中を突いてやると、実に呆気なく沖田は果てた。
「っあ、や、っぁあーっ、!」
呂律の回らない口で嬌声を上げながら、びくりと身体を震わせて白濁を吐き出す。
それは、決して勢いのあるものではなく、むしろいつまでも止まらずにあふれ続けているような長い絶頂だった。
まるで湧き水のように、後から後から零れ出しては、机の上を卑猥に汚していく。
「ふ、ぅっ、ん…ぁ」
「あーあ。イっちまったなぁ」
土方が腰を止めないままでつまらなさそうに囁くと、沖田は酸素を取り込もうと、懸命に口を開いて荒く息を吐き出した。
「ちょ、っと、ぁ、あぁ、まっ、……!」
イった後の敏感な身体には、土方の律動は大きすぎる快感だったらしく、沖田は呼吸の仕方すら忘れたかのように、だらしなく開けた口もそのままに息を詰まらせた。
「俺のはそんなにイイか?」
「っは……ぁ、あん、っあ、」
土方は緩急自在に腰をグラインドさせると、再び手を前に回して、沖田自身をしごいてやった。
浮き出た血管をなぞるように指を絡めると、沖田は中をきゅうきゅうと締め付けてくる。
つい達してしまいそうになるのをぐっと堪えて、土方は机の上で沖田の身体を器用に反転させると、またがつがつと腰を打ちつけた。
「や、もっ、そこ…やぁっ!」
「いい、の間違いだろ?こんなに締め付けてるくせに、よく言うぜ」
前立腺ばかりを狙って沖田を追い上げると、沖田は再びとろとろと白濁を吐き出した。
それと共に身体中を弛緩させ、中はこれでもかというくらい収縮を繰り返す。
その締め付けに土方は小さく吐息を漏らすと、沖田の中に熱い飛沫を叩きつけた。
「っあぁ…っん…」
熱い物が腹部に広がる感覚に、沖田は意識を飛ばしそうになりながらも、土方の温もりの余韻に浸ろうと虚ろな目を泳がせた。
焦点がようやく合った時、視界に飛び込んできたのは苦虫を噛み潰したような顔をした土方だった。
「っひ、かた先生……」
「総司……」
「ん…キス…して」
土方に強請ると軽く啄むようにキスを落とされて、沖田はくすぐったそうに顔を背けた。
「ったく、どうしようもねぇな」
「え?」
「お前相手だと、何の自制も効かねぇ」
「……それ、は…」
沖田はくすりと笑いを洩らした。
「ほんと、どうしようもない先生ですね」
「………お前に言われたかねぇがな」
「でも、好きですよ?」
「あぁ?」
「先生のそういう…嫉妬深いとこ」
「…お前、酷いことされんのが好きなのか?」
「違うってば、」
「じゃあ何だよ」
沖田はゆっくりと身体を起こすと、土方の首に抱き付いた。
「土方先生に愛されてるって感じるから、好きなんです」
沖田が耳元でこっそり囁くと、土方は目に見えて動揺した。
「な…ち、違ぇよ!俺は別に…」
「え、違うんですか?なら僕はまたはじめくんと浮気し…」
「何だと?!」
「あはは!ムキになっちゃって、せんせー可愛いですね」
「おめぇ……」
沖田はくすりと笑って、甘えるように土方の肩に顔を埋めた。
「僕は、先生だけだよ」
―――数日後、また沖田と斎藤がいちゃついている(一緒にお弁当を食べていた)のを見て土方の理性がデリートしたのは、また別の話である。
総司くんはこの後すぐ携帯を買い替える羽目になったそうです(笑)
20111014
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