捧げ物 | ナノ


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いいか?と聞いたらまた頷いたので、俺は迷わず総司の寝間着に手をかけた。

途端にギクリと強張った身体を慰めるように、顔中にキスを落とす。

薄く開いた唇を吸い、舌を差し込んで歯列をなぞる。

頭を撫でながら総司の舌を絡め取り、意識が削がれているうちに寝間着を脱がせてしまう。


「総司、好きだよ」


精一杯の優しい声でそう言って、緊張してガチガチになっている総司の下肢に手を伸ばす。

いつもなら積極的に足を絡め、俺に乗り上げて腰を振りたがるほどの勢いを持つ総司が、こんなにウブな反応を示すのも、もう二度とはないレア物かもしれない。

今の内に心ゆくまで堪能しておこうと、俺は一人舌なめずりをした。

微かに兆した中心をそっと握り込んで、壊れ物を扱うようにやわやわと刺激を与える。


「ん、は………」

「感じてるな」

「ぅ……言わない、で……」

「先にイっておくか?」

「え、っ、分かんな……」

「その方が楽だぞ」


未だかつて、ここまで優しく抱いてやったことがあっただろうか。

多分、ない。……あ、いや、確か初夜くらいは優しくした気がする。

が、あの時総司はまだ高校生になったばかりで、半分強姦だった気もする………

今までぶつけるばかりで、肝心な総司の気持ちは大して考えてこなかった…というより、総司の気持ちに胡座をかいてばかりだったことを反省すると同時に、もう二度と傷つけないという決心を固める。


