宝物 | ナノ


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「なぁ、土方さんの理想の恋人ってどんなんだ?」


全てはこの一言から始まった―


「理想の恋人だぁ?」


「そう!土方さんどんなのがいいんだ?」


「綺麗で我儘言わず、家事とか出来るのがいいんじゃねぇか?」

土方先生に用事があったので職員室に行くと、永倉先生と原田先生と土方先生が話をしていた。

その会話をたまたま聞いてしまった僕はしょんぼりしてしまった。


だって僕は・・・


―土方先生の、恋人だから。


いつもなら『こんなところでそんな話していいんですか?』って乱入出来たけど今はそんな気分じゃない。

外見は綺麗じゃないし(『可愛い』なら言われた事があるけど)我儘ばっかり言うし、家事もろくに出来ない。

本当は土方先生は嫌々付き合ってるんじゃないかな?

僕のこと、本気じゃないのかも・・・

考え出すと止まらなくて、土方先生に用事があったのにそのまま職員室を後にした。

もやもやしたまま、放課後を迎えて家へと帰る。

一息つくと、先生達の会話が頭をよぎる―


『綺麗で我儘言わず、家事とか出来るのがいいんじゃねぇか?』


やっぱり僕じゃだめなのかな・・・

ずっとそんなことを考えていると。


―ピンポーン


宅配便かな・・・?

とりあえずドアを開けると。


「総司」


「!土方先生・・・」


「ちょっとあがるぞ」


「ど、どうぞ・・・」


吃驚した・・・

土方先生がここに来るのなんて珍しい・・・

あんな話を聞いたばっかりだから不安になる。

別れ話されるのかな・・・


「総司」


そんなこと考えていると名前を呼ばれた。


「はい」


「別れ話とかじゃねぇから気を抜けよ」


「!はい・・・」


僕の好きな優しい笑みを浮かべて頭を撫でてくれた。

何で分かったんだろう・・・


「何で分かったか?って顔してるけど、お前は分かりやすい」


「え・・・そうですか?」


分かりやすいって言われるとは思わなかった・・・


「お前、俺達の話を聞いてただろ」


やっぱり土方先生にはバレてた。


「聞くつもりはなかったんですけど・・・」


「別に責めてる訳じゃねぇよ。そんな顔すんな」


「は、はい」


「総司。あれは相手が女だったらの話だ。今はお前がいるしお前以外に作るつもりもない。安心しろ」


土方先生はちょっと照れくさそうに言ってくれた。

土方先生が僕で満足してくれたのが嬉しかった。


「これからもずっと一緒にいような」


そんな台詞と共に指輪をくれて。

僕は幸せな気持ちになった―





理想の恋人を語る土方さんの話を偶然聞いた総司が落ち込む話、ということでリクエストさせていただきました。

こんな素敵な誕生日プレゼントをいただけて嬉しいです……!!

勝手に勘違いする総司と土沖の甘オチがツボです!ずっといちゃいちゃしてればいいのよ。

楓さま、素敵なお話をありがとうございました〜!!!




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