どこか不満気な総司を宥めすかして、両手で足を押さえさせる。
でんぐり返りのような格好にされて恥ずかしいとわめき散らすのを聞き流し、俺は先ほど総司が吐き出したものを後孔に塗りたくった。
「うっ…ん、………」
途端に強張る総司の頭に手を伸ばし、軽く撫でてやる。
「大丈夫だ。痛くしねぇから」
「……………どうだか」
震える声で目一杯強がってみせる総司に苦笑しつつ、俺は周りをするすると撫でてから、指を一本挿入した。
「っ………」
途端に総司が息を詰め、全身を強張らせる。
ぎゅうぎゅうと締め付けて、何とか異物を押し出そうとする内壁に閉口しつつ、力を抜けと総司に言う。
「ほら、息をしろって。力入れたら痛ぇぞ」
「っわかんな、キツい…っ!」
空いている手で太腿をさすり、ふうふうと無理やり息を吐く総司が脱力するのを待つ。
段々指の感覚に慣れてきたのか、深呼吸ができるようになったところで、俺は指の関節を曲げて、内壁を擦ってみた。
「ゃっ…なに!?」
「大丈夫だって。気持ちよくするだけだ」
「や、なんか変……」
落ち着かずに此方を見て、首をあちこちに傾けている総司は放っておいて、俺は気持ちよくなる場所を探すために奮闘する。
この辺か?と目星をつけて指を動かすと、こりっと指に抵抗を感じる場所があった。
「ああぁっ…!?」
途端に総司がびくんと跳ねて、あられもない声を上げる。
「なるほどな……」
「何がなるほどなんです、かっ、ぁっ!!」
ようやく見つけたその場所を覚えようと、重点的に攻めまくる。
「ひっ、あ、ぁ、ぁ、あぁ!!」
「どうだ、いいだろう?」
「はぁっ、んっ、ぁ、やっ、よくなっ!」
否定する総司とは裏腹に、総司自身は再び頭をもたげ始める。
それを見て安心した俺は、指の数を二本三本と増やして、俺を受け入れるそこを丁寧にほぐしていった。
「そろそろ挿れんぞ」
だいぶ柔らかくなった頃合いを見計らって、総司の後孔から指を引き抜く。
とろとろに溶けた目で俺を見上げる総司に見せつけるよう性急に着物を脱ぎ捨て、俺は勃ちあがった自身を数回扱いた。
総司の喉がゴクリと鳴るのを聞き逃せる訳もなく、自分でも不敵だと思うほどの笑みを浮かべると、余裕なく総司の足に手をかける。
それから、先走りで濡れた先端を、総司の後孔に擦り付けた。
「んっ…」
「分かるか?総司。俺はお前のおかげでこんなになっちまうんだよ」
尚も焦らすようにずりずりと腰を動かしていると、案の定総司の息が荒くなってくる。
「俺は早くお前の中に入りたくてうずうずしてるんだが、いいか?」
今更嫌だと言われたら立つ瀬がないなと思いつつ、一応聞いておく。
すると総司は、不機嫌そうに横を睨みながら、
「…早く好きにすればいいじゃないですか」
と言った。
じゃあ遠慮なく……と思ったものの、強がっているだけで内心は多少の恐怖を感じているであろう総司に、一度だけ口付けを落としておく。
それからぐっと腰を押し進めると、途端に強烈な締め付けが襲ってきた。
「痛っ、い、痛い!痛いってば!」
「くっ……総司、息吐けって…」
「土方さんっ、の、下手くそっ!痛くしないって言ったのにっ!」
「…下手くそでよかったじゃねぇ、か……手慣れてなくて、よ………」
「う、ぅっ…ひきょー、ものっ!」
軽口を叩いてはみるものの、あれだけほぐしたというのに総司の中がキツすぎて動けない。
こちらまで痛くなってきて、俺は総司の前に手を伸ばした。
「最初だけだから、な?頼むから力を抜いてくれ」
力を抜きやすいように、ぬめった総司自身を扱きあげる。
総司は苦しそうに顔を歪めながらも、何とか息を吐いて力を抜いた。
その瞬間を狙って、ズンと腰を突き上げる。
「ぅぁあっ!!」
一気に繋がりを深いものにして、痛さを忘れるほど激しい律動を開始する。
「あっ、や、待っ、っ、ぼく、まだ、っ」
余裕を全て剥ぎ取るような突き上げを繰り返し、先ほど探し当てた場所を嫌と言うほど擦りあげる。
確実に気持ちよくなっている証拠に、総司自身からだらだらと先走りが零れ出した。
「どうだ、気持ちいいか?」
「んっ、んっ、待ってっ、て言って…の、」
「聞こえねぇな」
「いじ、わる!」
心許なさそうに揺さぶられていた総司の手を取り、首にかける。
「ほら、しっかり掴まってろよ」
総司の体がずり上がるのを引き戻しながら、奥深くまでかき回す。
もう声を抑えることも失念しているのか、鼻にかかった甘い声で鳴く総司に、興奮は募る一方だ。
啄むように総司に口付けてから、前を握ってやる。
手の平で包み込むように擦り上げると、総司の中が反応してキュッと締まった。
「んっ、アァッ!…やだ、気持ちい、っ!」
「嫌じゃねぇだろう?っほら、よ!」
敏感な内壁に亀頭を擦り付け、奥をめちゃくちゃに突きながら、律動に合わせて総司自身を扱く。
「ん、ん、っ……」
「こら、声我慢するんじゃねぇよ。たくさんよがって、俺をイかせてくれ」
総司の腰を掴んでいた手を唇に持って行き、堅く閉じたそこを指で撫でる。
「ん、ふぁ、っぁ、っ!」
「くそっ、…そんなに締めん、な」
総司も限界が近いのか、段々と中の収縮が激しくなってくる。
「総司、中に出しても、いいか?」
「……っ、ん、たくさん、ください…」
「おまえは……!」
一体どこでそんな煽り文句を覚えてきたのか。少なくとも俺も近藤さんも教えてはいない。
「あぁっ!や、っそこ…あ、あ!!」
「ここだろうがよ」
「ダメ、ダメ、イくっ――!」
ゴリゴリとイイところを刺激すると、総司は呆気なく果てた。
俺は激しい突き上げを続けながら、特等席で総司のイき顔を堪能する。
恍惚を顔に乗せ、微かに開いた口から細く息を吐き出し、快感に打ち振るえる総司の余りのエロさに、俺はすぐに持って行かれた。
奥まで届くように限界まで腰を打ちつけて、ぴしゃぴしゃと熱い飛沫を撒き散らす。
「ーーっ…っ、は」
気持ちよすぎてどうにかなりそうだ。
ゆるゆると腰を動かしながら、大きく上下する総司の胸に倒れ込む。
「………よかったか?」
ぼそぼそと聞くと、総司はすっかり掠れきった声で言った。
「……はい、幸せでした」
「俺もだよ」
間髪入れずに答えると、ようやく無駄な心配が払拭されたのか、総司の顔が綻んだ。
懸命に難しい顔をしようとしているものの、口元が緩んでまったくうまくいっていない。
意地っ張りで可愛い奴だな、と思いながら俺は顔を上げて、目の前に晒された鎖骨にちゅうと吸い付いた。
総司がびくんと跳ねるのを抑えて、顔をずらし、着物に隠れるギリギリのところまで、赤い印を点々と散らしていく。
「やだ、そんなにいっぱいつけないでくださいよ」
「何でだよ。いいじゃねぇか。これでもうお前は完全に俺のもんだからな」
自分でつけた濃い印を指でなぞりながら言うと、総司がもじもじと視線を泳がせる。
「…そんなのつけなくたって、どこにも行く気はないんですけど」
これまた予想外に可愛かった総司の言葉に、挿れっぱなしだった俺の下半身が元気を取り戻す。
「よし、じゃあ二回目いくぞ」
「えっ!?」
驚く間も与えずに、俺は総司の体を抱え直した。
「えっ、本気で?!」
「あたりめぇだろうが。ようやく恋人をものにできたってのに、一回で止めたら男が廃れる」
「………………」
総司は呆気にとられて俺を見上げているが、その顔はやっぱりどこか嬉しそうだ。
「総司、愛してる」
俺は愛の言葉を口に乗せると、そのまま総司の唇に運び、口付けた。
2012.09.09
幕末初夜という素敵なリクエストをくださった森巣さまに捧げさせていただきます!
なんというか、土方さんも総司ももはや別人…いつになく初々しい二人になってしまいました。
受け取っていただけると嬉しいのですが…書き直しなどいたしますのでなんでもおっしゃってくださいね。
リクエストありがとうございました!
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