「総司、ごめんな…」


謝罪の言葉が出てきたのも、そんな心の現れだろう。

ごめんという俺の言葉に、総司は感じきった顔で微かに驚いていた。

が、俺が手の動きを激しくしたことで、すぐにそんな余裕は剥ぎ取られる。


「は、ぁ……あ、っ」


間もなく俺の手の中で達して、総司が呼吸を整えている内に、俺は白濁を後ろに塗りたくって、指で周りを慣らし始めた。


「ひっ…や、やだ、そんなとこ…」

「やだって言われてもな…」


グイッと指を侵入させると、総司の足が引きつって、中がきゅうきゅうと収縮する。

痛がる総司を宥め賺しながら、時間をかけて指の太さに慣れさせる。


「土方、さん……はずかしい……」

「恥ずかしい…?」


どこまでもウブな総司に、思わず笑みが漏れる。

総司の言葉を反芻しつつ、中に埋めた指を動かしてしこりに当ててやると、総司は小さく声を上げて、背中を仰け反らせた。


「ひっ、も、やぁ…って……!」

「大丈夫だ。怖くねぇから」


泣きそうな顔をして俺を見上げる総司を宥めるように抱き締め、背中をさする。

中がだいぶほぐれたことを確認すると、総司の口を塞いで、キスに気を取られている間に自身の先を中に埋めた。


「ん、んーっ!」


痛くないようにゆっくりと腰を進め、力が抜けるように総司自身にも手を伸ばし、刺激を与えてやる。

舌を吸い上げることで痛みから意識を逸らし、徐々に繋がりを深いものにする。


「…入った、ぞ………痛くねぇか?」


総司を気遣うのに必死になりすぎて、汗を拭うことも忘れながら、俺は総司の顔を覗き込んだ。


「はぁ、ぁ……いた、い…けど、大丈夫…」


ご無沙汰にし過ぎたなと思う。

総司が記憶を失っていても、身体まで感覚を忘れることはないはずだ。

単に、俺が総司を放置しすぎたのだ。

再び申し訳なくなりながらも、俺はゆっくりと総司を揺さぶり始めた。


「あっ、や、ぁっ、て、待って!」

「悪い……」


細腰を掴み、下から抉るように突き上げる。

かき混ぜるように腰を回すと、俺の先走りともつかないものがぬちゃぬちゃと粘着質な音を立てて泡立った。


「はぁ、あっ、あ、激し、」

「でも、気持ちいい、だろ?」

「ん、きもち、い」


こいつ、と思って、再び律動を激しくする。


「総司、っ」

「あ、なに、」

「ずっと、好きだからな」

「ひ、かた、さん…」

「愛してる、よ」


嬉しそうな顔をして抱きついてきた総司の中に、張りつめていた欲望を叩きつけた。


「く……はぁ、っ!」

「ん、ん――――!」


小刻みに腰を揺らして、総司の前髪をかき上げる。

今の身体には刺激が強すぎたのか、意識を飛ばしてしまった総司を今一度抱き締めると、後始末をするために身体を起こした。





何となく眩しい気がして目を覚ます。

窓の外を見ると、どうやら朝らしい、日が出て明るくなっていた。

辛うじて済ませた後始末では、身体がまだベトベトしているだろう。

シャワーを浴びさせるか、と横で寝ている総司の方に顔を向ける。

………と、そこはもぬけの空になっていた。


「は…?アイツもう起きたのか?」


寝起きの悪さは記憶を失っても健在だった総司は、いつだって俺が起こすまで爆睡していた。

トイレか?なんて思いながら起き上がり、リビングに行こうとすると、突然ドアが開いて総司が顔を覗かせた。


「あっ、土方さん!もう、いつまで寝てるつもりですか。今朝食できたんで、早く食べないと冷めちゃいますよ!」

「お、おう………」


勢いに押されて頷くと、総司はまたリビングに戻って行く。

その後ろ姿を見ながら、そうか、わざわざ朝食を作ってくれたのか、と思って、…


「……は?いやいや!ちょっと待て!」


俺は慌てて総司を追いかけた。

有り得ねぇだろ!こんな態度の総司は!

まるで……まるで元に戻ったような……


「…………総司?」


俺はキッチンに戻ろうとしていた総司の手を掴むと、その身体をくるりと反転させた。


「総司、お前、記憶………」

「記憶?」


総司は狙ったように首を傾げてから、見たことあるような笑みを浮かべてこう言った。


「あぁ、なんか、昨日中に出された衝撃で戻っちゃったみたいです。あはは」

「な…………」


なんだよそれ………なんなんだよ。

にっこり笑うその顔は、確かに俺がよく知る総司のものではあるが……

中出しされた衝撃でだと?

笑わせるな。


「総司、大人をからかうのは…」

「からかってないですよ。本当に戻ったんですー。なんなら教えてあげましょうか?土方歳三先生?」

「何だ、言ってみろ」

「土方歳三先生にはー、趣味がありますね?一生懸命秘密にしてるけど、僕にはバレてるやつ」

「……………」


何だか嫌な予感がする。


「例えばー、梅のは……」

「だぁぁぁっ!もういい!お前の記憶が戻ったことはよーく分かった!」


なんなんだよこの心から喜べねぇ感じは!


「えへへ、僕、記憶が戻って嬉しいです。また、土方さんの恋人でいられますね」


が、もやもやした気持ちも、総司の一言で吹っ飛んでしまった。

険しかった表情も、自然と穏やかなものになる。


「……あぁ、そうだな。もう二度と、俺のことを忘れるんじゃねぇぞ」

「土方さんが、僕のこと追い返したりしなかったらね」

「う………すまん」

「もういいですよ。記憶なかったおかげで、土方さんすごく優しくしてくれたから」

「これからは、もっと優しくする……」

「へぇー、期待しときます」


まず手始めに、一日中可愛がってやるとするか。

俺はようやく戻ってきた(恐らく)平穏な日々に、ホッと胸を撫で下ろした。



2012.08.16


六万打キリリクで、桜花様に捧げます。

現パロで、事故で総司が記憶喪失になって、土方さんが看病してて、抑えきれなくなってヤったら思い出す、というお話でした。

甘いのかギャグなのか何なのか。
だらだらしてたら無駄に長くなってしまいました。
もっとシリアスを想定していたのですが、わたしの手にかかると記憶喪失が台無しになるようです。記憶喪失、美味しいネタをリクしてくださって力入れすぎたんですね(汗)

土方さんが抑えきれなくなってない。
むしろ総司が誘い受けている!
描写がヌルい!
そして総司が女々しい…!

ひぇぇすみません…色々違う気がします…こんなんでよければ受け取ってください……

リクエストしてくださってありがとうございました!




*maetop|―




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