その時にちらりと見た総司のお母さんが妙に若いんで、気になって後で永倉に聞いたら、あれはお母さんではなくてお姉さんだったらしい。
「総司の両親は事故で亡くなったんだよ。それなのにあんな健気でさ、涙を誘うよな!」
そう言って電話越しに泣いている。
「おいおい…おめぇが泣くか?」
「泣く!あいつは本当にいい奴なんだよ…………そうだ、誰かお気に入りの子はできたか?」
「何だよそれ」
キャバ嬢でもあるまいし、と思う。
「俺は土方さんは一くんあたりかと思ってたんだけどなー。それか千鶴か」
「千鶴?…知らねえ」
「えぇぇ?マジかよ!あのかわいこちゃんを?」
「おめぇ普段どういう目で園児を見てんだよ」
「いやぁ、可愛いなぁと思ってるだけだよ!で、誰なんだよ!」
「誰って…総司と一くんとしか喋ってねぇ」
「あ゙ーやっぱり!あんたはそうくると思ってたよ!」
「あ゙?それはあっちから話しかけてきたからで……」
「でも気になったんだろ?じゃなきゃ母親のことなんて聞かねえよなぁ!」
「決めつけんなよ」
「まんざらでもねぇって思ってるくせに」
「てめぇ…誰に向かって言ってんだ。おめぇの埋め合わせしてやったのは、どこの誰だと思ってやがる」
「あー悪いねぇ土方さん。けど、もう一回くらい頼んでも平気だよな?」
「はぁぁぁぁぁ?」
けど、きっぱりと断れない自分がいる。
ほ、ほら、あいつらにまた来いって言われちまったし。
約束は違えちゃいけねぇし…な。
園児というのも、案外いいもんだと思った。
20110515
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