ちかなり | ナノ



目覚めると既に己の隣は温度を失って久しかった。
窓の外に目をやり曇り空であることに機嫌が悪くなる。眠気に細まる視界を無理矢理開きベッドに半身を起こす。くつ、と欠伸を噛み殺し損ねる。
身体が鈍く重い。要因を探り当てようとする頭に待ったをかけた。思い出せばそれは忌ま忌ましい。苛立ちに任せて布団を抜け出し散らばった服を回収しながら裸足でベタベタと室内を闊歩する。全身鏡の前に立ち少し乱暴に身支度を整えた。
羽織ったシャツの間からのぞく己の首筋は綺麗なものだった。鬱血など一つもない、臆病者。そこでふと、犯されたのではなく抱かれたのだということに気付き苛立ちは募るばかり。



 


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