「名前ちゃんいいよな〜、顔もそこそこだし、性格もいい」


は?ふざけるな、んな適当なお前に名前を渡すわけねぇだろ。てか、顔そこそこってなんだよ。

クラスメイトの話しの内容に心の中で悪態をつく。


「隣のクラスってのが惜しいよな、なんか教科書でも借りにいく?」
「それ、いいな、そっからお礼に飯でもっつって」
「おぉいい!!」


っ、こいつらいつもおれが使ってる手法と同じこと考えてやがる…、おれも同じくらいバカってことか…?いや、でも、おれとこいつらとでは名前の中での立ち位置が違う。
全然違う、せいぜいお前らは名前にとって同じ学年にいたかなってくらいだ。
だがおれは、幼馴染!!物心ついたころから一緒にいる、幼稚園も小学校も中学も現在も!もう特別、別格。一緒に風呂にも入った中だし(幼稚園の頃)、バレンタインは毎年貰ってる、お前らとは違うんだよ!
と叫びたい気持ちでいっぱいだが、心の中に留める。

なんでって、おれは根性なしだ。今までずっと一緒にいて、これだけチャンスがあった中、幼馴染という関係から何も変えられていない。無駄に幼馴染歴だけが伸びていく。
しかも、今までずっと同じクラスだったことで安心していた。もうこれは運命だろって密かに思ってた。なのに高2になって初めてクラスが離れてしまった。

だからか最近名前を狙う輩が増え始めた。今まで牽制し続けてきたが、クラスが離れてはそれも効果が薄れる。そろそろ、おれも覚悟決めねぇと。そうは思うがなかなか行動に移せない。


「エースくんっ、今日一緒にカラオケ行かない?」
「あ?」


あ。しまった。
目の前のクラスメイトの顔が怯えたようになり、自分は今どんな怖い顔してたんだと気付かされる。原因はあのクソ男どもだ。


「悪い、考え事してた、なんだ?」
「あっ、考え事中にごめんね。 今日みんなでカラオケ行こうって話してたんだけどエースくんも…」
「いや、おれはいい」
「えっ? でも、サッチくんがエースくん行きたがってたって…」


それを聞き、女子といるサッチへと睨むような視線を送れば、舌を出して手を胸の前で立てた。女子と遊びたいがためにおれを使いやがったな。あいつもこんなやつらのどこがいいんだか。断然名前だろ。こんなやつらみてぇに化粧臭くねぇし、ガツガツしてねぇし、笑顔もかわいいし、いい匂いするし……。


「エースくん?」
「あぁ、悪い、今日は予定があるんだ、また今度な」


そう言えば残念そうな顔をしたものの、そっか。とすぐに引いてくれた。まぁそこは褒めてやろうなんておれが言うのもおかしいか。
今日はもともと予定なんてなかったが、こんなに名前のことを考えてたら無性に会いたくなってきた。あいつの声が聞きたい、触れたい。
放課後迎えに行こう。


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