「おはよエースくん!今日は早いね〜!」
「ふわぁっ…あぁ、姉ちゃんに起こされた…」



自分の席に座り、すぐに寝る態勢に入ると寄って来た女達が、きゃーだの、かわいーだの言っている。

うるせェな…、人の睡眠の邪魔すんじゃねェよ…。



窓側に顔を向けて薄く目を開くと、真っ青な空が見えた。雲がゆっくりゆっくり動いていてそれを見ているとだんだんと眠気が襲って来た。



















「エース起きて、学校遅れちゃうよ」
「ん…、姉ちゃん…?」



重い瞼をゆっくり開くとニッコリと微笑む姉がいて、朝ごはん出来てるよと声を掛けておれの部屋を出て行った。


そこでおれも布団から出て制服に着替える。



「あれ…」



おれ学校行かなかったっけ…?
ふとそんな疑問が頭を過るがそれは夢だったのかと納得した。


ダイニングへ下りるとキッチンに立つ姉ちゃんの姿と、用意してくれた朝飯を頬張る弟の姿



「おう!エースはよっ!」
「おぅルフィ、今日は寝坊しなかったんだな」
「ん?おれいつも寝坊なんてしてねェぞ?」
「あれ、そうだっけか?」



いつもおれよりも後に起きて来るくせに、いかにもいつも通りみたいな顔してやがるが、弟のプライドのためそれ以上は何も言わなかった。



「はい、エースのお味噌汁」
「さんきゅー」



姉ちゃんも席につき三人揃って朝食を食べ始める。



この家の家主であるジジイはいつものことながら仕事で家を開けている。
ジジイはルフィの実の祖父だが、姉ちゃんはおれより3歳上で、血は繋がっていない兄弟、ジジイに引き取られて三人で育って来た。最近は姉ちゃんがおれとルフィの世話をしてくれてるって感じだ。

おれ達も本当の兄弟以上に仲が良いと自覚してる。



おれはその姉ちゃんに、兄弟として以上の感情を持ち合わせてるが、姉ちゃんはそんなつもり微塵もないだろう。

ただ、弟としておれを可愛がってくれてる…、今はそれだけでおれも充分だ。

ただ、いつかはおれのこの気持ちと同じ気持ちを姉ちゃんにも持ってもらうつもり、兄弟だっつっても血は繋がってねェんだし、何も悪いことじゃねェよな。



「エース?どうしたの?」
「えっ、な、なんでもねェよ」
「そっか、あ、お弁当忘れないようにね」
「おぅ、ありがとな」



姉ちゃんに弁当箱を持たされて玄関まで見送られる、いつもはここまでしねェのに、どうしたんだろうか?



「いってらっしゃいエース」
「おぅ、いってきま……ッ!!」



え!?
今、完全に思考がストップした。なんだこの唇に当たる柔らかいものは…、なんで姉ちゃんの顔がこんなに近いんだ…!



唇が離れると姉ちゃんはニコッと笑って、早く起きたご褒美。と手を振った。



「お、おぅ…」



扉を開き外に出て唇に触れる、今のは…。そうなのか!?姉ちゃんも同じ気持ちってことなのか…!?












「よっしゃァーー!!」













え……?


周りから突き刺さる視線

そこは………見ての通り、教室だった…。


ガクンと項垂れまた席につく
なんだよ…あっちが夢かよ…!

ルフィが早起きだったり、姉ちゃんがキスして来たり…おかしいところだらけじゃねェか…!!
おれ、なんつー夢見てんだ…。




右手で頭を抑えると、周りが騒がしいことに気がつく。



「ねぇ、あの人誰だろー?」
「綺麗な人だね〜」

「えっ!おれまじタイプ!!」
「ちょ、誰か行って来いよ!」



周りの騒がしさにつられて窓の外を見れば校門の所に見覚えのある後ろ姿。



「姉ちゃんッ…!!?」



ニヤニヤと気色の悪い笑みを浮かべるうちの男子生徒に声を掛けられて、断っているのか胸の前で手を振っている。


慌てて教室を飛び出し、階段を駆け下り校門を目指した。

校門へ着くと、未だに口説かれているおれの姉。



「おい、姉ちゃん!」

「「ね、姉ちゃんッ!?」」



姉ちゃんの前にいた男子生徒が驚いているようだが、そいつらを突き飛ばして姉ちゃんの前立った。



「良かったエース、やっと来た」



ふんわりと笑う姉ちゃんに頬が緩むが、なんとか取り繕ってどうしたんだよ?と問えば赤の包み箱を差し出した。



「お弁当忘れてたよ」
「あっ!!」



慌ててそれを受け取る



「ごめんね、もっと早く届けたかったんだけど、ルフィ起こすのに時間かかって…」
「いや、助かったよありがとな」
「どういたしまして、あ、今日のはお肉たくさん入ってるからね」
「まじ!?よっし!」



ガッツポーズを決めるとクスクスと笑い声が漏れる。
ほんと可愛い。



「じゃあ私帰るね」
「おぅ、あ…!」
「えっ?」



おれに背を向けて歩き出した姉ちゃんの腕を掴みこちらを向かせると額にチュッとキスを落とした。

するとみるみるうちに真っ赤になる姉ちゃんの顔



「なんっ……!!」
「へへっ、お礼」



ドンッと胸を突かれて姉ちゃんは走り去ってしまった。
さっきの夢のことがあったから欲求不満になってたのかもな。
まぁ、今はまだこれでいいや


弁当箱を手に教室へ戻る。



「お前最後何してたんだ!?上からだと見えなかった!」
「い、今のエースのお姉さんなんだよな!?」
「お、お姉様を、しょ、紹介して下さい!!」


誰がするかバーカ


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