宝物 | ナノ


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今僕は朝から苛々している。

なんでかって?

そんなの……




「ねー、土方先生って付き合ってる人とかいるの?」

「あ、それ気になるぅ、」


これが原因に決まってるでしょ!


僕の教室の前の廊下で女子生徒二人にモテモテな土方先生がいる。


僕のクラスの授業が終わって廊下に出たら話しかけられたらしい

いつもならあっさり答えてさっさと行ってしまうんだけど
次は、たぶん授業がないからああやって質問に何個も答えてやってるんだと思う。


「付き合ってる奴か…、」

そう土方さんは呟くと
密かに此方に視線を向ける

その土方さんと目が合ってしまい
柄にもなく胸が高鳴る。


「いるぞ?すっげぇ可愛い恋人がな」

「っ…!」


僕を横目で見て不意に視線を女子生徒に向けると意地悪く微笑みそう言った。

僕の顔はたぶん真っ赤だ

でも、その土方さんの言葉を聞き
騒ぎ始める女子生徒二人。

その様子にちょっと優越感を感じる僕がいる。
思わず微笑んでしまう程に、



「でも、私土方先生のこと諦めませんから!」

一人の女子生徒がそう言い土方さんの肩に手を置き

土方さんの頬に口付けた。

「な…!?」

思わず僕は声をあげて立ち上がってしまった

それに気付いた土方さんが僕に視線を向けニヤリと意地悪く微笑む

な、なんなのあの人!?

女子生徒にキスされて鼻の下伸ばしてんじゃないの!?

女子生徒も僕に気づいていたらしく…


「沖田くんどうしたのぉー?」

「っ…ううん?どうもしないよ?」

こうなったら僕が絶対に土方さんに手を出させないようにしてやる!


僕はそのまま廊下に行き


「こんなおじさんのどこがいいの?」

土方さんが好きと言う女子生徒に近付きわざと優しく微笑みそう言う


「え?だって怖いけど見つめられると胸が高鳴るの!」

ああ、…以外にショックかも…

土方さんに見つめられるのは僕だけでいいのに!


そんなことを考え落ち込んでいるともう一人の女子生徒が…

「私は沖田くんが好きだよ!」

「へっ?」

「沖田くんって意地悪だけどたまに凄く優しい時があるし!それに、意地悪な沖田くんに抱かれたい!!」

「えっ?」

な、なに?この子…


「私は土方先生に見つめられながら意地悪な言葉を囁かれたい!」


「っ…」

その女子生徒の言葉に胸が痛む僕は馬鹿らしいのかな?


でも、仕方ないでしょ?
悲しいんだから


「っ…総司、テメェは補習があるから来い」

土方さんが急にそう言い出し
僕の腕を掴む


「わりぃな、質問はここまでだ、」

女子生徒にそう言うと僕の腕を掴んだまま歩きだす


「え?土方先生!?」

急に歩き出した土方さんに驚く女子生徒。

その女子生徒の声に立ち止まりもせず古典準備室まで歩く


古典準備室に着くと
土方さんは先に僕を準備室の中に入れ、後から土方さんが入る


「テメェはなんて顔してんだよ、」

「え…?」

「そんな泣きそうな顔すんじゃねぇ、」

そう言うと、土方さんは力強く僕を抱き締めた。


僕はそんな顔をしてたんだろうか…


「土方さんから見つめられて、意地悪く囁やかれるのは僕だけしか嫌なんです」

こんなの子供染みた独占欲かもしれないけど、


「土方さんの全部は僕のものなんです!」

僕がそう言えば
土方さんは僕の顎を掴み後頭部に手を回し、荒々しく口付けた。


「ん…っ、」

吃驚したが、嫌がるなどあるはずもなく、
僕は土方さんの背中に腕を回す

すると、舌を捩じ込まれ
舌を絡められる。

「んぅ、…っふ、」


土方さんにそんなキスをされれば立っていられなくなるのも当たり前で…、

漸くして口を離された時には、もう土方さんに支えてもらわないと立っていられない状態だった。


「はぁっ…っ…、」

「馬鹿な心配してんじゃねぇよ、」

「なっ…、」

「俺には総司だけに決まってんだろうが、」

「っ…、」


優しく微笑み、そう言われれば
嬉しくて、恥ずかしくて

たまらなくなった。


そんな簡単な言葉だけど
土方さんがそう言ってくれれば
凄く安心する。


僕は、土方さんの恋人だと実感する。


「土方さんの馬鹿、」

僕は余裕な土方さんに少し苛つき、そう言うと
土方さんの頬に手を添え
頬に口付ける

その行動に目を見開く土方さん

「消毒です、」

あの女子生徒にキスされたのが悔しく
土方さんにそう言うと


「んなことすんじゃねぇよ…止まんなくなんだろうが、」

土方さんはそう囁き

僕に噛み付くように口付けた。


止まらなくなってもいい

乱暴でもいいから、

だから……



早く僕を土方さんで満たして


僕が土方さんの首に腕を回したのと同時に、


鍵が閉まる音がした。










SSLで、モテモテの土方さんに嫉妬する総司、とリクエストさせていただきました。

リクエスト通り、いやそれ以上の素敵な作品をありがとうございます!

嫉妬しあう土沖にずっきゅんです!
是非止まらなくなってください!
女子生徒のいい仕事ぶりに拍手です(笑)

紫葵様、この度は本当にありがとうございました。




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