9-4



「よくファミリーを守ったな、それでこそボスだ。」




ズガンッ、ズガン!!!!



『Σうぶぉっ』

『何その声』



銃声が2発聞こえたと思ったら、いつの間にか綱吉君の額、腹を撃ちぬかれていて、少なからず驚いた。

えぇぇぇ、いつの間に・・・。






「リ・ボーン!!!死ぬ気でケーキを食うー!!!」



『あ、やべ。もしかしてこれって・・・。あれだよねうん。』


『うん、そうだね』



もしかして、ケーキ全部食べちゃう、あれだよね。うん。



「うまーい!!!」


そんな事を考えている俺の隣で綱吉君はポイズンクッキングを食べていた。そういやー鉄の胃袋、とかあったねそんなの。


「足りねぇ!!!!」



『・・・あー。』


足りんておま・・・。てゆうか皆のケーキ食うなよ勝手にぃいいΣ
走りながら皆さんのケーキを平らげていく綱吉君を細目で見つめる。

そしてハッとしてちらり、隣へと目を向ける。
姫は・・・。







とても冷めた目で綱吉君を見ていたよ☆きゃは☆




・・・・うん、ごめん。ごめんて。岩投げないで俺死んじゃう。

ってそんな事じゃねーよ!!
なんとしてでも姫のケーキを食わせない様にしなきゃじゃねーか!姫は五話寺・・・げふん!獄寺にあげるんだ!
それに俺だって、いつもの可愛い可愛い可愛い可愛い(ry 綱吉君に食べてもらいたい。





・・・よし、


『逃げるぞ姫!!!』


『は?・・・・うぉっ!?ゆずどこにそんな力あるんだ!!?』


『愛の力だぁあああああああああああああ!!』


『わけわかんねーよぉぉぉ!!!?』


ぉぉおおぉおおおぉおお・・・・なんて姫の叫び声が廊下に響き渡る。
時々先生が教室から顔を出して、「廊下を走るな!それと煩い!!」何て言ってた気がするけど気にしたら負けだよ!!


あ、それとランボさんと廊下で擦れ違ったけどスルーしたよ?でもランボすんごい顔して後退りしていた。俺そんな怖い顔してましたか・・・?


まぁ、その後姫が何か言ってた気がするけどスルーで。んでとりあえず屋上まで走っていこうと思います。それでは、あっでぃーお!




――――――――




『まじで死ねばいいと思います』

『ゴメンナサイ☆』


『殺されたい?』


『まだ死にたくないですごめんなさい』


ズサー。スライディング土下座をする。うわ、俺土下座綺麗に決まったよ!ヤッタネ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嬉かねーよ。




ヒクヒク。
口元をひくつかせながら姫は俺を見下ろす。もうそのまま足で俺を踏み潰しそうな勢いだ。俺はMじゃない、ドSだ!!!
・・・・・どうでもいいね、うん。てゆうか俺姫の前だとS出せないんだけど姫のSに殺されてるんだけど何これイジメ!?


『・・・まぁいいや。とりあえず今教室では十年後ランボがビアンキに殺されてるんだろうね。ざまぁ』


『黒い黒い。黒いよ姫・・・。』


『ふはっ今更w』


『・・・・。てゆうか姫、そのケーキ・・・。』


『え?自分で食うけど。』


コテン、なんて可愛らしく首をかしげながらそう答えた姫。
な、なん・・・だと!!


『だ、だめだよ!五話・・・ゲフン、獄寺にあげるんだろう!!?』



『な・・・!!!///あげんわ!死ぬわ!!』


『恥ずかしくて、か?』


『殺されたい?』


『まだ死にたくないですごめんなさい』


ズサー。スライディング土下座をする。・・・あれ、デジャヴ。



『でっでも!獄寺喜ぶよ!?絶対!』


『・・・他の女子から貰えるから、いらないじゃん。僕のなんて。』


『いや他の女子の全部食べられちゃいましたけど。』


『・・・・。』


ひくひく。
また口元をひくつかせてまた俺を見る。
そんな姿さえも可愛らしい姫って罪だよね。うん。
そんな事を思っている事も知らずに、姫は軽く目を伏せた。


『・・・もらって、くれるかな。』

『当たり前!もらってくれなかったら俺ぶっ殺すぜ?』


『黒い。てゆうか獄寺傷つけたら僕が君を殺すから☆』


『・・・・やはり姫には勝てそうにないな!』


あはー。何て笑うと姫に額を小突かれた。地味に痛い。なってこった!
半泣きで額を擦っているとそんな俺を見てプッと吹き出してそのまま爆笑し始めた。

きょとん、なんて姫を見つめていると何だかこっちもおかしくなって、一緒に笑う。








ガチャ...


『『!』』



屋上のドアが開く。
あれ?今は授業中じゃなかったっけ。
綱吉君や山本君は教室にいるはずだし、獄寺は保健室だ。
じゃあそこらへんの不良とか?も、もしかして風紀委員か!!?

ひょこり。ドアから覗く人影。
それは不良ではなく、風紀委員でもない。あれは―――。





『・・・誰。』

ケバイ女だった。


「あっ!いたぁ〜☆」

気持ち悪く語尾を延ばしたそいつは、遠くからでもわかる位に塗りたくった厚化粧。ちょっとだらしなく崩した制服。それと先生に怒られないのか、それ。と思う程に短いスカート。いや短すぎだろ。見えるぞ。あと・・・・香水、だろうか。もの凄い甘ったるい香りがこちらまで香ってくる。
いやいやいやいやなんでこんな遠くにいるのにこんなに匂うんだよ!?つけすぎじゃね!?


