3位発表の前にこのコンテストの責任者であるモモンガ先生から少しだけ話があり、その間に出番を終えたわたしとエースは裏から会場の方へ戻った。
あれだけ目立ってしまったため、いろんな人からの視線が気になったが、なんとかサボと舞台近くで合流することが出来た。


「お!エースも名前もおめでと!」
「お、おう」
「ありがと…」


サボはコンテストのことなのかさっきのことなのか言わなかったけど、たぶんどっちものおめでとうなんだと思う。
サボが肘でエースを小突いてからかっているのを笑っていたところでサッチ先輩から第3位の発表の言葉が聞こえた。


「男前第3位はぁーーーー、不死鳥ーーマルコ!!!」


さっきのこともあって罪悪感が心の中に広がる。でもこの状況で舞台にたたないといけないマルコ先輩が一番つらいはずだ。わたしは舞台をじっと見つめた。

マルコ先輩はさっき見たままのスーツ姿のまま、少し気怠そうに出てきた。そのままマイクの前に立つと、さすが3位、黄色い悲鳴があちこちで上がる。

先輩は口を開くと小さく呟いた。


「彼女募集中だよい……」


バタン。と各所で音が聞こえる。客席の女の子が数人が倒れたらしい。
それだけ言うとスタスタと裏へ戻って行く先輩。

わたしと隣にいるエースは目が点だ。まさかマルコ先輩があんなことを言うなんて思ってもみなかった。それくらいマルコ先輩がダメージを受けたってことだよね…。


「はいっ!!そういうことらしいので!みなさん立候補してみてはいかがでしょうかー!第3位の不死鳥マルコでしたー!」


サッチ先輩のおおざっぱな進行によりそのまま美女の発表へと移った。
美女3位は我が親友のロビン。とてもきれいな紫のドレスで舞台に上がって来ると、マイク前でニコリと微笑んだ。

ロビン綺麗…女のわたしですら今キュンとしちゃったよ…。


「ありがとう」


パチパチパチ。と拍手が上がりロビンが綺麗なお辞儀をした。


「さすがロビンだな。綺麗だ」


日頃から将来の婚約者にといろんな美女とお見合いをさせられているというサボですらこの褒め言葉だ。それくらいロビンは綺麗だった。


「続いてはー!男前第2位!!!おおっとここでこの男が入っているのかぁー!」


その言葉に会場もどよめく。


「昨年1位の赤髪のシャンクスーーー!今年は惜しくも2位になってしまったぁー!!」


「「「ええぇぇぇ!!」」」


会場からも驚きの声。シャンクス先輩2位なんだ…。
去年も1位だったし、今年もシャンクス先輩だと思いこんでしまっていたけど、こうなってくると1位は誰なんだろ…?
横にいるエースを見ると少し嬉しそうに頬を緩めていた。

舞台には胸元をはだけさせた白シャツに黒のマントを身に纏ったシャンクス先輩がなんともどんよりした空気で歩いて来た。

いつも元気なのに、去年の1位からランクが落ちたから落ち込んでるのかな。2位も全然すごいと思うんだけど…。


「お頭ァー!しっかりしろよー!」


おそらく赤髪グループの誰かが声を上げたのを皮切りに各所でシャンクス先輩を冷やかす声が上がった。
しかしシャンクス先輩本人は飽くまで肩を落としたまま、力の入っていない手をマイクに掛けて口を開いた。


「彼女…募集中…だよい……」

ゴンッ!!


「イッテぇ!!!」


その言葉の瞬間、舞台袖からマルコ先輩が飛んで来てシャンクス先輩の頭に拳骨を落としていった。


「何やってんだよお頭ァ〜」
「ほら、行くぞ」
「お前ら慰めろよ〜おれは二度目の失恋中なんだよー!」


赤髪グループのヤソップ先輩とルゥ先輩が舞台に上がって来てシャンクス先輩を回収していった。
その後もシャンクス先輩が2位という事実に会場の誰もがソワソワしていた。


「早く1位言えよ〜」
「一旦女の子の方だよ」


となりのエースですら気になっているようだ。
って、そっか。エースは控室にいたんだから誰が1位なのかはもうわかってるのか。


「続いては美女第2位!!」


サッチ先輩の声に合わせて音楽が鳴る。
今度は男子たちの声が多い。


「見た目は超絶美人!中身は悪魔……お金が大好きなー、泥棒猫ナミ!!」


ババン!!と音と共に舞台袖からオレンジのドレスに身を包んんだナミちゃんが登場した。
それと共に起る男子たちの歓声。

ナミちゃん1年生で2位なんて凄いなぁ。
ハンコック先輩は1年生のころから1位とってたみたいだけど、にしてもこんなにレベルの高いうちの生徒の中でなんて。

ナミちゃんはお辞儀をすると、みんなありがとーー!!とマイクに向かって話した。


「はーい。それじゃ2位のナミちゃんでしたー!」
「ちょっと待って!!」
「んん、どうしたのかなぁ〜?」
「2位なのに賞金ないの!!?ありえないんだけど!!」


ナミちゃんと一言にキインッとマイクが鳴る。
サッチ先輩はそれはないよ〜。と手を振る。もナミちゃんはサッチ先輩のリーゼントにつかみかからん勢いで賞金!と言っている。


