設定的には付き合って3年目くらいで、同棲中。



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『今日夕飯何ー?』
『まだ決めてない。帰りにスーパー寄ってく予定だけど、何か食べたいものある?』
『肉!』
『うん、いつ聞いてもそれだったね』
『まだ帰ってこねぇの?』
『今電車だよ』
『後何駅?』
『あと3か4駅、超満員』
『そっか、痴漢気を付けろな』
『うん、ありがと』
『あ、ジジィがさ、白菜大量に送ってきた』
『じゃあ夕飯はお鍋にする?』
『それいいな!コンロとか準備しとく』
『大丈夫?』
『何が』
『エースそういうの今まで出来たことないじゃん』
『失敬だな!おれだってやるときはやるんだ!』
『ごめんごめん、してくれるなら気を付けてね』
『おう!任せとけ!』
『ありがとう、後二駅だよ』
『おう、じゃあ後でな』



ケータイを閉じると、不思議と口角が上がった。メールからでもエースらしさが伝わってくるって凄いな。
仕事の疲れが少し飛んだ気がする。

今日はビールも買ってこうかな、お肉も奮発してあげよう。



「東町ィ、東町ィ」



アナウンスが流れ、東町で降りるであろう人達がゴソゴソと動き出し、わたしもドアの近くへ向かった。



プシューッ。ドアが開いて人の波に流されながらなんとかホームへ降りた。


改札を抜け、一度ケータイを開き時間を確認した。その時、微かに自分の名前を呼ばれた気がしたけれど、気のせいかと聞き流した。



「8時すぎ…」



スーパー何時までだっけ、まだお肉あるかな…。あ、半額シール貼ってあるかも。



「おい!何で無視!?」
「わ、エース!」



顔を上げると、両手をズボンのポケットに突っ込んで、ぶっすー。と頬を膨らませているエースが目に入った。



「なんでいるの?」
「なんでって…、雨降ってきたから」
「え?」



ザァーーーッ



「ほんとだ…!」
「通り雨だろうけどさ、雨ん中スーパー行くの大変だろ」



だから来てやった。と言うエースは、今までで1番なんじゃないかってくらいカッコよく見えた。



「ありがとう、嬉しい」
「おぅ、じゃ行くか」



自然と繋がれた手。それに軽く握り返すと、繋がれたままエースのパーカのポケットに入れられた。



「何鍋にする?」
「肉鍋だろ」
「もうエースに聞くのやめるね」
「なんでだ!」
「だって肉しか言わないもん」
「だって好きだもん」
「もんって…!ふふっ」
「お前が先に言ったんだろ」


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