『さくらちゃん!』


「………。」



振り向きにこりと笑うさくらちゃん。



『………?』


でも何故か何かが違う気がした。


「椿さん…あそこにね落し物しちゃったの。」


『落し物…?』


すっとさくらちゃんが指差すのはたくさんの階段の上。


『いいよ。見つけにいこう。』







『さくらちゃんまだ?』


「もっと奥だよ。」


そんな会話を繰り返す。



さっきもまだ奥って言ってたのに。


さらに奥にすすむ。



ガタッ



『き、きゃあああぁぁああ!!』



そこで私の意識は切れた。










「お前、分かってただろ。アイツがさくらじゃないって。」



『まぁ…わかってましたけど…。』


「…っ、だったらなんで…!」


ガタリと席立つ桃矢さんを宥める。


「どうしたの?とーや。」


その音に気づいた月城さんが部屋に入ってきた。


「な、なんでもねぇ…。」


私もわからない。魔力の感じですぐにさくらちゃんじゃないと気づいていた。


でも付き合ってしまったのは何でだろう。



「はい椿さん。」


ありがとう。綺麗にお皿に盛り付けをされたケーキをみる。


『知世ちゃんが焼いたの?』


「はい。お口にあえばいんですが…。」


『ありがとう。』


笑顔でお礼を言えば知世ちゃんからも笑顔が返ってきた。



「あの…っ椿さん、」


『ん?』


「い、いえ…。」



さくらちゃんが暗い顔をして俯く。


気にしてるのかな。



『さくらちゃん。』


「はい。」


『お見舞いありがとうね。』


「…はい!」




鏡の魔法


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