「ナミ!文化祭に賞金なんてあるわけないでしょ〜」
「ノジコ!」


お姉ちゃんノジコの登場に会場が少し沸いた。ノジコもランキングに入ってはいないもののなかなかの美人。この美人姉妹がそろったのが結構珍しかったらしい。


「それにね、もし賞金なんてあるなら、あたしが裏から手まわしてあんたを1位にしたわよ」
「それもそうね…」


おおっとノジコそれは言ってよかったのか…!?
と思うももうナミちゃんはなんとか落ち着いたみたい。大人しく舞台裏へ帰って行った。
さすがノジコだね、ナミちゃんの扱いが上手だ。





「続いては男前、第一位……!!!」


照明が暗転し、ドゥルルルルル…と音楽が鳴り、ハァッとサッチ先輩が息を吸う音が聞こえた。



「まさかまさかの番狂わせ!!!一年生にして男前グランプリを勝ち取ったのは……」



バンッ!!!



照明が舞台中央に集まりその人物を照らす



「麦わらのルフィ〜〜!!」

「「ルフィーーー!!!」」


横にいた兄二人が誰よりも喜んでいた。


「さすがルフィ!!」
「おれ達の弟だ!」


え、泣くの…?


若干引いているわたしに気づかない彼らは舞台でニコニコと手を振っているルフィくんを自分のカメラにバシャバシャ撮っておさめていた。


「みんなありがとーー!!」


「ルフィさ〜ん!」
「ルフィ〜!」
「ルフィくん〜!!」
「ルフィ様〜!!」


大歓声が響き渡り、なかなかやまなかった。
それに、ルフィくんのファンの子って、女の子もいるけど、男の子も多い気がする。
イケメンだから、というよりもルフィくんの人望なんじゃないかと思った。


「おーすげぇ人気だなエースの弟」
「おう!みんな友達だ!この学校みんなおもしれえやつらばっかだからな!!」



イケメンで1年生が第1位になるのは史上初のことで、彼に巨大な肉がプレゼントされていた。


そしてそして第一位

わたしは舞台裏で見てしまったけれど、それ以前にみんながわかっている。

そう美女と言えばあの方しかいないのだ。



「それではお待ちかね…美女第一位の発表〜〜!!」


サッチ先輩の声に再度暗転する。

音楽がなりライトが動き回り、みんながその登場を待ちわびた。


ドン!!


「美女第一位はもちろんこの人!!一年の頃から一位を取り続けた史上最高の絶世の美女!!


ボア・ハンコック〜〜〜!!!」


ババン!!とライトが舞台の中央に集まるもそこに目当てのハンコック先輩は居ない。

音楽も止み、会場がざわざわとする。


「おい蛇姫は?…はぁっ!?うそだろ、マジかよ…!!」


サッチ先輩の焦ったような声がマイク越しに小さく聞こえる。


「何かあったのかな?」
「さあなぁ…」


返事が上の空だったから隣の二人を確認すれば、さっき撮ったルフィくんの写真を見返してニヤニヤしていた。いや、ひくわ〜。

と、そこでサッチ先輩が向き直り会場へお知らせする。



「え〜、美女第一位のボア・ハンコックですが。さっきの麦わらのルフィの笑顔にやられたようで…。気絶してしまったようで、よって登場はなし!!」

「「「えぇぇ〜〜〜!!!」」」


「ありえねぇー!!」
「なんのために見に来たと思ってんだー!!」
「蛇姫様〜〜!!」


次々にブーイングが投げられる。


「し、仕方ねぇだろ〜!もう終わり!これで終わり〜!!」


サッチ先輩は両手を高く上げて左右に振る。


「じゃあな!また来年お楽しみに〜〜いてっ、ペットボトル投げたの誰だぁ!!」


そう言うとそそくさと舞台裏に隠れてしまった。
会場のライトが付けられお開きとなる。
さて、文化祭も残すところあと少しだ。

ふと、左手を握られ見上げるとエースが微笑んでいた。


「あと、ちょっとだけど、一緒に回ろうぜ」
「ふふ、うん、そうだね!」


[ 107/108 ]

[*prev] [next#]

もくじ



×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -