その時点で、総司の頬も千鶴と同じく紅に染まっていた。
(ちょっと、土方さん…っ!流石にこれは…っ!)
土方が自分を大切に想い、愛してくれている。
それを改めて知れた事は、凄く幸せだし嬉しい。
けれども、総司の頭の中には、それと同じくらい恥ずかしさも溢れていた。
そんな総司達をお構い無しに、土方ののろけは続く。
「アイツは、愛情に餓えてっからな…。俺達が…、いや、俺が愛してやらねぇとな…!」
「…う、うむ…。」
曖昧に返事をする近藤に対して、珍しく長々と熱弁する土方。
頭から湯気が出そうな程赤面し、あわあわと眼を泳がせる千鶴が、ふと総司を見れば。
紅くなった顔を隠すように俯いていた総司の手が、小さく震え出している事に気付いた。
「……沖田、さん…?」
とても小さな声で総司の様子を伺おうとすると。
ガバッと総司の顔が上がり、勢い良く局長室の襖を開けた。
「土方さんの、馬鹿ぁあー!内緒にするって…、そう言ったのは…貴方じゃないですか…っ!」
突然現れて大声で叫ぶ総司に、近藤と土方は驚いて眼を見開いて固まる。
そんな二人を見て、翡翠から涙をポロポロ落としつつ、総司は更に叫ぶ。
「馬鹿、馬鹿ぁあー!!」
「…総…司、お前…。」
今の話を聞いていたのかと土方が尋ねる前に、総司は廊下を走り去る。
慌てて千鶴が説明すると、土方はその後を追って行った。
残された近藤と千鶴は、苦笑しつつも二人の幸せを願ってやまなかった。
(好きって言われても)
(あんなのってない!)
(複雑なんです)
(僕の恋心は…!)
終幕
20120825
誰かにノロケているうちに隠してたはずの総司との仲をバラしちゃった土方さん、なんていうリクエストをさせていただきました。
土方さんの愛情が伝わってきて土沖好きにはたまらんです!!
近藤さんと千鶴ちゃんっていうのもツボで、よく分かってない近藤さんが大好きです。
素敵なお話をありがとうございました!
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