ちかなり | ナノ



毛利を揺さぶるとからから音がする。

驚いて思わず肩から手を離したが、そうすると途端に毛利の体がぐにゃりと崩れ落ちてしまうから慌てて支え直す。
目が座ってるが首の座らない毛利は一見死んでるんじゃなかろうかと。
けれども、一応、息をして心臓を動かしてるみたいだ。
くたくたする頭を腕の中に抱えてやりながら、俺は毛利の名前を呼んだ。
毛利はぱちりと瞬きをする。
…それだけかい?
あまりにも反応が薄い。
少し焦る。
同時にちっと思い当たる節があったので、よいせと毛利の体を抱き抱えてみた。
なんだこりゃ。
成年男子の体重じゃねぇや。
毛利は俺の腕にくたりとその身を預けてる。
唇が薄く開いて息をしていた。
だからまァちょうどいいかと思い唇を寄せてそのまま塞ぐ。
丁寧に丁寧に、飴玉をとろかすみたいに冷たい口腔を舐めてやる。
最後に下唇をかぷりと噛んでから口を離すと、少し目元の赤くなった毛利がこちらを睨み付けていた。
あのよ、足りなくなったんならいつでも言えや。
またぶっ倒れると困るのはお前さんだろ。
諌めるように額をくっつけて目を覗きこんだら、質量の戻った右手で張り手を喰らった。



 


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