7-3



柚子side



それは違う、と殴ってやりたくなった。


お前の命はそんなにもちっぽけだったのか?
そう、言ってやりたかった。

でも、僕じゃ駄目なんだ。

ここでもし俺が出て、助かって。それで原作は一体どうなる?
もし話が変わって誰かが死ぬ様な事があったら?

考えて、頭を振った。

駄目なんだよ、結局。
変えたい、変えたいと思っても結局変えれる事なんてできやしない。


ハッキリ見えていたはずの景色が、ぼやけて見えた。



『!?』

だが、それも一瞬で。
・・・きっと、疲れてるから。眩暈を起こしただけ。だと自分の中で解決する。
違うと訴えている、心に鍵を、掛けて。



「やめてくれーっ!」

綱吉君の叫び声に、少しハッとする。
そこまで話が進んでしまっていた様だ。



ドンッ

「あたっ! ・・・いつつ・・・っ」



『綱吉君、』


『ツナ!』



「!!」


「ツナ・・・。」


気がつけば彼が、前出ていて。
僕等が彼の名を呼んで、山本がぼそり、呟く様に呼んだ



「え・・・あ・・・どっどーしよーっ!」


ワタワタと、綱吉君が慌てた。



「止めに来たなら無駄だぜ。お前なら俺の気持ちがわかるはずだ」


「え?」


「ダメツナって呼ばれてるお前なら何やってもうまくいかなくて死んじまったほーがマシだって気持ちわかるだろ?」


「えっあの・・・っ」


ギリ、力を込めた拳から血が垂れた。
ふざけんな、ふざけんな!!甘ったれんな!
いい様ない怒りが込み上げて、唇を強く噛んだ。



「いや・・・俺は山本と俺は違うから・・・」



ピクッ、



「さすが最近活躍めざましいツナ様だぜ。俺とは違って優等生ってわけだ。」


苛々とした口調で、彼が言った。
ぎり。さらに力を込めた拳から、つぅ、血がどくどくと流れる。


「ちっ違うんだ!駄目な奴だからだよ!」


「!?」


「俺山本みたいに何かに一生懸命打ち込んだことないんだ・・・「努力」とか調子のいい事言ったけど本当は何もしてないんだ・・・・・・昨日のは嘘だったんだ・・・・・・ごめん!!!」

『・・・。』


「だから俺は山本と違って死ぬほど悔しいとか挫折して死にたいとか・・・そんな凄い事思った事なくて・・・。」


『ツナ・・・。』

姫が呟く。

「むしろ死ぬ時になって後悔しちまう様な情けない奴なんだ・・・・・・どーせ死ぬんだったら死ぬ気になってやっておけばよかったって。こんな事で死ぬの勿体無いなって・・・。

だからお前の気持ちはわからない・・・ごめん・・・




じゃ!!」



「待てよ、ツナ!」

がしり、山本が綱吉君の服を掴んだ。



ズルッ



がしゃ、ブチッ



綱吉君が服を掴まれて、滑る。それを支えたフェンスが、壊れる。
それを支えられなかった山本と共に屋上から落ちてゆく。



『っ、綱吉ぃ!!!!』


思わず手を伸ばして彼の腕を掴む。
助かるのは分かっているのだが・・・・反射だよ反射。


『くぅっ!』


元々力の弱い。・・・体の弱い方の俺はそのまま引っ張りあげるなんて事はできなくて。



「柚子、さん・・・!!?」


『柚子!!』


彼等と一緒に落ちて行った。



「あっ!!!」


屋上にいた奴らがフェンス近くに近寄り、僕らを見下ろす。






「うわああっ!」


「ぎゃああああ!!」



『っ!うお、こえーっ落ちるのってこんななのか・・・ちびりそう。』


「超呑気ー!!!!?」

綱吉君が叫ぶ。いやそんな余裕ないよ、君!


『あ。』


銃を構えたリボーン君と目が合った。
銃口は綱吉君の額へと向けられている。



「今こそ死ぬ気になる時だぞ。」



ズガンッ!!



「空中復活(リ・ボーン)!!!死ぬ気で山本と柚子を助ける!!」



「ツナ!」




『・・・ワオ、』


呼び捨て・・・いいな。
なんて思っているとグン、服を引っ張られて肩に担がれる。

横抱きがよかったな、・・・なんてね。



「くそっ止まらない!!」



「チィィ!!」



「つな?」


『綱吉くっ・・・前抱きで二人はきついです・・・っ』









「追加だ」



ズガンッ




「か、かゆい!つむじが・・・かゆーい!!!!」



ドシュ



『わ、』






「つむじに撃つとつむじ育毛スプリング弾だ」


一人教室。彼は静かに笑った。















「山本!大丈夫か?」


『ぼ、僕も心配してくれ・・・』



「あ、あぁ。ツナ!お前スゲーな」



「えっ!」


「お前の言うとーりだ死ぬ気やってみなくちゃな」


「!」


「俺どーかしちまってたな馬鹿が塞ぎ込むとロクなことねーってな」




「山本・・・!」



『ねぇ。微笑ましいこの光景は萌え・・・いやなんでもないけど。一度殴らせろ』




「え、」


バキッ



「うっ!!」



『いいですか?あなたの命は野球なんて物で左右される程ちっぽけなんですか?よく考えても見てくださいよ、貴方が死んだら貴方の親は悲しむなんてものじゃないですよ?下手するとそのまま自殺、狂ってしまうかもしれませんよ?そんな親みたくはないでしょう。・・・貴方は僕の様に悲しんでくれないという人はいないでしょう?
クラスメートの方々の様に誰かが悲しんでくれる。


貴方は、私ではないのですから・・・。』


最後の声は、多分聞こえてはいなかっただろう。
いや、むしろ聞こえてない方がいいかもしれないですね。


「ゆ、柚子さん、言いすぎじゃ・・・!」




「・・・さんきゅー、三春。俺親父の事全然考えてなかった。・・・ありがとな」



『、いえ』




『柚子ー!!!』



『姫・・・』


『っ馬鹿じゃないの!?何であんな・・・っ!』



『はは、ごめん。だから蹴らないでくださいあたたたた!!』


「ユズキちゃ・・・なんか黒『何か言った?ツナ!ふふっ!』べべべべ別になにも!!」


「はは、面白いのな!」



『助けて・・・!』



あはは、うふふ。
そんな笑い声があたりに響いていたとかいなかったとか。
いやなかったね!黒い笑いしか!







―5分後―


『綱吉君の変態ー』


『変態ー!』



「うわぁああああ恥ずかしいぃいいいいい!からかわないでくださいよ!」



『だって・・・ねぇ?姫』


『うん』



「うわあああぁああああ!!///」







ボソ、『柚子の変態』

ボソ、『何でですか。』


ボソ『さっきからツナの体しか見てないじゃない。えっちー』

ボソ『ふふ、あとで自分好みにするためです!』





『やっぱ変態だー!!』



「(びくぅっ」




2010/12.25 三春柚子



[ 22/36 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -