宝物 | ナノ


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『最期まで、志を貫いてくださいね』



約一年前に言われた言葉。


痩せ細り、肌は透けるように白く

きっと、この世で会えるのは最後だろう。
そう覚悟し全てを受け入れた澄みきった翡翠の瞳。


その全てが酷く綺麗で、儚くて。


『死んでいった仲間の分も…僕の分も…全部土方さんに託しましたよ』


にっこり綺麗に微笑む姿。

綺麗な翡翠に浮かぶ涙。


『……生まれ変わったら…今度こそ一緒にいてくださいね』


『約束ですよ』


『でも…自分の命を大切にして下さいね。土方さんは、長生きして下さい…』



愛しい人との最後の会話。



「っ…土方さんっ!!しっかりして下さい!」


「っ…ぐっ、げほ…ぅ」


撃たれた傷口から大量の血が溢れ出す。きっともう駄目だろう。


羅刹の力でももう限界だ。


朦朧とする意識の中で見えたのは、愛しい人との別れの記憶。


「…っ…そ、うじ…ぐっ…」


記憶の中の愛しい人に手を伸ばす。


触れたくて、抱き締めたくて…


なぁ、総司。もうお前の傍に逝ってもいいだろ?

お前のいない世界で、これ以上一人にしないでくれよ。


『…もぅ、しょうがない人だなぁ。』


記憶の中の愛しい人がそっと俺の手を掴む。


『…一緒に…行きましょうね』


嬉しそうに笑っているのに、瞳は悲しげで、其でも俺の手を握る手にぎゅっと力を入れる。


久々の温もりに酷く温かい気持ちになる。



今度こそ、この手を離さない。









***ソコからまた始まる




―|toptsugi#




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