04
放課後、ホームルームが終わり掃除を終えたらすぐ俺も要も一緒に帰る。所詮帰宅部ってやつだ。朝二人で走った道を今度はのんびりと歩く。
あ〜要昼休みの用事なんだったのかな〜、いや九割告白だって分かってはいるけど違ったらいいなぁなんて。気になるな〜。こういう時は聞いてみるのが一番いい、よな!
「……あのさ要、そういえば昼休みって小嶋さん何の用だったんだ?」
違和感無かったかな? 大丈夫かな?
「あー、その、告白……された」
あぁーくそっ!! やっぱり告白かよ!? 分かってたけど、辛いよぉー。って要人生初告白じゃねえか……。要の初めてが一つ奪われたっ……!くそっ。って違う!
「へ、へー? 要今まで告白されたことないよな? まぁ俺が知ってる限りは、だけどなぁ〜! あはは!」
「う、うん。初めて告白された。でもなんで俺なんか好きになってくれたんだろ……こんな不細工な顔なのに……」
何をどうみたらそうなるんだよ!! こんな大きなくりっとした瞳に筋の通った小振りな鼻、そして思わずかぶりつきたくなる赤い唇……この可愛らしい顔のどこが不細工なんだよぉ。
「そんなことないだろ!要は不細工なんかじゃないしもっと自分に自信持てよ!」
「そうなのかなぁ……? でもありがとう悠斗」
正直一番気になるところは何て返事をしたのか……。あぁ聞くの怖いなぁ。でもやっぱり聞かないと夜も眠れなくなりそうだし……。
「……あの…さぁ、それで要はなんて返事したんだ……?」
ここ三年で一番ドキドキしている気がする……。
「えっと、断った」
「へ!? そ、そうなんだ〜。小嶋さん可愛いし付き合ったのかと思ってたぜ〜」
そう言い切りはははと笑ってみせる。あぁ〜良かった〜断ってなかったらどうしようかと思った。
「でもどうして断ったんだよ〜?」
「えっと……その、好きな人がいるからって断った」
え? 軽くなっていた気持ちが一気に沈んでいく。要に好きな……人?
「今まで好きな人がいるなんて聞いたこと無かったけど?」
「いや……その、えっと…」
答えようとしない様子の要に頭のどこかで理性が切れる音がした。
「……なんでだよ、 今までそんな様子全く無かったじゃん…。今まで一番側にいた幼なじみの俺になんで話してくれなかったんだよ!……あぁ、俺にはそんなこと話したくもなかったってことか。俺はお前のことこんなに好きなのに!!」
「……え?今、好きってーー」
「あぁ好きだよ!! 中二の時に好きだって気付いてからずっと隠してきたけどお前の側にいれるなら何もいらないって思えるくらい大好きだよ!!」
ハッ!!と我に返る。
言って…しまった。
もう……終わりだ。こうなったら縁を切られるに違いない。
あーあ、馬鹿みたいだ俺。これじゃ何も意味ねえじゃねーかよ。
……これからはそばにいれなくなるのかぁ。陰から見つめたりすることさえ許されなくなるのかな。
「ほんと、に…?」
「あぁそうだよ、軽蔑…したよな…悪い」
絶望的な気持ちの中言葉をなんとか返す。
「そんなことないよ……」
「別に無理なんかしなくたって、」
「違う!! そうじゃなくて、えっと、俺も同じ気持ちだからっ、俺なんて悠斗なんかよりずっとずっと前から好きだったんだから!! だから、その、悠斗の気持ちすごく嬉しいっていうか…うぅ」
要の言い放った言葉の意味を理解するのに時間がかかる。ちょっ、どういう……え!?
「え、えぇ!? 要冗談じゃないよな!?」
「う、うん。こんなときに冗談なんか言うわけない……だろ」
鞄を地面に放り投げ要の方をガシッと掴む。どうやら驚かせてしまったようだ。でもそんなこと気にしている暇はなかった。
「…ほんとにほんとにほんと??」
「もぉ、ほんとだよ!!」
「……っ、ひっく……」
「ど、どうしたの悠斗! なんで泣いてるの? な、泣かないで!」
急に泣き出した俺に吃驚しておろおろしだした要。だって仕方ないじゃないか。
「っ…嬉しいんだよばーか!」
「わぁっ」
あまりの嬉しさに勢いで要を抱きしめる。こんな風に生きてる間に要を自分の腕の中に閉じ込めることが出来るなんて考えもしなかった。生きてて良かったぁ〜。しばらく抱き心地を堪能してからゆっくり体を話す。
「なぁ要、もう一回好きって言って!」
「そんな真っ向から言うなんて…は、恥ずかしいよ……」
「お願い! もう恋人……なんだから好きっていうの普通だろ?」
「こ、恋人!? そっか、恋人なんだよね…えっと好き、だよ? へへへっ」
頬を赤く染め少し涙の膜を張った瞳での上目づかいでの愛の言葉……それになんだよその笑い方。反則だって……。あ。
「うわぁ!! 悠斗鼻血!! ちょっと待ってティッシュティッシュっ」
「ご、ごめ〜ん。だって要があんまりにも可愛いからぁ」
「かかか可愛い?! 目可笑しいんじゃないのっ!あ、あったティッシュ」
「そんなことな」
「もう黙ってっ!!」
「ふがっ」
顔を真っ赤にしながら勢いよく俺の鼻に丸めたティッシュを突っ込んでくる。か、過激だよかなめぇ。
「か、帰るよっ!」
「えー待って悠斗ー!!」
「待たないもんねーだ! ふふっ」
少し先にいる恋人のもとへ鞄を拾って小走りで追いかける。
これからは今まで以上に毎日が楽しくなるだろう。だってこれからは“恋人”なんだから。
end.
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