「この野郎エース!!待てーー!!!」
「ぶほぉっ!!ぶぉっぼぶふぁいぶぃーふぁべーばぁーー!!(うおぉっ!!ちょっとくらいいいじゃねーかー!!)」
はぁ、またかよ…。
口を抑えてもうダッシュするエースとその後ろをフライパンを振り上げながら追いかけるサッチ。
もう、この白ひげ海賊団の日常茶飯事となっている光景だ。
ゴクンッ
「ちょ、ちょっと待て!な?」
「てめェ……」
うちの船潰す気かァーーー!!!
バッコーーンッ!!
綺麗に決まったサッチの覇気入りフライパン。わぁーーー!!と声を上げて甲板の端から端まで飛ぶエース。
と、その先に目を向けた全員が、あ!!と目を見開いた。
その、エースが飛ぶ先には椅子に座って眠る末妹の姿。
今日はミラノたちと甲板でお茶
会するって言っていたし、きっとその後に本でも読んで眠ってしまったんだろう。テーブルには本が一冊栞を挟んだ状態で置いてあった。
って、そんな呑気なこと言ってる場合じゃなかった。
やばい!と思い全員がそこに向けて動き出すが到底間に合いそうもない。サッチのフライパンを喰らって、エースのやつも対応が出来ずに2一緒に落ちて行ってしまった。
「「「ああぁぁぁーーーー!!!!」」」
甲板におっさん達の声が響き渡る。隣にいたナミュールが直ぐに飛び込む体勢に入り僕も続いた。
ドボンッ!!
海に入ると直ぐに沈んで行く2人の姿を見つけた。エースのやつは必死に手を延ばして妹を助けようとしてるみたい。
ナミュールがおれはエースの方を、と言ったのに頷いて、すぐに目を閉じて沈む妹の元へ向かった。
ザバンッ!
「ぷはぁっ」
「こほっ…はぁ……はぁ……」
「大丈夫?」
「う、うん…。びっくりした…」
直ぐに船へ登ろうと梯子を下ろすように合図を送れば、丁度妹の名を呼ぶ大きな声が。
「悪いーー!!本当にごめんなぁーー!!」
「エース?」
顔を焦りでいっぱいにしたエースを見て、なんとなく事情が分かったらしく、大丈夫だよ。と苦笑していた。
甲板へ上がるとありがとう。と言う声を掻き消すように二つの影が妹に飛びついた。
「まさかそっちに飛ぶとは思わなくて…!すまねェ!!」
「本当にすまねェーー!!」
言わずもがなサッチとエースだ。大丈夫だから。と笑顔で言う妹と、その足元で頭を床に擦り付けるおっさんと青年。なんて情けない光景だ…。と思いながら見ていると、また彼らに迫る危険が…。
「ねぇ…」
「なんだ…?」
後ろと指を差すと先に振り向いたサッチがひぃっと声を上げた。続いてエースも。2人そろって正座をして申し訳ございません!と頭を下げた。
「てめェら……」
ゆらゆらと青い炎を揺らめかせながら、エースとサッチに近付くマルコにまぁまぁと宥める周囲の奴ら、僕は巻き込まれたくないから少し離れた。
「覚悟しろい…!」
先程サッチがエースをすっ飛ばしたフライパンを見せたマルコにぎゃぁぁーーー!!と走り出した2人。
「マ、マルコッ…!!許してあげ……っしゅん!!」
「お前はまず着替えろいッ!!」
うん、今日も平和だね。
「はくしゅっん!!」
あー。僕も着替えないとな。
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