「ゆずちゃんとぉ、柚子姫ちゃんだよねぇ〜?私ぃ、同じクラスの東条えりかって言うんだぁ〜よろしくぅ!」


『・・・っ』


『・・・あぁ、うん。よろしく・・・。』


よろしく、と返したのは姫だけ。
俺は、声が出ない。


・・・だって、




『(は、吐きそう・・・!死ぬ!くっせぇええええ!)』

色々とやばかったから。

いや俺って鼻いいんだよ!?俺に死ねっていってんの!?うわぁあああん!
あれ、てゆうか君同じクラスだっけ。こんな臭いのに気づかなかったって・・・・影薄いんだね!アハハハハハハハ!

そんな事を心の中でぐちぐちと言いながら、それでも顔には出さず、無表情を決め込む。


「えっとぉ〜えりかねぇ、ゆずちゃんとぉ、柚子姫ちゃんにぃ、校内案内しようと思ってぇ、来たんだぁ!」



『悪いですが、もう校内案内はすませましたので。』


『え!?姫いつの間に!!』


『転校してその日の内にクラスの女子に。君が気づかなかっただけ。』


『ま、まじか!』



「そっかぁ、じゃあゆずちゃんはぁ?」

『・・・遠慮しときます。』




君といたら鼻が腐りそうなんでね!





「そんな事言わずにぃ・・・ねっ?」


すっとこちらに手が伸ばされる。




・・・やめろ、



パシッ



『触るな』



伸ばされた手を弾いて、キッと睨む。
東条は驚いて目を見開いていた。
姫はあー。と苦笑いを零す。


『俺に、関わるなと、最初に言ったでしょう?もう忘れてしまったんですか?』


ニコリ、笑みを作る。
・・・。姫は遠くを見つめている。


『俺、特に貴女みたいな厚化粧でスカート短くて香水臭くてぶりっこな人が嫌いなんです。すみませんね。
・・・・そう、特に陰で俺や姫の悪口を言いふらしている人は、ね?』


ビクリ。東条の肩が震えた。
・・・やっぱり姫は遠くを見つめている。やっぱり、姫も気づいていたのか。



「・・・なんの事かなぁ?えりか、わかんない!」



『本性出せばいいじゃないですか。今授業中なんで聞いてる人、誰もいませんよ?』


「・・・
ふん、何よアンタ、いい気になって!大して可愛くもないくせに武君や隼人君といちゃいちゃいちゃいちゃ!!うざいのよ!武君や隼人君はエリカの物なの!!」


そう東条が叫ぶと、姫がぴくりと反応し、黒いオーラが溢れ出す。
うわぁ、こいつ姫を怒らせた・・・。


『・・・別にいい気になってもいませんし、可愛くない事は俺が最初から知っていますが?それと山本君や獄寺は君の物ではありませんし、その前に二人は物ではありませんよ?』


「っふん、男はみんなえりかの物なのぉ!わかったらもう近づかないでよn<ガンッ!!>・・・ヒッ!!」


えーと・・・。説明しよう!
東条が威張って鼻を鳴らし、俺を見下ろして、ニヤリと笑って「わかったらもう近づかないでよね!」と言おうとしたところ、姫がぶちキレて、イイ笑顔でペンを東条の足元に投げたのである!ついでに刺さってるよ!めっさ刺さってるよ!!パネェ!!


『散りなよ』


「なっ・・・!」


『あ、さっさと帰った方がいいですよ。姫キレてますから。あぁ、このままここにいてもいいですが、多分半殺し・・・いやそれ以上にボコボコにされると思いますが・・・。』


「っ・・・・!!三春ゆず、覚えてなさいよ・・・!」



いや何で俺だけ!?

なんて突っ込みたいのを抑える。
東条は多分姫の殺気に押されてか冷や汗をかきながら去っていった。よぇー。



『獄寺は物じゃない。』


『うん、知ってますよ。あいつ頭おかしいんじゃないんですかね。』


こくり。頷く。あ、何か素直?


『姫、帰りましょうか。』


こくり。やっぱり頷く。あ、やっぱり素直だ。
スッと立ち上がって深く突き刺さったペンを引っこ抜く。

あ、意外と抜けない。
んぐー!と声を発しながら思い切り抜く。

きゅぽん、可愛らしい音を出して抜けたそれは可哀想なほどぐにゃぐにゃになっていた。姫恐るべし!!


それをポケットに突っ込み、屋上を出る。何か今日は疲れた。早く帰って寝よう。



パタン、屋上のドアを閉める。











「ふぅん、面白い物を聞いちゃったな。」




僕らは知らなかった。まさか既に屋上に人がいたことなんて。








*オマケ(?)*



『姫ー』

『んー?』

『獄寺にあげるのはいいんですけどーどうやって鞄の中に入れるんですかーそのまんま入れたら潰れちゃう・・・。』


『あぁ、それはこうしてあーして(ry  ほらできた。これだったら鞄に入れなくても大丈夫だ。』


『・・・!!!!姫凄い!俺のもやって!』


『ん。』



『・・・!!』


ケーキは姫クオリティで先生にもバレずに、潰れる事もなく終わったのでした。チャンチャン。






2011/03.08    三春ゆず



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