ちかなり | ナノ



息が詰まる。
ああ遂に。
そうか遂に。
躊躇って躊躇ってからそろりと銀髪に手を伸ばす。
横たわったままに床に散らばる銀を軽く梳いても男は何の反応も示さない。
遂に死んだか。
死んだか長曾我部。
閉じた右の目と引き結んだ唇は微動だにしない。
快活に獲物を探る水晶も戯れ事を雄叫ぶ半月もその息を失っている。
四つ這いに顔を覗き込むと息が苦しくて仕様が無い。
床についた両腕が震えた。
遂に、そうか、それでは、必ず、されども、何故?
そのままふわふわと大海を彷い混乱のさなかに夢から覚醒すれば、酷く寝覚めが悪い。
仰向けのまま呼吸をひとつすると視界の端に銀髪をチラと見つける。
布団の上に起き上がり、隣で寝ている木偶の坊の腹を渾身の力をもって蹴り上げれば直ぐさま息を吹き返した。
騒ぎだす前に塞ぐ。



 


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